ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
221 / 338

新学期とまどか②

しおりを挟む
 向かった先は、伯父さんの家だ。
 何も手にせず飛び出したので、歩いた。二時間以上歩いた。着いたのは夜の十時過ぎ。それでも伯父さんは私を見て迎え入れてくれた。

「まどかちゃん、疲れたでしょう。さ、お菓子があるから食べて、美味しいわよ」

 と、優しい伯母さんに労いの言葉と、暖かいお茶、クッキーを食べさせてくれて、私はやっと泣いた。
 今までの不満、みどりお姉ちゃんに比べられた事、我慢していた事、ずっと我慢していた事。
 みどりお姉ちゃんは他県で独り暮らしの大学生生活。勉強が大変だろうと両親は、みどりお姉ちゃんにアルバイトはさせなかった。そしていつかみどりお姉ちゃんの負担になるからと奨学金の類いも受けさせなかった。毎月送る生活費を送るのに四苦八苦していた。私の毎月のおこずかいも、みどりお姉ちゃんが同じとしにもらっていたより少ないおこずかいだった。しかも私が希望していた大学には、お金がないから厳しいし、奨学金を受けるか、アルバイトをするようにと当たり前の様に言っていたのが、我慢ならなかった。
 それに賭けにされたこと、まだ私がその時深く傷付いていたのが重なった。

 なんで? 私は我慢しなくちゃならないの? いつまで我慢しなくちゃならないの?

 私は泣き叫んでいた。
 伯母さんはずっと抱き締めてくれた。
 話を黙って聞いていた伯父さんは、いつの間にか車で出掛けて、深夜に帰ってきた。

「まどか、しばらくうちにいなさい」

 伯父さんは両親と話をしてきたみたいだった。
 学校には行きたくなかった、やめたかったが、伯父さんはそれだけは許してくれなかった。もうすでに高校生活半年も残っていなかったし、高校中退による私の将来を心配してからだ。こんこんと説明されて、私は高校だけは卒業することを選んだ。それからスマホは新たに伯父さんが準備してくれた。高校には伯父さんの家から通い。伯母さんがお弁当を持たせてくれた。クラスでは完全に孤立したけど、私はそれで良かった。何度か謝ろとしてきた生徒がいたが、私は拒絶した。あの男子生徒が何度も言ってきたが、私は無視を通した。
 進学を諦めて就職を選んだ。
 伯父さんが学費はいずれ返してくれたらいいからと、大学を薦めてくれたが、さすがにそこまで甘えられなかった。高校の担任の先生も何度か相談に来たけど、私は就職を選んだ。
 その頃に伯父さんは両親とみどりお姉ちゃんを自宅に呼んで話の場を設けた。
 で、話し合いなんて生ぬるい事にはならなかった。
 おそらく、両親はしっかりした経緯をみどりお姉ちゃんには話していなかったんだと思う。
 私の顔を見て、いきなり怒鳴ってきた。
 思い出したくない。
 集約すると、私が色恋にまみれて、男子生徒と上手く行かずに逆ギレした。高校まで出すのにお金がいくらかかっているのか分かっているのか、とかね。
 私はぶちギレて、お茶をみどりお姉ちゃんの顔面にぶっかけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜

影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。 けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。 そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。 ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。 ※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。

処理中です...