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新たな展開⑦
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「ウィンティア嬢っ」
ぐったりとしたウィンティアをレオナルドが抱える。
「医師をっ」
セシリア女公爵が指示を飛ばす。
腫れ物のようにウィンティアの頬を擦っていたレオナルドが、ふと、気付く。
「血の、匂いが」
ぽつり、と呟いたのに、反応したのは女性陣。
「レオナルド、下がりなさい。私がウィンティア嬢を預かります」
「叔母様っ、しかしっ」
「下がりなさいっ、男の出る幕はなくてよっ」
厳しい声でしかりつけ、次に指示を出す。
「直ぐにローザ伯爵に使者を。殿下、申し訳ございません。直ぐに別室を」
「構わない。ここは男の出る幕はないようだ」
すっ、と立ち上がるオーガスト王太子。同調するように、エリザベス妃殿下、レオンハルト殿下、リリーナ嬢も立ち上がる。
「レオナルド、お前も下がりなさい」
ウィンティアをメイドに奪われて呆然とするレオナルドを、オーガスト王太子が諭すように言われて、部屋から連れ出される。
ウーヴァ公爵家の使用人は落ち着いた様子で別室に案内される。
「ふう、レオナルド、いつまで呆けている。座りなさい」
「は、はい」
着席し、数分もせずにアンジェリカが急いで仕事を終えて帰って来た。騒ぎを聞いたが、まず、応接室に待つ王家のメンバーに挨拶を行う。
「アンジェリカ、我々はいい、ウィンティア嬢の様子を見に行きなさい」
「ありがとうございます」
「あ、姉上っ、私もっ」
「男は引っ込んでいなさいっ」
と、一喝されて沈むレオナルド。
「レオナルド、まさかと思うが分かってないのか?」
確認するようにレオンハルト殿下が聞くが、レオナルドは落ち込んだ顔のまま。
「何がでしょうか?」
顔を見合わせる面々。
ふう、とため息を着いたのはエリザベス妃殿下。
「ウィンティア嬢を想っているのは分かりますが、もう少し女性の気遣いを学びなさい」
そっとエリザベス妃殿下は、レオナルドの耳元で囁く。
ふわぁ、とレオナルドの顔に赤みがさす。
ウィンティア嬢は、子供を成せる身体になった。
ルルディでは女性が初潮を迎えたら、家族で細やかにお祝いする。基本的にはまず家族内の女性が把握してから、父親がその後報告を受ける。しっかり確認するまで、男はノータッチだ。
「彼女の口から聞くまで知らんぷりよ」
「は、はい」
直ぐにセシリア女公爵とアンジェリカが戻って来るかと思われたが、いつまで経っても戻って来ない。
やっと戻って来たのは、一時間経っていた。
「ウィンティア嬢の様子はどうだ? 話が出来たか?」
オーガスト王太子がセシリア女公爵に訊ねる。
待つ間にも、先ほどウィンティアが発した言葉の検討していたが、何故?と思う箇所が多すぎた。何故、他国の令嬢や王女の名前が出るのだ?と。
「申し訳ありません殿下。ウィンティア嬢は話を出来る状態ではなく」
「叔母様っ、どうしてですかっ」
「控えなさいレオナルド。セシリア、どういうことだ? 話すもできないのか? アンジェリカに聞き出して貰うのはどうだ? 可愛がっているのであろう?」
「申し訳ございません。どうかご内密に、確定もしておりませんが、恐らくですが」
すう、とセシリア女公爵が息をすう。
「ミッドナイト貧血も併発したようです」
ぐったりとしたウィンティアをレオナルドが抱える。
「医師をっ」
セシリア女公爵が指示を飛ばす。
腫れ物のようにウィンティアの頬を擦っていたレオナルドが、ふと、気付く。
「血の、匂いが」
ぽつり、と呟いたのに、反応したのは女性陣。
「レオナルド、下がりなさい。私がウィンティア嬢を預かります」
「叔母様っ、しかしっ」
「下がりなさいっ、男の出る幕はなくてよっ」
厳しい声でしかりつけ、次に指示を出す。
「直ぐにローザ伯爵に使者を。殿下、申し訳ございません。直ぐに別室を」
「構わない。ここは男の出る幕はないようだ」
すっ、と立ち上がるオーガスト王太子。同調するように、エリザベス妃殿下、レオンハルト殿下、リリーナ嬢も立ち上がる。
「レオナルド、お前も下がりなさい」
ウィンティアをメイドに奪われて呆然とするレオナルドを、オーガスト王太子が諭すように言われて、部屋から連れ出される。
ウーヴァ公爵家の使用人は落ち着いた様子で別室に案内される。
「ふう、レオナルド、いつまで呆けている。座りなさい」
「は、はい」
着席し、数分もせずにアンジェリカが急いで仕事を終えて帰って来た。騒ぎを聞いたが、まず、応接室に待つ王家のメンバーに挨拶を行う。
「アンジェリカ、我々はいい、ウィンティア嬢の様子を見に行きなさい」
「ありがとうございます」
「あ、姉上っ、私もっ」
「男は引っ込んでいなさいっ」
と、一喝されて沈むレオナルド。
「レオナルド、まさかと思うが分かってないのか?」
確認するようにレオンハルト殿下が聞くが、レオナルドは落ち込んだ顔のまま。
「何がでしょうか?」
顔を見合わせる面々。
ふう、とため息を着いたのはエリザベス妃殿下。
「ウィンティア嬢を想っているのは分かりますが、もう少し女性の気遣いを学びなさい」
そっとエリザベス妃殿下は、レオナルドの耳元で囁く。
ふわぁ、とレオナルドの顔に赤みがさす。
ウィンティア嬢は、子供を成せる身体になった。
ルルディでは女性が初潮を迎えたら、家族で細やかにお祝いする。基本的にはまず家族内の女性が把握してから、父親がその後報告を受ける。しっかり確認するまで、男はノータッチだ。
「彼女の口から聞くまで知らんぷりよ」
「は、はい」
直ぐにセシリア女公爵とアンジェリカが戻って来るかと思われたが、いつまで経っても戻って来ない。
やっと戻って来たのは、一時間経っていた。
「ウィンティア嬢の様子はどうだ? 話が出来たか?」
オーガスト王太子がセシリア女公爵に訊ねる。
待つ間にも、先ほどウィンティアが発した言葉の検討していたが、何故?と思う箇所が多すぎた。何故、他国の令嬢や王女の名前が出るのだ?と。
「申し訳ありません殿下。ウィンティア嬢は話を出来る状態ではなく」
「叔母様っ、どうしてですかっ」
「控えなさいレオナルド。セシリア、どういうことだ? 話すもできないのか? アンジェリカに聞き出して貰うのはどうだ? 可愛がっているのであろう?」
「申し訳ございません。どうかご内密に、確定もしておりませんが、恐らくですが」
すう、とセシリア女公爵が息をすう。
「ミッドナイト貧血も併発したようです」
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