上 下
211 / 338

友達②

しおりを挟む
 グレン伯爵家内は落ち着いた感じのある屋敷内だ。
 まずは手土産を渡してから。いや、まず謝罪だ。

「ローザ家の人間がお騒がせして申し訳ありません」

「いいのよ。あらかじめ、ウーヴァ公爵様からご連絡を受けていたから」

 どんな説明をしたんだろう。
 わからないけど、ティアラ・シリーズはキスティ夫人の元に。

「まあ、嬉しいわ。お気遣いありがとうございます」

 ニコニコと受けとるキスティ夫人。

「ウィンティア嬢、本当に来てくださりありがとうございます」

「私こそお招き頂きありがとうございます。叔母の件も知りたかったので」

 そう。今回のお招きの真実。
 ずっと前に病死した、ウィンティアの叔母、ティアラ・ローザについて知りたい事があったから。
 ローザ伯爵家ではどうやら鬼門のようで、ナタリアが探りを入れたがわからなかった。ローザ伯爵家には何枚かの肖像画があるが、ティアラ・ローザと、ウィンティアの祖母ティーナ・ローザのものが一枚もない。資産のある貴族の家なら肖像画の一枚は、たしなみとしてあるはずなんだけど、一枚もない。もしかしたら、病死したティアラ・ローザを思い出すのが辛いとかかな?って思ってわけでもないけど。それにどうしてティーナ・ローザの肖像画がないか、だ。生物学上の両親に聞くのもしゃくだしね。
 もんもんとしていたら、グレン伯爵家のお茶会。なんとグレン伯爵家の末娘が、ティアラ・ローザの同級生。なので、キスティ夫人もティアラ・ローザを知っていた。だから、レオナルド・キーファーと一緒にいた私を見て内心びっくりしたそうだ。
 ウィンティアはどうやらティアラ・ローザにそっくりさんみたい。
 グレン伯爵家の娘、オブリィ・ナードゥ、旧姓オブリィ・グレンが私と合って話をしたい。オブリィ嬢は、ティアラ・ローザと仲良しだったみたい。なので、セシリア・ウーヴァ公爵から確認された。私の貴族社会のパイプにも出来るが、面識ゼロの叔母の話ばかりされる可能性があり、ウィンティアを話の出汁にされて終わる可能性があると。
 だけど、私は受けた。
 ティアラ・ローザの事が分かるからと。
 ここはゲームとは違う。だから、本当のティアラ・ローザと人となりを知りたかった。
 キャサリンが中途半端にあるゲームの知識で、自分はローザ伯爵家のたった一人の跡取りと思っていると言うことは、ウィンティアはローザ伯爵家に籍はないと思っているんじゃないかって。いずれ、キャサリンを叩く時に、向こうはこれを変な風に使ってた時に、ギャフンと言わせる為に遣り返す為に必要な情報が欲しい。
 数人の使用人が頭を下げた中の向こうから、一人の女性が現れた。
 大きなお腹を抱えた女性は、私を見ると、目に一杯に涙を浮かべた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」 パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。 夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる…… 誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。

天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。 スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。 ※誤字報告、感想などありがとうございます! 書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました! 電子書籍も出ました。 文庫版が2024年7月5日に発売されました!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

処理中です...