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新たな名物③
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いきなり、共用語のフア語ではなく、シルヴァスタで使用される、西シルヴァスタ語で話し出した。ルルディもシルヴァスタもフア語ができれば生活には決して困らない。だけど、シルヴァスタは大きな国だ。フア語以外を使う地域が当然にある。特に西シルヴァスタ語は、西側のいくつかの国々が母国語としているために、フア語の次の第二共通語とされている。なので、王族はフア語のほかにこの西シルヴァスタ語、そして、南方で使われる古代シルヴァスタ語が必須科目となっている。
本来の王族なら、この西シルヴァスタ語は当然にマスターしているだけど。
不勉強のロナウド殿下は案の定ぽかん、しかもモニカ妃殿下まで分かっていない様子だったと。
リーナ嬢はもともと母親から、モニカ妃殿下が外交に一切参加できない理由を、お茶会の前に聞いていたが、まさか母国で使用される言語をわからないとまでは思わず、その様子に唖然としていた。
モニカ妃殿下の侍女達も、この三人の令嬢たちの会話を止めれらなかった。
なぜなら、会話の内容は、先代シルヴァスタ国王の功績をたたえる会話だっからだ。
でも、結局はモニカ妃殿下が激昂。
理由は簡単だ、自分のわかる言葉で話さないこの三人の令嬢を不敬だと言う、なんとも傲慢な理由で。
三人の令嬢は、すっと立ち上がり、素晴らしいカーテシーをしてから会場を後にした。
最後に、
「御母堂の命日ですのに、次代を担う女性達のためにこのようなお茶会を開催されるモニカ妃殿下に敬意を」
と、フア語でご挨拶。
え? お母さんの命日に大規模なお茶会?
えっと、確かルルディでは命日、特に親や兄弟、子供に命日には1日中喪服を着る。亡くなって五年は慣例になっているが、真面目な人は何十年も行っている。
モニカ妃殿下もロナウド殿下も、その容姿に映えるような派手な衣装だった。
当然、会場はざわざわ。
三人の令嬢の残した、嫌みな最後の挨拶でね。
モニカ妃殿下も負けていないと、不敬罪に問うとか言っていたそうだ。
「その三人の令嬢達は大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ、不敬罪に当たるような事はしてはいないもの」
その西シルヴァスタ語で行われた会話内容は、モニカ妃殿下の父親の偉業をほめたたえた内容だった事もあるが、最大の問題は西シルヴァスタ語をモニカ妃殿下がマスターしていないことが暴露したことだ。モニカ妃殿下の語学力のなさが露見したし、その後もロナウド殿下の学力のなさまで露見。しかも、ロナウド殿下は西シルヴァスタ語が分かないのがばれたのがよほど嫌だったんだろう。
「これだから、頭でっかちな女は好きじゃなんだ。女はただ黙って男に後ろについてしたがって尽くものだ」
会場の空気が悪くなる中、ロナウド殿下はぐちぐち。
結局、女は男に従え、相応の身なりをしろ、学なんてつけるな、口答えするな、などなど男尊女卑の言葉のオンパレード。後は自分に釣り合うような容姿でないと、とかね。そこにモニカ妃殿下が同意するものだから、余計にね。
次代を担う女性達の橋渡しのお茶会だったはずなのに、ね。
「もう馬鹿馬鹿しくて、早く帰りたかったわ。でも、残った令嬢の中で私が一番立場上上でしょ? 他のお茶会のスタッフからどうかもう少しいてくれって頼まれちゃって。私が退席したら、ほかの令嬢達も帰っちゃうからね」
「大変でしたね」
「本当よ。帰りターシャ嬢達を誘ってカフェで口直ししたくらいよ」
本来の王族なら、この西シルヴァスタ語は当然にマスターしているだけど。
不勉強のロナウド殿下は案の定ぽかん、しかもモニカ妃殿下まで分かっていない様子だったと。
リーナ嬢はもともと母親から、モニカ妃殿下が外交に一切参加できない理由を、お茶会の前に聞いていたが、まさか母国で使用される言語をわからないとまでは思わず、その様子に唖然としていた。
モニカ妃殿下の侍女達も、この三人の令嬢たちの会話を止めれらなかった。
なぜなら、会話の内容は、先代シルヴァスタ国王の功績をたたえる会話だっからだ。
でも、結局はモニカ妃殿下が激昂。
理由は簡単だ、自分のわかる言葉で話さないこの三人の令嬢を不敬だと言う、なんとも傲慢な理由で。
三人の令嬢は、すっと立ち上がり、素晴らしいカーテシーをしてから会場を後にした。
最後に、
「御母堂の命日ですのに、次代を担う女性達のためにこのようなお茶会を開催されるモニカ妃殿下に敬意を」
と、フア語でご挨拶。
え? お母さんの命日に大規模なお茶会?
えっと、確かルルディでは命日、特に親や兄弟、子供に命日には1日中喪服を着る。亡くなって五年は慣例になっているが、真面目な人は何十年も行っている。
モニカ妃殿下もロナウド殿下も、その容姿に映えるような派手な衣装だった。
当然、会場はざわざわ。
三人の令嬢の残した、嫌みな最後の挨拶でね。
モニカ妃殿下も負けていないと、不敬罪に問うとか言っていたそうだ。
「その三人の令嬢達は大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ、不敬罪に当たるような事はしてはいないもの」
その西シルヴァスタ語で行われた会話内容は、モニカ妃殿下の父親の偉業をほめたたえた内容だった事もあるが、最大の問題は西シルヴァスタ語をモニカ妃殿下がマスターしていないことが暴露したことだ。モニカ妃殿下の語学力のなさが露見したし、その後もロナウド殿下の学力のなさまで露見。しかも、ロナウド殿下は西シルヴァスタ語が分かないのがばれたのがよほど嫌だったんだろう。
「これだから、頭でっかちな女は好きじゃなんだ。女はただ黙って男に後ろについてしたがって尽くものだ」
会場の空気が悪くなる中、ロナウド殿下はぐちぐち。
結局、女は男に従え、相応の身なりをしろ、学なんてつけるな、口答えするな、などなど男尊女卑の言葉のオンパレード。後は自分に釣り合うような容姿でないと、とかね。そこにモニカ妃殿下が同意するものだから、余計にね。
次代を担う女性達の橋渡しのお茶会だったはずなのに、ね。
「もう馬鹿馬鹿しくて、早く帰りたかったわ。でも、残った令嬢の中で私が一番立場上上でしょ? 他のお茶会のスタッフからどうかもう少しいてくれって頼まれちゃって。私が退席したら、ほかの令嬢達も帰っちゃうからね」
「大変でしたね」
「本当よ。帰りターシャ嬢達を誘ってカフェで口直ししたくらいよ」
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