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浅はかと大人⑦

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 それから和やかに懇親会が進む。
 アサーヴ殿下とスティースュルラ様は、テヘロン人のデザイナーさん達と共にいろんな人に囲まれている。私はフレーバ夫妻にしっかり守られている。絵的には、三人家族に見えるかな?
 
「あのフレーバ子爵、さっきのあの人一体何だったんですか?」

 レモネー夫人がオレンジジュースを取ってくれたので、ありがたく頂く。

「ああ、彼ね」

 フレーバ子爵が困った顔をしている。

「どう説明しようかな?」

「問題児、もしくは護衛騎士の面汚しで十分ですわ」

 はいっ? 優しそうなレモネー夫人から、強烈な言葉が。

「こら、一応、あれでもモロミ侯爵の跡取りだぞ」

「今日で『元』になりますわ。いままでどれだけモロミ侯爵が尻拭いしてきたか」

 はあ、とため息をつくレモネー夫人。

「ウィンティア嬢、気になるようならレオナルド・キーファー様にお聞きになられたほうがよろしくてよ」

 ふふふ、とレモネー夫人。

「デートの回数増やす口実になりますわ」

 私は思わずオレンジジュースを噴きそうになった。

 それから、フレーバ子爵夫妻の知り合いらしき人が挨拶に来て、やっぱりの勘違いをされた。

「おや? フレーバ子爵にこんな大きなご令嬢が?」

「いえいえ違いますよ。彼女のパートナーからお願いされて一緒にいるんです」

 フレーバ子爵夫妻には五歳と二歳の男の子がいるそうだ。

「ふふっ、でも女の子いいわ。頑張っちゃおうかしら」

「お、女の子なんて出来たら、泣いてしまうじゃないかっ」

 なぜ?

「だってお嫁に出すんだぞっ」

 ああ、そっち。いや、ずいぶん先の話だけど。
 すると聞いていた男性方がうんうんと頷いている。
 そこにやっとレオナルド・キーファーが帰って来た。

「お待たせしました」

「いいえ、お疲れ様です」

 レオナルド・キーファーは、丁寧にフレーバ子爵夫妻にお礼を伝えている。
 私達はここで懇親会を後にする。
 スティースュルラ様にご挨拶したいが、しっかり囲まれている。ちら、とスティースュルラ様がこちらを見てくれた。

 ぱちん。

 ウィンク。
 くっ、美しいスティースュルラ様のウィンクッ。これ、拝観料発生するんじゃない?
 
「どうされました?」

「あ、いえ、何でもないです。アンジェリカ様にご挨拶は?」

「先ほど帰宅の話しはしてありますから」

「そうですか?」

 主催のアンジェリカ様もたくさんの人達に囲まれている。ここは静かに帰ろう。
 私はレオナルド・キーファーに引率されて、懇親会会場を後にした。
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