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友達④
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「オブリィ、お腹の子に触りますよ」
「はい、お母様。あ、そうだわティアラの事を聞きたがったのよね」
「はい」
ミッドナイト貧血くらいしか、わからない。
「ティアラは肌色の白い子で、おしとやかな子だったわ。読書が好きで、よく図書館に通っていたわ。ちょっと偏食家でもあったけど。ウィンティアさんは好き嫌いある?」
「いいえ。基本的にはなんでも食べます」
「いいことよ」
ふふっ、と笑うオブリィ嬢。
「貴女は確かに見た目はティアラにそっくりだけど、やっぱり貴女は貴女だわ」
「見た目はって」
「ええ。驚くほど似ているわよ。だけど、話していると違うわ。ティアラは大人しい性格で、内気で初対面の方とはこうやって正面向いて話せるような子ではなかったわ」
懐かしそうに笑うオブリィ嬢。それって、私が気が強そうって事かな?
それからは楽しいおしゃべりが続いた。話をしながら確信。やっぱりゲームはゲームだ。ティアラ・ローザが婚約者以外の誰かと駆け落ちして、なんて信じられない性格だった。どちらかと言うと、黙ってついていく感じの人となりだ。ミッドナイト貧血になる前は、婚約者とは仲が悪くなかったみたいだし。それにユミル学園に入学したが、僅か半年でミッドナイト貧血を発症してから療養に入り、その後オブリィ嬢とは文通していたそうだ。
「ふうっ」
オブリィ嬢が座り直す。そろそろ限界だよね。
「あの、お腹大丈夫ですか?」
「ええ。元気な証拠なんだけど、蹴る力が強くて。そろそろ失礼したいのだけど、ウィンティア嬢にお渡ししたいものがあるのよ」
オブリィ嬢が合図すると、メイドさんが箱を持ってきた。
「私のドレスなんだけど、リメイクしたのよ。うちは男ばっかりで、良かったら着てくださらない」
そう。ルルディ王国はお下がり文化がある。こうやって知り合った年長者から、お下がりをもらうのは珍しくない。お下がり前提なので、仕立てるときに品質の良く仕立てるそうだ。
えっといいのかな?
着てみてオーラのオブリィ嬢とニコニコキスティ夫人に見送られて、ナタリアと別室へ。
箱の中には、薄紫色のワンピースだ。ふわっとした袖に、胸元には小さなバラの飾り、スカートは白いレース。
「お嬢様はなんでもお似合いですっ」
テンションが上がるナタリア。
まあ、ウィンティアはかわいいからね。
待っていたオブリィ嬢とキスティ夫人は誉めてくれた。
「かわいいわ、やっぱり女の子よね。ああ、女の子がいいわあ」
と、オブリィ嬢がお腹を撫でる。
「本当に夢があるわ」
と、キスティ夫人。
グレン伯爵家は子供は四人。長女のオブリィ嬢以外全員男児で、オブリィ嬢には二人子供がいるが男児。長男と次男の子供も全員男児。
「フリーだったらリヒトのお嫁さんにしたいくらいよ」
リヒトとは、グレン伯爵家の末っ子ね。唯一の独身だってさ。
でも、ほら、もしかしたら、オブリィ嬢のお腹、女の子の可能性が。
「絶対男の子よ。あふっ」
お腹蹴られたみたい。元気だね。
「ふふっ、それでデートして来てね。あ、馬が合わないようならうちにリヒトっていう見た目むさいけど、紳士な弟がいるのよ」
なんの宣伝?
よくわからないけど、頂いたのでお礼を伝える。
オブリィ嬢はそれで退室される。
お見送りする。
「さて、ウィンティア嬢。私と少しお話しましょう」
「はい」
私はキスティ夫人と向き合った。
「はい、お母様。あ、そうだわティアラの事を聞きたがったのよね」
「はい」
ミッドナイト貧血くらいしか、わからない。
「ティアラは肌色の白い子で、おしとやかな子だったわ。読書が好きで、よく図書館に通っていたわ。ちょっと偏食家でもあったけど。ウィンティアさんは好き嫌いある?」
「いいえ。基本的にはなんでも食べます」
「いいことよ」
ふふっ、と笑うオブリィ嬢。
「貴女は確かに見た目はティアラにそっくりだけど、やっぱり貴女は貴女だわ」
「見た目はって」
「ええ。驚くほど似ているわよ。だけど、話していると違うわ。ティアラは大人しい性格で、内気で初対面の方とはこうやって正面向いて話せるような子ではなかったわ」
懐かしそうに笑うオブリィ嬢。それって、私が気が強そうって事かな?
それからは楽しいおしゃべりが続いた。話をしながら確信。やっぱりゲームはゲームだ。ティアラ・ローザが婚約者以外の誰かと駆け落ちして、なんて信じられない性格だった。どちらかと言うと、黙ってついていく感じの人となりだ。ミッドナイト貧血になる前は、婚約者とは仲が悪くなかったみたいだし。それにユミル学園に入学したが、僅か半年でミッドナイト貧血を発症してから療養に入り、その後オブリィ嬢とは文通していたそうだ。
「ふうっ」
オブリィ嬢が座り直す。そろそろ限界だよね。
「あの、お腹大丈夫ですか?」
「ええ。元気な証拠なんだけど、蹴る力が強くて。そろそろ失礼したいのだけど、ウィンティア嬢にお渡ししたいものがあるのよ」
オブリィ嬢が合図すると、メイドさんが箱を持ってきた。
「私のドレスなんだけど、リメイクしたのよ。うちは男ばっかりで、良かったら着てくださらない」
そう。ルルディ王国はお下がり文化がある。こうやって知り合った年長者から、お下がりをもらうのは珍しくない。お下がり前提なので、仕立てるときに品質の良く仕立てるそうだ。
えっといいのかな?
着てみてオーラのオブリィ嬢とニコニコキスティ夫人に見送られて、ナタリアと別室へ。
箱の中には、薄紫色のワンピースだ。ふわっとした袖に、胸元には小さなバラの飾り、スカートは白いレース。
「お嬢様はなんでもお似合いですっ」
テンションが上がるナタリア。
まあ、ウィンティアはかわいいからね。
待っていたオブリィ嬢とキスティ夫人は誉めてくれた。
「かわいいわ、やっぱり女の子よね。ああ、女の子がいいわあ」
と、オブリィ嬢がお腹を撫でる。
「本当に夢があるわ」
と、キスティ夫人。
グレン伯爵家は子供は四人。長女のオブリィ嬢以外全員男児で、オブリィ嬢には二人子供がいるが男児。長男と次男の子供も全員男児。
「フリーだったらリヒトのお嫁さんにしたいくらいよ」
リヒトとは、グレン伯爵家の末っ子ね。唯一の独身だってさ。
でも、ほら、もしかしたら、オブリィ嬢のお腹、女の子の可能性が。
「絶対男の子よ。あふっ」
お腹蹴られたみたい。元気だね。
「ふふっ、それでデートして来てね。あ、馬が合わないようならうちにリヒトっていう見た目むさいけど、紳士な弟がいるのよ」
なんの宣伝?
よくわからないけど、頂いたのでお礼を伝える。
オブリィ嬢はそれで退室される。
お見送りする。
「さて、ウィンティア嬢。私と少しお話しましょう」
「はい」
私はキスティ夫人と向き合った。
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