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新たな展開⑨
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「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ありがとう、大丈夫よ」
ナタリアが私の隣で心配そうに聞いてくる。
あの王家の皆様が来た日の時点で、レオナルド・キーファーがシルヴァスタへの出発まであと数日だった。
だから、あの日、レオナルド・キーファーが食べたいらからと言って、カレーパン作ったんだもん。
今日、シルヴァスタへの出発なら、当然ウーヴァ公爵の皆様がお見送りに行っているはず。
なら、私もお見送りしないと。
一応保留婚約者だしね。
私は、あの人に対して悪い感情はない、友人より婚約者未満だ。だが、異国の地に命の危機に晒される影武者として向かうなら、顔見知り以上であるレオナルド・キーファーには、無事に帰って来て欲しい。
お見送りに行くと言って、真っ先に医者は穏やかにやめなさい、と言われたが、直ぐに帰るし騒がないとお願いして、ため息ついてオッケーしてくれた。そしてベテランメイドさんに色々指示してる。
私はナタリアと他のメイドさんにより支度をしてもらう。
鏡を見たら、予想以上に顔色が悪い。どうりできついはずだ。メイドさんが薄化粧してくれて、顔色を保つ。
手際のよいウーヴァ公爵家の使用人は、手早くお見送りの手はずを整えてくれる。
私はアンジェリカ様から頂いた妖精のようなドレスに身を包み、馬車に運ばれる。何と車椅子で運ばれた。重病人扱いだよ。
恐らく交通規制されているのにスムーズに行けたのは、ひたすらにウーヴァ公爵家の紋章入りの馬車だからだ。本来なら止められるのに、進めたのもウーヴァ公爵家の紋章様々だ。
ナタリアが私の隣で支えてくれる。
馬車から降りてからも車椅子を押してくれる。
私達が案内されたのは、王城の正門、内側ね。たくさんの家族がお見送りに来ている。くどいが、本来こんなにスムーズに入れない。王城の内部だし、近くに王族の皆様がいらっしゃる。レオンハルト殿下のお見送りだよね。少し離れているから、向こうはまだ気がついてない。後でご挨拶しないと。
まずは、レオナルド・キーファーに、お見送りの言葉を送らないと。
「ウィンティア様、こちらへ」
出来るウーヴァ公爵家の使用人さん。
示された先に、セシリア・ウーヴァ、ハインリヒ・ウーヴァ、アンジェリカ・ウーヴァに囲まれたレオナルド・キーファーがいた。
私は、車椅子から立ち上がった。
「ありがとう、大丈夫よ」
ナタリアが私の隣で心配そうに聞いてくる。
あの王家の皆様が来た日の時点で、レオナルド・キーファーがシルヴァスタへの出発まであと数日だった。
だから、あの日、レオナルド・キーファーが食べたいらからと言って、カレーパン作ったんだもん。
今日、シルヴァスタへの出発なら、当然ウーヴァ公爵の皆様がお見送りに行っているはず。
なら、私もお見送りしないと。
一応保留婚約者だしね。
私は、あの人に対して悪い感情はない、友人より婚約者未満だ。だが、異国の地に命の危機に晒される影武者として向かうなら、顔見知り以上であるレオナルド・キーファーには、無事に帰って来て欲しい。
お見送りに行くと言って、真っ先に医者は穏やかにやめなさい、と言われたが、直ぐに帰るし騒がないとお願いして、ため息ついてオッケーしてくれた。そしてベテランメイドさんに色々指示してる。
私はナタリアと他のメイドさんにより支度をしてもらう。
鏡を見たら、予想以上に顔色が悪い。どうりできついはずだ。メイドさんが薄化粧してくれて、顔色を保つ。
手際のよいウーヴァ公爵家の使用人は、手早くお見送りの手はずを整えてくれる。
私はアンジェリカ様から頂いた妖精のようなドレスに身を包み、馬車に運ばれる。何と車椅子で運ばれた。重病人扱いだよ。
恐らく交通規制されているのにスムーズに行けたのは、ひたすらにウーヴァ公爵家の紋章入りの馬車だからだ。本来なら止められるのに、進めたのもウーヴァ公爵家の紋章様々だ。
ナタリアが私の隣で支えてくれる。
馬車から降りてからも車椅子を押してくれる。
私達が案内されたのは、王城の正門、内側ね。たくさんの家族がお見送りに来ている。くどいが、本来こんなにスムーズに入れない。王城の内部だし、近くに王族の皆様がいらっしゃる。レオンハルト殿下のお見送りだよね。少し離れているから、向こうはまだ気がついてない。後でご挨拶しないと。
まずは、レオナルド・キーファーに、お見送りの言葉を送らないと。
「ウィンティア様、こちらへ」
出来るウーヴァ公爵家の使用人さん。
示された先に、セシリア・ウーヴァ、ハインリヒ・ウーヴァ、アンジェリカ・ウーヴァに囲まれたレオナルド・キーファーがいた。
私は、車椅子から立ち上がった。
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