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待つ間⑧
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素敵なお庭。
アンジェリカ様に連れられて、子鴨のようについて回る。
「あの、こんなにゆっくりしてていいんでしょうか?」
「いいわよ。どうせ小難しい話をしているだうから、呼びに来るまでのんびりしましょう」
と、素敵なお庭のお茶の席で、素敵なお茶と焼き菓子を頂いているのだけど、いいのかなあ?
アンジェリカ様が優雅にティーカップを傾ける。
いいのかなあ? ジャムクッキーをぱくり。
「あれ? これ、何のジャムですか?」
ん? 果物は杏と、なんだろう?
「お花の薫りがします」
すると、給仕してくれていたメイドさんが驚いた様に説明してくれる。
「お分かりになります? 薔薇を隠し味に使用したジャムになります」
「そうですか。美味しいです」
モグモグ。
アンジェリカ様がニコニコしている。
「家で再現出来そう?」
「うーん、薔薇がネックかなって思います。食用可能な薔薇を使わないと」
「あら? ウーヴァが手に入らないと?」
「頑張って再現します」
モグモグ。紅茶をずー、と。さっぱりちょっと酸味のある紅茶だ。ミルク追加しよっと。
それからも色んなお菓子を頂いた、お腹いっぱいになりそう。
しばらくして、呼ばれたのは一時間以上経ってからだ。
アンジェリカ様と戻ると、すでにあらかた話は付いていた。
「ウィンティア嬢、庭はどうだったかい?」
イケオジオーガスト王太子殿下が聞いてくる。
「はい。とても素敵なお庭でした、たくさん美味しいお菓子も頂きました」
「良かった。体調は大丈夫かい? もう少しで話が終わるから座りなさい」
「はい、失礼します」
アンジェリカ様にならってソファーに座る。
「まず、ウィンティア嬢、君の姉キャサリンだが、まだ『魅了封じ』が効いている状況だが、監視を継続して徹底させる。これはローザ伯爵家との連携が必要だ。これに関してはウーヴァ公爵家が主体となる。もし『魅了封じ』が綻んだと分かれば、すぐに神官殿が対応してくれる」
「はい」
「そして、いずれレオンハルトとリリーナ嬢の側近になる予定の者達には『魅了耐性』の訓練を前倒しにする。カルメンのその子爵令嬢については、まず該当する子爵令嬢を探しだしてから監視、必要時『魅了封じ』の処理を行うが、これはカルメン王国の采配になる。エヴァエニエス侯爵夫人が動いてくれるよ」
「ありがとうございます」
「いいのよ。ウィンティア嬢、怖い思いをさせましたね。だけどありがとう、娘やたくさんの人達の危機を避けられそうです」
と、アーデルハイト・エヴァエニエス侯爵夫人が綺麗な笑みを浮かべる。うーん、美しいー。
「テヘロンとしては、静観しかない。まだ、スティーシュルラ自身に婚約者がいないからね。カルメン王国への輿入れだけは避けるように父に進言する」
「はい」
これであらかた大丈夫かな?
「では、最後に、君はナタリア・ザーデクのことも口走っていたそうだが、それはどうしてだい?」
「それは、一瞬しか見えなかったんですが、私とナタリアが刺殺されるって。これは経緯が全く分からないんですが、おそらくナタリアは、私の巻き添えになるんじゃないかって」
ナタリアは私の専属メイドを続けるって聞かない。私としては、そんな恐れがあるのなら、ナタリアと離れた方がいいと思っているけど。
「ならば、バトレルに警告しましょう。あれならば少々荒事に対応できます」
「お母様、やっぱり学園内でも心配ですわ。侍女の話をどうにか出来ませんの?」
難しい顔をするのはオーガスト王太子殿下。
多分、今まで学園内でもメイドや侍女をつけることが出来たのは侯爵以上の家だった。それが廃止になり、やっと復活して、スティーシュルラ様には、あの大変お世話になった侍女さんがついてる。
「それならばソードにティア嬢、失礼、ウィンティア嬢の周囲の警護をさせましょう」
と、アサーヴ殿下。
「でもソードさんは別のクラスで」
「ああ、君はまだ知らないか、ソードは二学年から準特進クラスに上がったんだよ」
えっ。たまに成績のいい一般クラスから上がってくるって聞いたけど。
「今年からソードは君のクラスメートだよ」
し、知らなかった。
アンジェリカ様に連れられて、子鴨のようについて回る。
「あの、こんなにゆっくりしてていいんでしょうか?」
「いいわよ。どうせ小難しい話をしているだうから、呼びに来るまでのんびりしましょう」
と、素敵なお庭のお茶の席で、素敵なお茶と焼き菓子を頂いているのだけど、いいのかなあ?
