275 / 338
新たな展開⑦
しおりを挟む
「ウィンティア嬢っ」
ぐったりとしたウィンティアをレオナルドが抱える。
「医師をっ」
セシリア女公爵が指示を飛ばす。
腫れ物のようにウィンティアの頬を擦っていたレオナルドが、ふと、気付く。
「血の、匂いが」
ぽつり、と呟いたのに、反応したのは女性陣。
「レオナルド、下がりなさい。私がウィンティア嬢を預かります」
「叔母様っ、しかしっ」
「下がりなさいっ、男の出る幕はなくてよっ」
厳しい声でしかりつけ、次に指示を出す。
「直ぐにローザ伯爵に使者を。殿下、申し訳ございません。直ぐに別室を」
「構わない。ここは男の出る幕はないようだ」
すっ、と立ち上がるオーガスト王太子。同調するように、エリザベス妃殿下、レオンハルト殿下、リリーナ嬢も立ち上がる。
「レオナルド、お前も下がりなさい」
ウィンティアをメイドに奪われて呆然とするレオナルドを、オーガスト王太子が諭すように言われて、部屋から連れ出される。
ウーヴァ公爵家の使用人は落ち着いた様子で別室に案内される。
「ふう、レオナルド、いつまで呆けている。座りなさい」
「は、はい」
着席し、数分もせずにアンジェリカが急いで仕事を終えて帰って来た。騒ぎを聞いたが、まず、応接室に待つ王家のメンバーに挨拶を行う。
「アンジェリカ、我々はいい、ウィンティア嬢の様子を見に行きなさい」
「ありがとうございます」
「あ、姉上っ、私もっ」
「男は引っ込んでいなさいっ」
と、一喝されて沈むレオナルド。
「レオナルド、まさかと思うが分かってないのか?」
確認するようにレオンハルト殿下が聞くが、レオナルドは落ち込んだ顔のまま。
「何がでしょうか?」
顔を見合わせる面々。
ふう、とため息を着いたのはエリザベス妃殿下。
「ウィンティア嬢を想っているのは分かりますが、もう少し女性の気遣いを学びなさい」
そっとエリザベス妃殿下は、レオナルドの耳元で囁く。
ふわぁ、とレオナルドの顔に赤みがさす。
ウィンティア嬢は、子供を成せる身体になった。
ルルディでは女性が初潮を迎えたら、家族で細やかにお祝いする。基本的にはまず家族内の女性が把握してから、父親がその後報告を受ける。しっかり確認するまで、男はノータッチだ。
「彼女の口から聞くまで知らんぷりよ」
「は、はい」
直ぐにセシリア女公爵とアンジェリカが戻って来るかと思われたが、いつまで経っても戻って来ない。
やっと戻って来たのは、一時間経っていた。
「ウィンティア嬢の様子はどうだ? 話が出来たか?」
オーガスト王太子がセシリア女公爵に訊ねる。
待つ間にも、先ほどウィンティアが発した言葉の検討していたが、何故?と思う箇所が多すぎた。何故、他国の令嬢や王女の名前が出るのだ?と。
「申し訳ありません殿下。ウィンティア嬢は話を出来る状態ではなく」
「叔母様っ、どうしてですかっ」
「控えなさいレオナルド。セシリア、どういうことだ? 話すもできないのか? アンジェリカに聞き出して貰うのはどうだ? 可愛がっているのであろう?」
「申し訳ございません。どうかご内密に、確定もしておりませんが、恐らくですが」
すう、とセシリア女公爵が息をすう。
「ミッドナイト貧血も併発したようです」
ぐったりとしたウィンティアをレオナルドが抱える。
「医師をっ」
セシリア女公爵が指示を飛ばす。
腫れ物のようにウィンティアの頬を擦っていたレオナルドが、ふと、気付く。
「血の、匂いが」
ぽつり、と呟いたのに、反応したのは女性陣。
「レオナルド、下がりなさい。私がウィンティア嬢を預かります」
「叔母様っ、しかしっ」
「下がりなさいっ、男の出る幕はなくてよっ」
厳しい声でしかりつけ、次に指示を出す。
「直ぐにローザ伯爵に使者を。殿下、申し訳ございません。直ぐに別室を」
「構わない。ここは男の出る幕はないようだ」
すっ、と立ち上がるオーガスト王太子。同調するように、エリザベス妃殿下、レオンハルト殿下、リリーナ嬢も立ち上がる。
「レオナルド、お前も下がりなさい」
ウィンティアをメイドに奪われて呆然とするレオナルドを、オーガスト王太子が諭すように言われて、部屋から連れ出される。
ウーヴァ公爵家の使用人は落ち着いた様子で別室に案内される。
「ふう、レオナルド、いつまで呆けている。座りなさい」
「は、はい」
着席し、数分もせずにアンジェリカが急いで仕事を終えて帰って来た。騒ぎを聞いたが、まず、応接室に待つ王家のメンバーに挨拶を行う。
「アンジェリカ、我々はいい、ウィンティア嬢の様子を見に行きなさい」
「ありがとうございます」
「あ、姉上っ、私もっ」
「男は引っ込んでいなさいっ」
と、一喝されて沈むレオナルド。
「レオナルド、まさかと思うが分かってないのか?」
確認するようにレオンハルト殿下が聞くが、レオナルドは落ち込んだ顔のまま。
「何がでしょうか?」
顔を見合わせる面々。
ふう、とため息を着いたのはエリザベス妃殿下。
「ウィンティア嬢を想っているのは分かりますが、もう少し女性の気遣いを学びなさい」
そっとエリザベス妃殿下は、レオナルドの耳元で囁く。
ふわぁ、とレオナルドの顔に赤みがさす。
ウィンティア嬢は、子供を成せる身体になった。
ルルディでは女性が初潮を迎えたら、家族で細やかにお祝いする。基本的にはまず家族内の女性が把握してから、父親がその後報告を受ける。しっかり確認するまで、男はノータッチだ。
「彼女の口から聞くまで知らんぷりよ」
「は、はい」
直ぐにセシリア女公爵とアンジェリカが戻って来るかと思われたが、いつまで経っても戻って来ない。
やっと戻って来たのは、一時間経っていた。
「ウィンティア嬢の様子はどうだ? 話が出来たか?」
オーガスト王太子がセシリア女公爵に訊ねる。
待つ間にも、先ほどウィンティアが発した言葉の検討していたが、何故?と思う箇所が多すぎた。何故、他国の令嬢や王女の名前が出るのだ?と。
「申し訳ありません殿下。ウィンティア嬢は話を出来る状態ではなく」
「叔母様っ、どうしてですかっ」
「控えなさいレオナルド。セシリア、どういうことだ? 話すもできないのか? アンジェリカに聞き出して貰うのはどうだ? 可愛がっているのであろう?」
「申し訳ございません。どうかご内密に、確定もしておりませんが、恐らくですが」
すう、とセシリア女公爵が息をすう。
「ミッドナイト貧血も併発したようです」
80
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。
クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」
パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。
夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる……
誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。
天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される
雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。
スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。
※誤字報告、感想などありがとうございます!
書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました!
電子書籍も出ました。
文庫版が2024年7月5日に発売されました!
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる