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浅はかと大人⑧
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次の日。
私はテヘロン大使館に。
「はむっ」
試作品のカレーパンをぱくり。
見た目はバッチリカレーパン。
あつあつで、中には改良したカレー餡が入ってる。うん、カレーパン、なんというか、カレーパンもどき? 中のカレー餡が薄いのがなあ。
シェフさん曰くいつか店頭販売される時のメインだって。予算と材料の関係でこれらしい。後は、日替わりで品を変えていくそうだ。
『どうでしょうか?』
『パン生地はばっちりなんですが。中身が、なんだか、パンチが、ないというか』
ニコニコと笑うステラ様が見守るなかで、シェフさんと話をすすめる。
『このカレー餡はカレー餡で別の使い道あるとおもいますが、もうちょっと濃く出来ませんか?』
『濃くですか?』
『予算の都合なら、かさ増しに中に入れる具材に蒸かしたじゃがいもか、豆を入れたり。あ、わざと高級価格でひき肉とか牛肉の塊を入れては?』
『高級価格?』
『そうです。中身も価格はっきり区別するんです。もちろん数量限定にして』
『カレー餡の使い道とは?』
『カレーマンかな?』
『か、カレーマン?』
『蒸かすんです。油を使わないので、おやつか、屋台飯みたいな? あ、もちろんカレー餡自体も他に使用手段はあると思います』
『なるほど』
シェフさんはメモを取る。
『ウィンティア嬢、このカレー餡に関してですが、じゃがいもの粉でとろみを付けていますが、他にいい手段はありませんか?』
『えーっと、えーっと、あっ、玉ねぎっ。玉ねぎを飴色になるまで炒めて、ブイヨンと香辛料を少しずつ加えて調整してはどうですか?』
『玉ねぎ? なぜ?』
『玉ねぎは炒めると甘みが増すんです』
て、聞いた。
シェフさんが必死にメモを取る。
『ウィンティア嬢、来週もきていただけます?』
予定はないけど。
『今のところ、予定はないですが』
もしかしたら、急にウーヴァ公爵家から呼び出される可能性もある。もしかしたら、あの小物の悪党について話があるかも知れないし。
『その、婚約者候補の家に呼ばれるかもしれないので。いま、はっきりとは』
『そうですか』
シェフさんがっかりしている。
『ティアさん、金曜日には予定ははっきりする?』
優雅にチァイを傾けていたステラ様が声をかけてくる。
『はい。その頃にははっきりします』
『では、金曜日、ランチご一緒しましょう』
『はい』
ステラ様とランチ、ドキドキ。
それからいくつかの新作を試食。あーでもない、こーでもない、とシェフさんと話す。
やっと終わって、ステラ様とのお茶タイムだ。
私はテヘロン大使館に。
「はむっ」
試作品のカレーパンをぱくり。
見た目はバッチリカレーパン。
あつあつで、中には改良したカレー餡が入ってる。うん、カレーパン、なんというか、カレーパンもどき? 中のカレー餡が薄いのがなあ。
シェフさん曰くいつか店頭販売される時のメインだって。予算と材料の関係でこれらしい。後は、日替わりで品を変えていくそうだ。
『どうでしょうか?』
『パン生地はばっちりなんですが。中身が、なんだか、パンチが、ないというか』
ニコニコと笑うステラ様が見守るなかで、シェフさんと話をすすめる。
『このカレー餡はカレー餡で別の使い道あるとおもいますが、もうちょっと濃く出来ませんか?』
『濃くですか?』
『予算の都合なら、かさ増しに中に入れる具材に蒸かしたじゃがいもか、豆を入れたり。あ、わざと高級価格でひき肉とか牛肉の塊を入れては?』
『高級価格?』
『そうです。中身も価格はっきり区別するんです。もちろん数量限定にして』
『カレー餡の使い道とは?』
『カレーマンかな?』
『か、カレーマン?』
『蒸かすんです。油を使わないので、おやつか、屋台飯みたいな? あ、もちろんカレー餡自体も他に使用手段はあると思います』
『なるほど』
シェフさんはメモを取る。
『ウィンティア嬢、このカレー餡に関してですが、じゃがいもの粉でとろみを付けていますが、他にいい手段はありませんか?』
『えーっと、えーっと、あっ、玉ねぎっ。玉ねぎを飴色になるまで炒めて、ブイヨンと香辛料を少しずつ加えて調整してはどうですか?』
『玉ねぎ? なぜ?』
『玉ねぎは炒めると甘みが増すんです』
て、聞いた。
シェフさんが必死にメモを取る。
『ウィンティア嬢、来週もきていただけます?』
予定はないけど。
『今のところ、予定はないですが』
もしかしたら、急にウーヴァ公爵家から呼び出される可能性もある。もしかしたら、あの小物の悪党について話があるかも知れないし。
『その、婚約者候補の家に呼ばれるかもしれないので。いま、はっきりとは』
『そうですか』
シェフさんがっかりしている。
『ティアさん、金曜日には予定ははっきりする?』
優雅にチァイを傾けていたステラ様が声をかけてくる。
『はい。その頃にははっきりします』
『では、金曜日、ランチご一緒しましょう』
『はい』
ステラ様とランチ、ドキドキ。
それからいくつかの新作を試食。あーでもない、こーでもない、とシェフさんと話す。
やっと終わって、ステラ様とのお茶タイムだ。
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