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新たな名物②

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 主にリーナ嬢から聞いた話だけどね。
 まず、モニカ妃殿下のこのお茶会には、会場に入るためには順番がある。
 爵位の低いものから入るのだけど、最低爵位は伯爵位の為に、伯爵令嬢は早々と会場入りしていた。次に控える侯爵令嬢達をお待たせできないし、侯爵令嬢の後では、伯爵令嬢は入れないから、手っ取り早くターシャ嬢達は会場に入った。
 そこでまずはひと悶着。
 キャサリンだ。
 当然伯爵令嬢なのだから、侯爵令嬢達の前に入らなければならないのに、呑気にやってきた。お付きのメイド達が「お早くお願いします」と行っているのに呑気にね。本人は優雅なつもりだったのだろうが、他所から見たら呑気に来たようだったと。
 おそらくギリギリまでさんざん迷った挙げ句に選んだドレス。それに合わせたヘアメイクをして、見た目は良かったそうだが、わざわざキャサリンのために入場を待つ侯爵令嬢達を前に、かるーく会釈だけして入ったみたい。

「本当に貴女のお姉様なのかと疑ったわ」

 と、当日の感想を述べるリーナ嬢。

「す、すみません」

 と、萎縮しながら謝罪。

「貴女に呆れている訳じゃないわ。貴女は礼節を守ろうと心がけているのはわかっているもの」

 そう、言ってくれるのはありがたい。
 呆れながらもキャサリンを見送り、侯爵令嬢達が入った。ちなみに侯爵令嬢はリーナ嬢を含めて四人。それぞれの席に着席して、モニカ妃殿下とロナウド殿下が登場して開始の挨拶。
 その時点で、薄々、本来の意味でお茶会が開かれていない思っていたのが確信になったそうだ。
 このお茶会は、次代を担う女性達の橋渡しなんて名目なのに、なんで男性が来てるんだって話だ。
 しかも、時期的にロナウド殿下が在籍しているシルヴァスタの大学は、夏休みが開けて授業が再開しているのに、ね。
 モニカ妃殿下とロナウド殿下の挨拶は内容は素晴らしいが、カンニングペーパーがリーナ嬢の席から見えてしまったそうだ。
 だが、同テーブルの侯爵令嬢達は、お二人を冷たい目で見ていた。
 理由は簡単。
 この三人の侯爵令嬢達が、カタリナ様の事件の後に、ロナウド殿下の婚約者候補から辞退した令嬢達だ。リーナ嬢も候補になったが、転地療養していたため除外された。
 三人の令嬢達は、当然カタリナ嬢の事は知っていた。そして、かつて婚約者候補で辞退しているのに性懲りもなくお茶会に呼んだモニカ妃殿下におもうことがあったそうだ。
 モニカ妃殿下はとても美しい女性だが、お茶会に来た令嬢達を値踏みするように見て回り、小馬鹿にしたように扇の向こうで嘲笑を浮かべていた。ロナウド殿下は金髪のまぶしい美男子だが、つらつらと令嬢達を見ながら、こちらも小馬鹿にしたように、長い金髪を指でくるくると遊んでいた。
 ほとんどの令嬢は、居心地の悪い感じの様子で過ごしていた。
 隣の席の令嬢と、差し障りのない話をして静かに過ごしていた均衡を破ったのは、この三人の侯爵令嬢達だった。
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