アンジェリカ様が優雅にティーカップを傾ける。
いいのかなあ? ジャムクッキーをぱくり。
「あれ? これ、何のジャムですか?」
ん? 果物は杏と、なんだろう?
「お花の薫りがします」
すると、給仕してくれていたメイドさんが驚いた様に説明してくれる。
「お分かりになります? 薔薇を隠し味に使用したジャムになります」
「そうですか。美味しいです」
モグモグ。
アンジェリカ様がニコニコしている。
「家で再現出来そう?」
「うーん、薔薇がネックかなって思います。食用可能な薔薇を使わないと」
「あら? ウーヴァが手に入らないと?」
「頑張って再現します」
モグモグ。紅茶をずー、と。さっぱりちょっと酸味のある紅茶だ。ミルク追加しよっと。
それからも色んなお菓子を頂いた、お腹いっぱいになりそう。
しばらくして、呼ばれたのは一時間以上経ってからだ。
アンジェリカ様と戻ると、すでにあらかた話は付いていた。
「ウィンティア嬢、庭はどうだったかい?」
イケオジオーガスト王太子殿下が聞いてくる。
「はい。とても素敵なお庭でした、たくさん美味しいお菓子も頂きました」
「良かった。体調は大丈夫かい? もう少しで話が終わるから座りなさい」
「はい、失礼します」
アンジェリカ様にならってソファーに座る。
「まず、ウィンティア嬢、君の姉キャサリンだが、まだ『魅了封じ』が効いている状況だが、監視を継続して徹底させる。これはローザ伯爵家との連携が必要だ。これに関してはウーヴァ公爵家が主体となる。もし『魅了封じ』が綻んだと分かれば、すぐに神官殿が対応してくれる」
「はい」
「そして、いずれレオンハルトとリリーナ嬢の側近になる予定の者達には『魅了耐性』の訓練を前倒しにする。カルメンのその子爵令嬢については、まず該当する子爵令嬢を探しだしてから監視、必要時『魅了封じ』の処理を行うが、これはカルメン王国の采配になる。エヴァエニエス侯爵夫人が動いてくれるよ」
「ありがとうございます」
「いいのよ。ウィンティア嬢、怖い思いをさせましたね。だけどありがとう、娘やたくさんの人達の危機を避けられそうです」
と、アーデルハイト・エヴァエニエス侯爵夫人が綺麗な笑みを浮かべる。うーん、美しいー。
「テヘロンとしては、静観しかない。まだ、スティーシュルラ自身に婚約者がいないからね。カルメン王国への輿入れだけは避けるように父に進言する」
「はい」
これであらかた大丈夫かな?
「では、最後に、君はナタリア・ザーデクのことも口走っていたそうだが、それはどうしてだい?」
「それは、一瞬しか見えなかったんですが、私とナタリアが刺殺されるって。これは経緯が全く分からないんですが、おそらくナタリアは、私の巻き添えになるんじゃないかって」
ナタリアは私の専属メイドを続けるって聞かない。私としては、そんな恐れがあるのなら、ナタリアと離れた方がいいと思っているけど。
「ならば、バトレルに警告しましょう。あれならば少々荒事に対応できます」
「お母様、やっぱり学園内でも心配ですわ。侍女の話をどうにか出来ませんの?」
難しい顔をするのはオーガスト王太子殿下。
多分、今まで学園内でもメイドや侍女をつけることが出来たのは侯爵以上の家だった。それが廃止になり、やっと復活して、スティーシュルラ様には、あの大変お世話になった侍女さんがついてる。
「それならばソードにティア嬢、失礼、ウィンティア嬢の周囲の警護をさせましょう」
と、アサーヴ殿下。
「でもソードさんは別のクラスで」
「ああ、君はまだ知らないか、ソードは二学年から準特進クラスに上がったんだよ」
えっ。たまに成績のいい一般クラスから上がってくるって聞いたけど。
「今年からソードは君のクラスメートだよ」
し、知らなかった。
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