ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
228 / 338

浅はかと大人①

しおりを挟む
 機嫌のよいレオナルド・キーファー。シャツの襟にテヘロンの立体的な花の刺繍が施されている。こちらは小さくワンポイント。
 花の刺繍がある襟シャツ、似合うのはレオナルド・キーファーが総合的イケメンだからね。

「ウィンティア嬢、お会いしたかったです」

「先週会いましたよね」

 あのグレン伯爵と遭遇した公園から、10日くらい経ってるかな?

「毎日でもお会いしたいです。シルヴァスタまで半年ありませんから」

「そうでしたね。でも、そちらのお仕事優先してください」

 すると、眉が情けなく下がってる。

「ウィンティア嬢、私と会うのは嫌ですか?」

 眉を下げるな、そして怒られる前の大型犬の顔しない。

「無理に時間作って体調崩したらどうするんですか? 私、責任取れませんよ」

 すると、ぱっ、と明るい顔に。忙しい人。

「私の心配をしてくれているんですねっ」

「大変なお仕事なんでしょう。私との時間作ってミスなんて許されませんよ」

 なんて話をしていると、貴族の宅地の区画を抜けて大通りに入る。
 アンジーの懇親会があるホテルは、少し郊外にある。駐車場や宿泊施設の関係だけどね。郊外といっても、ハイソな土地にあり、治安の良いところにある。ちなみにモニカ妃殿下のお茶会は、懇親会が行われるホテルから、馬車で三十分ほど離れた会場だ。宿泊施設はない。
 予想はしていたが渋滞している。
 馬車を降りる人達と、その人達の為に一度馬車を止めたり、再度動かしたりで渋滞発生。中には諦めて途中から馬車を降りる人達もいる。
 結局、私達も降りることになる。ボーイさんが丁寧に対応してくれる。番号札をレオナルド・キーファーが預かり、もう一つはバトレルさんが持つ。懇親会にはバトレルさんはくっついてこない。もともと、ウーヴァ公爵家経営のホテルだし、私とレオナルド・キーファーとの事情を知っている人達が入り込んでるって。
 私はレオナルド・キーファーにお手して連行される。
 行ったことないけど、高級ホテルみたい。
 ピカピカに磨き上げられた天井と床、輝くシャンデリア。飾られた花は美しい、絵画はよく分からん。
 ふわあー、とまるでおのぼりさんのように見上げる。

「招待状の拝見させていただきます」

「はい」

 レオナルド・キーファーがうちポケットから、招待状を取り出し渡す。係の人は素早くチェック。

「レオナルド・キーファー様、ウィンティア・ローザ様。懇親会会場までご案内いたします」

 係の人は、近くの女性にバトンタッチ。
 私はレオナルド・キーファーにお手したまま、女性の後に続いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜

影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。 けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。 そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。 ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。 ※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。

処理中です...