ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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待つ間③

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 私達が一番乗りみたい。
 数人の使用人さん達がてきぱき動いている。
 すぐ次に来たのは、金髪の綺麗な女性と黒髪の男性だ。多分、生物学上の両親と同じくらいかな?
 ストレートの金髪を綺麗にハーフアップにした女性は、よくみたら、リリーナ嬢そっくり。

「エヴァエニエス侯爵ご夫妻。おいでになりました」

 やっぱり。
 私はアンジェリカ様の動きを真似て、後ろでカーテシー。
 セシリア女公爵とエヴァエニエス侯爵夫妻の挨拶が終わり、次はアンジェリカ様。

「お久しぶりでございます。エヴァエニエス侯爵閣下、奥様」

 すらすらと台詞が続く。
 流石、ウーヴァ公爵家跡取り娘。
 エヴァエニエス侯爵夫妻は納得の表情だ。
 それから、こちらにも視線が来る。

「ウーヴァ公爵閣下、そちらのご令嬢は?」

 知ってるだろうが、初対面の誰かにはこうやって聞くのがマナーね。特に、保護者がいる未成年には、直接ではなく、保護者を経由しなくてはならない。
 めんどくさいが、こちらのルールだ。

「こちらは我が甥、レオナルド・キーファーの婚約者になります。ご挨拶を」

 私は深く頭を下げる。

「ウィンティア・ローザでございます」

 簡単だけど、これが一番いい挨拶だ。
 頭を下げていると、エヴァエニエス侯爵夫人が声を書けてくる。

「ローザ嬢、あなたの事情は知っていますわ、さあ、お掛けになって」

「ありがとうございます」

 私はアンジェリカ様に促され着席する。
 次に来たのは、白いローブの高齢男性。とりあえず挨拶したが、愛想もくそもない。どうやら教会の高位神官みたい。アンジェリカ様が小声で、あのキャサリンを八歳の頃に『魅了封じ』をした神官だって。
 愛想もくそもないじいさんだが、これはチャンスだ。
『魔了』の話をしても信じてもらえないだろうが、『魅了封じ』で封じられるなら、それができるのはこの人だけ。よし、出来るかどうか分からないが、ご協力をお願いしよう。
 次に来たのはアサーヴ殿下だ。しっかり護衛をつけてね。
 ご挨拶。

「やあ、ティア嬢、体調はどうだい? テヘロン大使館一堂君を案じているよ」

「ありがとうございます、アサーヴ殿下」

「ステラもティア嬢に会いたがっている。体調がよくなればいつでも来なさい。君が来れば門は開く」

 なんか、VIP待遇なんですが。
 そして、何やらバチバチと言う音が。何々? なんでウーヴァ公爵の二人とアサーヴ殿下からバチバチ? 三人共に笑顔でバチバチ、怖っ。
 最後に来たのは、やっぱりオーガスト王太子殿下とエリザベス妃殿下だ。
 ご挨拶。
 私の体調を気遣ってくれて直ぐに着席できた。普通長々挨拶があるんだけどね。

「さあ、話をしようか? ローザ嬢、具合が悪くなれば直ぐに言いなさい」

 優しくイケオジのオーガスト王太子殿下。
 うーん、市井ではファンクラブあるのも頷ける。
 それぞれが着席して、さ、話しましょ、という雰囲気になるが、何やら外が騒がしい。

『モニカ妃殿下、オーガスト王太子殿下より入室禁止の指示がございます。どうかお下がりください』

『無礼者っ、私はシルヴァスタ王国国王の娘ぞっ』

 ……………………モニカ妃殿下って物凄く頭悪いんじゃない? 話を聞いて薄々分かっていたが。物凄くがつく頭悪いんじゃない?
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