ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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新学期とまどか③

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 それが、私と両親、みどりお姉ちゃんとの溝を深めた。私も言い返した、ずいぶん言い返した。

 私に我慢を強いた癖に。

 親に甘えて好きな学校行った癖に。

 私の何倍もお金もらっている癖に。

 私の我慢してきた物が爆発。みどりお姉ちゃんは唖然としていた。お茶請けのお菓子を振りかざしていた私を止めたのは従姉のまさみちゃんだった。事情を知っていたまなみちゃんは、私を外に連れ出してくれた。

「お父さんっ、私、まどかちゃんとドライブして、ご飯に行くから、その無神経バカに分からせてっ」

 まさみちゃんは私を車に乗せて、

「叫んでいいよまどかちゃんっ」

「うわわわわぁぁぁぁぁんっ」

 私は叫んだ。落ち着くまで、近所をぐるぐる。
 なんとまさみちゃんは数日前に免許取ったばっかりだった。
 不思議と叫んでお腹減った。
 まさみちゃんはお高い焼き肉に連れてってくれた。
 お金の心配したけど、ちゃんと伯母さんが持たせてくれていたみたいだ。
 美味しかった。
 短期間で泣いて叫んで、拒絶して。私の中でいろんな物が変わった。
 両親とみどりお姉ちゃんとは完全に連絡をあれから遮断。あの話し合いで、私の中で、両親とみどりお姉ちゃんは軽蔑の対象になったから。私とみどりお姉ちゃんを比べ続け、深く傷付いていたなのに塩を塗った両親。私にいろんな我慢を強いて、私が受けれない両親の手厚い比護を受けていたみどりお姉ちゃんを憎んだ。
 就職する時も伯父さんのお世話になってしまった。
 ただ、いざ寮に移る前に両親が伯父さんのうちに。私は伯父さん、伯母さん同席で会った。
 差し出したのは茶封筒。
 そう現金だ。
 ほら、と父がつっけんどんに。

「独り暮らしは物入りだから」

 と、両親は言ったが、私の返した言葉はこうだ。

「バカにしないでよっ。あんた達のお金なんていらないわよっ。私はこれから一人で生きていくんだからっ」

 私は茶封筒を叩き返した。
 いくら入っていたか分からないけど。
 そのときはバカにされたと思った。
 しぶしぶ差し出した様に見えた。

「お金ないから大学諦めろとかアルバイトしろとか言った癖にっ。そんなにお金がおしいのっ、みどりお姉ちゃんにはお金かけてきた癖にっ、なら返してやるわよっ、働いて返してやるわよっ、いままでの分返してやるわよっ」

 私は怒鳴り部屋を出た。後で窓から帰る両親の姿を見た。母は泣いていた。
 微かに覚えた罪悪感を無視した。
 私は心機一転ではないが、頑張って働いた。幸運にも就職先では可愛がって貰えた。高卒で来るのが珍しいのもあったが、頑張って働いていると、自然と皆さんよくしてくれた。
 ただ、やはり独り暮らしは厳しかった。高校時代アルバイトしたが、最低限の物しかなかったし。ちょっとずつ揃えて行った。
 そして実感した。
 子供一人でも抱えての生活って大変だと言うこと。
 学費に食費に、習い事、家のローンだってある。
 不景気で父の収入は下がり、母はパートをしていた。両親は共働きでみどりお姉ちゃんにお金を送った。独り暮らしが成り立つ程の額を毎月捻出していた。
 だからと言って私に我慢を強いるのはおかしい。みどりお姉ちゃんが奨学金を借りていたら、変わっていたはずなのに、それをさせずに、しわ寄せが私に来たんだから。
 だけど、生活って大変。
 まさみちゃんに溢すと、そうでしょうね、とあっさり言われた。
 おそらく、みどりお姉ちゃんは就職して初めて両親が無理していたのが分かった。だけど、録に事情を知らされずに、謝った解釈をし、私を怒鳴ったんだって。
 私のおこずかいが削られ、大学進学するにも厳しい状況とは知らなかった。知らずにみどりお姉ちゃんは大学生活を謳歌した。それのしわ寄せで私の進学が閉ざされようとしていたなんて知らなかった。
 みどりお姉ちゃんはあれから私と連絡を取りたいと言ってきたけど、伯父さん達は少し時間を空けるように言ってくれた。
 あの茶封筒の半分は、みどりお姉ちゃんが貯めた貯金だと聞いたのはずいぶん後だった。
 そうずいぶん後。
 私は成人式には出なかった。着物ないし、ね。伯母さんやまさみちゃんはせめて写真だけでもと言ってくれたが断った。そのちょっと前に両親が伯父さんを介して、せめて成人式の準備をするからと言ってきた。着物はみどりお姉ちゃんのやつね。私はひねくれて断ったばかりだったから。
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