227 / 338
新学期とまどか⑧
しおりを挟む
新学期はトラブルなく過ぎていった。
授業や語学クラブ、園芸の係と忙しく過ごしている。あのテヘロン大使館に保護された経緯は一部の生徒は分かっているが、遠巻きにこそこそ言われるが気にしない。なんだかんだと忙しいから気にもしない。すると、知らないうちに、向こうは興味が失せたように去っていった。
私が気にしないのもそうだけど、やっぱりスティースュルラ様に連れられていたのが大きいみたい。『テヘロンの至宝』なんて呼ばれている王女様のお気に入りだと、思われているから、あからさまにそれを揶揄するような事はしないって。
スティースュルラ様々だ。
そしてあっという間にアンジーの懇親会だ。
一旦ローザ伯爵家に戻り準備してから、レオナルド・キーファーがお迎えに来てくれるそうだ。
朝早く迎えに来てくれた馬車には、ナタリアとバトレルさんが。トラブルなくローザ伯爵家に戻り準備を始める。丁寧にナタリアが仕上げてくれる。アンジェリカ様のお下がりリメイクドレスは、ピンクのドレスに、濃いピンクの飾りがあしらわれている。そのリボン自体に、立体的な花の刺繍が入っている。髪もそのリボンで飾る。
「こちらはテヘロンの伝統的な刺繍だそうです」
このリボンに刺激を受けた、あのリメイクを請け負った工房の針子さん達が今回の為に仕上げてくれたようだ。
小さなバッグも刺繍入りリボンで飾られている。ハンカチと懐中時計を入れて、と。ハンカチはテヘロンのあの侍女さんが刺繍してくれたハンカチだ。
よし、いいかな。
ウィンティア、かわいいよ。
そう内側に言うが、全く反応がない。仕方ないか、このローザ伯爵家はウィンティアにしたら、魔窟だからね。
レオナルド・キーファーが迎えに来るまで、ちょっと時間があるかな。
のんびりするかな、なんて思っていたら、なにやら部屋の向こうが騒がしい。耳を済ませないと聞こえないけどね。
どうしたんだろう?
ナタリアと顔を見合わせていると、バトレルさんがやって来た。
「何の騒ぎですか?」
「キャサリンお嬢様の支度が全く進まないそうです」
全く興味ないように言うバトレルさん。
どうやら、キャサリンが今日着ていくドレスやアクセサリーを決めていたないみたいだ。え? 今日だよね、モニカ妃殿下のお茶会。あんなにドレスやアクセサリーを買っていたのに、まだ決めてないの?
キャサリンは朝からしっかりお風呂とエステを受けて、いざ、並べられた衣装達を前にあーでもないこーでもないと言い出した。ドレスの色に応じて、メイクや髪型を変えなくてはならないのに、優柔不断にやってるそうだ。
アンジーの懇親会とモニカ妃殿下のお茶会は、同じ時間に開場するが、モニカ妃殿下のお茶会には入る順番がある。立場が低いとか若人から開場入りし、立場が高い人達が後から入る。アンジーは先に工房関係やアンジーに出店した人達が先に入り、その後お得意様が入る。アンジーの懇親会は厳密ではないのだけど、モニカ妃殿下のお茶会は厳密になるはず。当然順番を間違えたら、お茶会に入れない。あれだけ大金使ってなんやらかんやら準備したくせに、遅刻したらどう責任とるつもりだろう? あ、あいつの事だ、反省って言葉を知らないな。
まあ、キャサリンが遅刻しようが、私は関係ないか。
レオナルド・キーファーが迎えに来た。私が先に出ることになる。
キャサリンの部屋の前を通ると、
『もうっ、早くしてちょうだいっ、遅れちゃうじゃないっ』
と、癇癪を起こしたような耳障りな声が聞こえた。パタパタと走る音。多分メイド達が振り回されているんだろうな。
お気の毒。
まあ、すれ違わないからいいか。
私は玄関に向かうと、スーツ姿のレオナルド・キーファーが。
あ、幻覚が。
レオナルド・キーファーがぶんぶんと尻尾を振ってる大型犬に見えた。
授業や語学クラブ、園芸の係と忙しく過ごしている。あのテヘロン大使館に保護された経緯は一部の生徒は分かっているが、遠巻きにこそこそ言われるが気にしない。なんだかんだと忙しいから気にもしない。すると、知らないうちに、向こうは興味が失せたように去っていった。
私が気にしないのもそうだけど、やっぱりスティースュルラ様に連れられていたのが大きいみたい。『テヘロンの至宝』なんて呼ばれている王女様のお気に入りだと、思われているから、あからさまにそれを揶揄するような事はしないって。
