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新たな展開⑩

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 ナタリアが支えてくれようとしたが、私は一人で立つ。向こうから駆けてきたからね。

「ウィンティア嬢っ、なぜここにっ」

「お見送りに決まってるでしょう」

 私の姿に戸惑いながらも、駆け寄ってきたレオナルド・キーファーに、当たり前の様に答える。
 努めていつもの様に、いつも朝の出勤の時の様に。
 
「キーファー様、無事のお戻りをお待ちしております」

 はい、アンジェリカ様にビシバシされたカーテシー。

「ウィンティア嬢………」

 レオナルド・キーファーは何やら感動したように、私の前に跪く。ちょっと、仕事着汚れちゃうよ。今から出発でしょうもん、護衛騎士のズボンが汚れたら、示しがつかないじゃん。

「キーファー様、ズボンに汚れが」

「ウィンティア嬢」

 たって欲しいと出した手を、鍛練で傷だらけの手が包み込む。そして、私を見上げる。

「私、レオナルド・キーファー、必ず貴女の元に帰って参ります」

 真っ直ぐ私を見上げてくる。当然、死んだ魚の目ではない。
 だけど、私は、それに安堵する。

「はい、お待ちしております。どうか、お気をつけて」

 精一杯の笑顔を浮かべる。
 この人は、命の危機を晒される影武者として、それを分かった上で、シルヴァスタに行くのだ。
 せめて、無傷とは言えないが、無事に帰って来て欲しい思いを含めて、笑顔を浮かべる。

「ウィンティア嬢」

 愛おしいと言葉を吐き出すレオナルド・キーファーが、何からポケットから取り出した。
 なんだろう?
 す、と指に何やらはめる。
 ん? キラッとした石のはまった指輪。
 な、なんで、左の薬指?
 少し、混乱。
 私、ただ、行ってらっしゃい、って言うだけの為に来ただけなのに、なんで、指輪もらってるんだろう?

「必ず、貴女の元に」

 そういって、包んでいた私の手に、ちゅ、とする。
 なんだか、今までで一番恥ずかしいっ。
 だって、色んな人達が、生暖かい、優しい目で見てるもんっ。

「はい」

 私は恥ずかしくなって、うつむいて小さく答える。
 どうやら、時間みたい。
 レオナルド・キーファーは名残惜い感じ立ち上がる。
 バタバタとお見送りの家族が後退。
 私はナタリアに支えられて移動する。

「ウィンティアさん、大丈夫? さ、私に掴まって」

 アンジェリカ様まで支えてくれる。
 セシリア女公爵とハインリヒ様に囲まれたて私は、最前列でお見送り。
 レオンハルト殿下をのせた馬車が出発。レオナルド・キーファーは茶色の馬に騎乗して、門を抜けて行く。

「レオナルドさまぁ~」

 あ、久しぶりに見たっ、マナー違反女キャサリンが。なんてタイミングでっ。ぷりぷりのピンクのドレスを翻して。見た目がお人形さんだから似合うは似合うが。
 レオンハルト殿下をのせた馬車があるのに、当然飛び出してきたら。

「きゃあぁぁっ」

 当然、取り押さえられるか、突き飛ばされるのだが、どうやら同行者がいたのか、それに取り押さえられていた。
 耳障りなキャサリンの声に、私は具合が悪くなる。

「お嬢様?」

「ごめんナタリア、ちょっと疲れちゃった」

 すると、あわただしく車椅子が来て、私は搬送されるた。
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