ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
262 / 338

事例八の末路⑤

しおりを挟む
「ウィンティアさんのお陰で体調がいいわ」

 と、ホワイトシチューを食べているアンジェリカ様。こちらにシチューはあるが、ブラウンシチューだったので、改良したらあっという間に出来た。いたく、アンジェリカ様とセシリア女公爵が気に入ってくれた。後、餃子はハインリヒ様が気に入ってくれた。

「よかったです」

 私もシチューを一口。よし、まずまずの出来かな? 次の具材はどうしよっかなー。キノコと鮭なんてどうかな? レオナルド・キーファーは火を通した魚がいいらしいし。

「ねえ、ウィンティアさん、この前のメニュー、お店に出してもいいかしら?」

「はい、どうぞ」

 クレープあるのに、ミルクレープがない。スポンジあるのに、ロールケーキがない。それを再現しただけ。

「本当に無欲ね。レオナルドに何か持たせてあげないといけないわね」

 うっ、最近レオナルド・キーファーがよくスキンシップしてくる。慣れないと言うか、なんというか。
 アンジェリカ様に、私がレオナルド・キーファーを嫌っていない、受け入れようとしている証拠だと言われて、ちょっとショック。あれだけ、絆されないぞ、と思っていたのに、私の心変わりを言い当てられてショックだった。先程も、無意識にレオナルド・キーファーの好むような調理法を考えてしまった。
 私に中で、何かが変わりだしているのだ。

「ふふっ、可愛いわね」

「か、からかわないでくださいっ」

「ふふっ」

 アンジェリカ様はスプーンをおく。

「そうそう、ウィンティアさん、そろそろクラスメート達と会いたいでしょう? お母様がホテルの一室使っていいって。手配はすべてこちらで行うわ」

「えっ、いいんですかっ」

「貴女が無償でレシピの提供しているからよ。ただし、私も同行するわ、私がいたら変な連中は手を出せないしね。変な虫も来ないでしょう」

 天下のウーヴァ公爵家のお嬢様に手を出すなんて、アホいるのかね?
 で、誰を呼ぶか、だけど。
 アンネとリーナ嬢、クラス委員のロッティさん、副委員のスクール。そしてマークだ。あの時、守ろうとしてくれたし、考えて許可が出たのはこの五人だ。
 あのアンジーの懇親会を開いたホテルだ。
 久しぶりに会えるから嬉しい。軽くランチも含まれるお茶会だ。すぐに了解の返事が来た。皆来てくれるって、よかった。保護者同伴。ただし、マークだけは寮生で、親族がいないので、アンネの叔父様が兼任してくれるって。
 さりげなく、ホテルのシェフがやって来て、意見を聞いてきた。ホテルの軽食メニューにマヨネーズを使用したメニューが大人気で、私に次の何かを求められている。そんなにでないよアイデア。
 マヨネーズは出来た、高級品だけどね、次ねえ。私は厨房で賄い飯のラタトゥイユ、パクパク、パクパク、あ、美味しい。

「今日のラタトゥイユ、特別美味しいですね」

「はい、久しぶりに料理長が作っていました」

 野菜の下拵えをよくする見習い君が言ってきた。

「同じ材料なのに、味が違います?」

「そうだよ、食べてみなよ」

 私は見習い君に進める。そして、ホテルからのシェフさんまでぱくり。

「何が違うんですか?」

 首をかしげる見習い君。

「野菜の処理の差じゃない? このラタトゥイユなら、どんな料理にも合いそう……………」

 どんな料理にも…………………………あっ、そうだっ、そうだっ、超メジャーメニュー調味料ーっ。
 あれの方が気楽に出来上がるかもっ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...