スティースュルラ様々だ。
そしてあっという間にアンジーの懇親会だ。
一旦ローザ伯爵家に戻り準備してから、レオナルド・キーファーがお迎えに来てくれるそうだ。
朝早く迎えに来てくれた馬車には、ナタリアとバトレルさんが。トラブルなくローザ伯爵家に戻り準備を始める。丁寧にナタリアが仕上げてくれる。アンジェリカ様のお下がりリメイクドレスは、ピンクのドレスに、濃いピンクの飾りがあしらわれている。そのリボン自体に、立体的な花の刺繍が入っている。髪もそのリボンで飾る。
「こちらはテヘロンの伝統的な刺繍だそうです」
このリボンに刺激を受けた、あのリメイクを請け負った工房の針子さん達が今回の為に仕上げてくれたようだ。
小さなバッグも刺繍入りリボンで飾られている。ハンカチと懐中時計を入れて、と。ハンカチはテヘロンのあの侍女さんが刺繍してくれたハンカチだ。
よし、いいかな。
ウィンティア、かわいいよ。
そう内側に言うが、全く反応がない。仕方ないか、このローザ伯爵家はウィンティアにしたら、魔窟だからね。
レオナルド・キーファーが迎えに来るまで、ちょっと時間があるかな。
のんびりするかな、なんて思っていたら、なにやら部屋の向こうが騒がしい。耳を済ませないと聞こえないけどね。
どうしたんだろう?
ナタリアと顔を見合わせていると、バトレルさんがやって来た。
「何の騒ぎですか?」
「キャサリンお嬢様の支度が全く進まないそうです」
全く興味ないように言うバトレルさん。
どうやら、キャサリンが今日着ていくドレスやアクセサリーを決めていたないみたいだ。え? 今日だよね、モニカ妃殿下のお茶会。あんなにドレスやアクセサリーを買っていたのに、まだ決めてないの?
キャサリンは朝からしっかりお風呂とエステを受けて、いざ、並べられた衣装達を前にあーでもないこーでもないと言い出した。ドレスの色に応じて、メイクや髪型を変えなくてはならないのに、優柔不断にやってるそうだ。
アンジーの懇親会とモニカ妃殿下のお茶会は、同じ時間に開場するが、モニカ妃殿下のお茶会には入る順番がある。立場が低いとか若人から開場入りし、立場が高い人達が後から入る。アンジーは先に工房関係やアンジーに出店した人達が先に入り、その後お得意様が入る。アンジーの懇親会は厳密ではないのだけど、モニカ妃殿下のお茶会は厳密になるはず。当然順番を間違えたら、お茶会に入れない。あれだけ大金使ってなんやらかんやら準備したくせに、遅刻したらどう責任とるつもりだろう? あ、あいつの事だ、反省って言葉を知らないな。
まあ、キャサリンが遅刻しようが、私は関係ないか。
レオナルド・キーファーが迎えに来た。私が先に出ることになる。
キャサリンの部屋の前を通ると、
『もうっ、早くしてちょうだいっ、遅れちゃうじゃないっ』
と、癇癪を起こしたような耳障りな声が聞こえた。パタパタと走る音。多分メイド達が振り回されているんだろうな。
お気の毒。
まあ、すれ違わないからいいか。
私は玄関に向かうと、スーツ姿のレオナルド・キーファーが。
あ、幻覚が。
レオナルド・キーファーがぶんぶんと尻尾を振ってる大型犬に見えた。
89
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?
西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。
連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。
★★
恋愛小説コンテストに出す予定です。
タイトル含め、修正する可能性があります。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
側妃のお仕事は終了です。
火野村志紀
恋愛
侯爵令嬢アニュエラは、王太子サディアスの正妃となった……はずだった。
だが、サディアスはミリアという令嬢を正妃にすると言い出し、アニュエラは側妃の地位を押し付けられた。
それでも構わないと思っていたのだ。サディアスが「側妃は所詮お飾りだ」と言い出すまでは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる