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待つ間②
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「早く休むように言ったわよね?」
「寝れるわけないですよ」
セシリア女公爵に言われたが、私は切り返す。
いきなり明日お城に行きますよ、私が倒れたあの日に出来なかった話をしますよ、と言われて緊張して寝れない。つまりそれは再びオーガスト殿下とエリザベス妃殿下との面会だ。しかも、今回さらに追加人員がいるらしく、詳しく教えてくれなかったし、余計に気になってしまって。
朝早くからしっかりマッサージ受けて、お肌のお手入れされて磨かれる。
白地に白いレースとピンクのレースのややシンプルだが、品の良いドレスを着せられる。髪はゆるくお団子ヘアにして、小さな真珠がついた髪飾りをつける。
アンジェリカ様からのお下がりリメイクドレスと、アンジーで出店していた若いデザイナーさんの髪飾りだ。
あー、行きたくないー、色んな意味で行きたくないー。
本日はセシリア女公爵とアンジェリカ様が同行してくれる。
セシリア女公爵は、小豆色で裾や襟に繊細な白いレースで飾られたドレス。アンジェリカ様は朱色のドレスだ。私のように着られた感がない感じ。着てます感ね。
せめてこの二人がいるからいいけど。
あの日に見た、これから起きる可能性、リリーナ嬢が犠牲になる場合や、隣国カルメンの顔も知らないセレスティ公爵令嬢の馬車の事故。そしてスティーシュルラ様の事。
どうやっても私では対応できないのなら、誰かに助けてもらわないと。神様もそう言っていたし。
腹を括らないと。
スティーシュルラ様にはお世話になっているし、私には恩人だしね。
よし、頑張ろう。
あ、お城が見えてきた。
ウーヴァ公爵家の馬車の為、ちょっと止められたけど、すぐに中に。
馬車を降りるときに、ウーヴァ公爵家のいぶし銀の執事さんが手を出してくれたので、無事に降りる。
ざ、と並ぶお城の使用人の皆さん、ひっ、圧迫感がある。中身がぺーぺー一般人の私は、すでに引いてしまう。
流石ウーヴァ公爵家当主と跡取り娘は、堂々としているので、影に隠れるようにして進む。
お城の中って本来ならゆっくり見たいが、そうも言ってられないので、すいすい進む二人の後ろをカルガモの雛のように続くのみ。
いくつもの角を曲がるので、既に現在地が分からない。一人で帰れなんて言われたら、入口まで戻る自信がない。
はじめは賑やかなエリアだったが、いつの間にか静かなエリアになっていた。
ここ、お城のどの位置なんだろう?
なんて思っていると、案内の使用人さんが止まる。
「ウーヴァ公爵閣下、こちらでお待ちください」
と、通されたのは、広い応接間だった。
私はアンジェリカ様に言われるがまま、深い茶色のソファーに座った。
「寝れるわけないですよ」
セシリア女公爵に言われたが、私は切り返す。
いきなり明日お城に行きますよ、私が倒れたあの日に出来なかった話をしますよ、と言われて緊張して寝れない。つまりそれは再びオーガスト殿下とエリザベス妃殿下との面会だ。しかも、今回さらに追加人員がいるらしく、詳しく教えてくれなかったし、余計に気になってしまって。
朝早くからしっかりマッサージ受けて、お肌のお手入れされて磨かれる。
白地に白いレースとピンクのレースのややシンプルだが、品の良いドレスを着せられる。髪はゆるくお団子ヘアにして、小さな真珠がついた髪飾りをつける。
アンジェリカ様からのお下がりリメイクドレスと、アンジーで出店していた若いデザイナーさんの髪飾りだ。
あー、行きたくないー、色んな意味で行きたくないー。
本日はセシリア女公爵とアンジェリカ様が同行してくれる。
セシリア女公爵は、小豆色で裾や襟に繊細な白いレースで飾られたドレス。アンジェリカ様は朱色のドレスだ。私のように着られた感がない感じ。着てます感ね。
せめてこの二人がいるからいいけど。
あの日に見た、これから起きる可能性、リリーナ嬢が犠牲になる場合や、隣国カルメンの顔も知らないセレスティ公爵令嬢の馬車の事故。そしてスティーシュルラ様の事。
どうやっても私では対応できないのなら、誰かに助けてもらわないと。神様もそう言っていたし。
腹を括らないと。
スティーシュルラ様にはお世話になっているし、私には恩人だしね。
よし、頑張ろう。
あ、お城が見えてきた。
ウーヴァ公爵家の馬車の為、ちょっと止められたけど、すぐに中に。
馬車を降りるときに、ウーヴァ公爵家のいぶし銀の執事さんが手を出してくれたので、無事に降りる。
ざ、と並ぶお城の使用人の皆さん、ひっ、圧迫感がある。中身がぺーぺー一般人の私は、すでに引いてしまう。
流石ウーヴァ公爵家当主と跡取り娘は、堂々としているので、影に隠れるようにして進む。
お城の中って本来ならゆっくり見たいが、そうも言ってられないので、すいすい進む二人の後ろをカルガモの雛のように続くのみ。
いくつもの角を曲がるので、既に現在地が分からない。一人で帰れなんて言われたら、入口まで戻る自信がない。
はじめは賑やかなエリアだったが、いつの間にか静かなエリアになっていた。
ここ、お城のどの位置なんだろう?
なんて思っていると、案内の使用人さんが止まる。
「ウーヴァ公爵閣下、こちらでお待ちください」
と、通されたのは、広い応接間だった。
私はアンジェリカ様に言われるがまま、深い茶色のソファーに座った。
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