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閑話 テヘロンの侍女
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私の生まれは貧しい村だった。
それなのに、現在、『テヘロンの至宝』と呼ばれる第三王女殿下スティーシュルラ様の護衛兼侍女として雇われている。
本来から、私のような貧しい身分の女が、スティーシュルラ殿下のお側に侍ることは許されないのだが、すべてはあるルルディの貴族夫人のおかけだ。
ティーナ・ローザ伯爵夫人。
彼女がウィンター・ローズの栽培を村に委託してくれなければ、私はそのうちはした金で娼婦として売られただろう。
ティーナ夫人は、警戒心の強い村人を説き伏せ、様々は指導に取り組んだ。まず、村の女達を取り入れ、内職を足掛かりに、しまいには読み書きを学ぶ教室まで建てた。
村は数年かけて豊かになり、名もない村がウィンター・ローズ村と呼ばれるまでに時間はかからなかった。
私の家も恩恵に預かり、食うや食わずの生活から脱却できた。
村の子供達は、みんなティーナ夫人が大好きだった。
ティーナ夫人のおかげで、村の子供達の識字率が一気に上がり、それで村の外に出ても生活に困るような事はなくなった。
みんな、ティーナ夫人のおかげだ。
私はもっと誉めてほしい、ティーナ夫人のような知的な女性になりたいと、頑張った。すると、誰よりも読み書きができ、物足りなくなり、いろんな事を学んだ。両親は女の私が学をたくさん得るのにいい顔はしなかったが、ティーナ夫人が説き伏せた。
必ず、この子の力になる。
そして、私は難関の侍女試験を突破。
村総出でお祝いしてくれた。つい最近まで、廃村を呟かれていた村から、王宮の侍女を出したのだ。ただ、最後まで心配したのは、両親だ。
「お前は器量もいいし、頭もいいから、いじめられないか?」
「変な貴族が、お前を手込めにしないか?」
なんてことない、私自身の心配だ。
両親の愛だ。
私は大丈夫だと説き伏せて、王宮に。その前に、私はティーナ夫人に手紙を出した。
数年前からティーナ夫人は村に来ず、手紙でのやり取りだけだった。
事情は知っていた。
孫娘の一人がネグレクトの被害に遭っていたのだ。
初めは信じられなかった。
ティーナ夫人の息子とは面識があるが、真面目な青年だったし、奥方のクラーラ夫人も熱心に仕事をされる方だった。
ただ、離れたルルディとテヘロンとを繋ぐ手紙だけでは、詳しく知るよしもなく。
私はただ、ティーナ夫人に誉めて欲しくて手紙を出したのだ。だけど、返事は来なかった。
久しぶりに帰省したら、村の家中に、喪中の旗がはためいていた。
そう、ティーナ夫人が毒殺されたのだと、その時知った。
私は村長の家に唯一ある、ティーナ夫人の肖像画の前で声を張り上げな泣いた。
それなのに、現在、『テヘロンの至宝』と呼ばれる第三王女殿下スティーシュルラ様の護衛兼侍女として雇われている。
本来から、私のような貧しい身分の女が、スティーシュルラ殿下のお側に侍ることは許されないのだが、すべてはあるルルディの貴族夫人のおかけだ。
ティーナ・ローザ伯爵夫人。
彼女がウィンター・ローズの栽培を村に委託してくれなければ、私はそのうちはした金で娼婦として売られただろう。
ティーナ夫人は、警戒心の強い村人を説き伏せ、様々は指導に取り組んだ。まず、村の女達を取り入れ、内職を足掛かりに、しまいには読み書きを学ぶ教室まで建てた。
村は数年かけて豊かになり、名もない村がウィンター・ローズ村と呼ばれるまでに時間はかからなかった。
私の家も恩恵に預かり、食うや食わずの生活から脱却できた。
村の子供達は、みんなティーナ夫人が大好きだった。
ティーナ夫人のおかげで、村の子供達の識字率が一気に上がり、それで村の外に出ても生活に困るような事はなくなった。
みんな、ティーナ夫人のおかげだ。
私はもっと誉めてほしい、ティーナ夫人のような知的な女性になりたいと、頑張った。すると、誰よりも読み書きができ、物足りなくなり、いろんな事を学んだ。両親は女の私が学をたくさん得るのにいい顔はしなかったが、ティーナ夫人が説き伏せた。
必ず、この子の力になる。
そして、私は難関の侍女試験を突破。
村総出でお祝いしてくれた。つい最近まで、廃村を呟かれていた村から、王宮の侍女を出したのだ。ただ、最後まで心配したのは、両親だ。
「お前は器量もいいし、頭もいいから、いじめられないか?」
「変な貴族が、お前を手込めにしないか?」
なんてことない、私自身の心配だ。
両親の愛だ。
私は大丈夫だと説き伏せて、王宮に。その前に、私はティーナ夫人に手紙を出した。
数年前からティーナ夫人は村に来ず、手紙でのやり取りだけだった。
事情は知っていた。
孫娘の一人がネグレクトの被害に遭っていたのだ。
初めは信じられなかった。
ティーナ夫人の息子とは面識があるが、真面目な青年だったし、奥方のクラーラ夫人も熱心に仕事をされる方だった。
ただ、離れたルルディとテヘロンとを繋ぐ手紙だけでは、詳しく知るよしもなく。
私はただ、ティーナ夫人に誉めて欲しくて手紙を出したのだ。だけど、返事は来なかった。
久しぶりに帰省したら、村の家中に、喪中の旗がはためいていた。
そう、ティーナ夫人が毒殺されたのだと、その時知った。
私は村長の家に唯一ある、ティーナ夫人の肖像画の前で声を張り上げな泣いた。
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