210 / 338
友達①
しおりを挟む
馬車が到着する。
ドアが開き、グレン伯爵家の使用人が手を差し出してくれるので、この場合は介助されて降りる。なので、手を借りて降りる。中年のフットマンだ。ちょっぴりてっぺんが寂しい感じね。
降りるとまず目に入って来たのは、ふりふりの白いドレス、スカート部分にはたくさんの色とりどりのお花が飾ってある。ふわふわの髪は同じようなリボンで飾っている。手にもそんな感じのかわいいバック。見た目がいいだけ、よく似合うけどね。ただ、今回は私的なお茶会。なのであまりめかしこんで行くのはあまりよろしくない。キャサリンの格好は大がかりの上級貴族のお茶会のものだ。
同行している専属メイドは疲れた顔していた。一度ナタリアに私の部屋の鍵を渡すように言ったメイドね。
玄関には少しお年の男性がキャサリンの対応をしていた。多分執事の方かな。
ちら、とこちらを確認されて、控えていた別のメイドさんに合図を送ると、メイドさんはすっと奥に。
「まあっ、あなた何をしているのっ、あんなにぐずぐず行きたくないって言ってた癖にっ。それでわざわざ私が代わりに来てあげたのよっ。しかも遅刻してきてよくも平気でいられるわねっ」
こいつの頭、中身どうなっているんだろう?
最近、こいつと会話なんてしていないのに。
「お待ちしていましたウィンティア・ローザ様。私、グレン伯爵家に支えますバルバトと申します」
と、胸に手を当てご挨拶してきてくれたのは執事さん。キャサリン、完全無視だ。
「本日はお招きありがとうござ」
「申し訳ありませんっ。妹は移り気な性格で、朝まで格式高いグレン伯爵家のお茶会は気後れするとぐずってましたのっ。せっかくのご招待ですので、穴を開けると我がローザ伯爵家の面子が立たないからと両親から言われて跡取り娘私が代わりに参った次第ですのっ」
私のご挨拶をぶったぎり、キャサリンがバルバトさんの前にしゃしゃり出る。
次から次へと嘘が飛び出す。
そしてくるっとこちらに向く。
「あなた一体どういう神経しているのっ。あれだけ、嫌だ嫌だと言ってお父様を困らせてっ。私が代わりに行くのが気にくわなかったでしょっ。なんてひねくれているんでしょうっ。気まぐれに遅刻してきて恥ずかしくなうのっ」
「そっくりそのまま返すわ」
私は呆れを通り越し、無表情で返す。
「まあっ、なんて子なのっ。自分の事を棚に上げてっ」
「そっくりそのまま返すわ。お騒がせしまして、申し訳ありません」
私はバルバトさんに頭を下げる。ナタリアとバトレルさんも習い、キャサリンのメイドも頭を下げる。
「まあっ、謝ればなんとかなると思っているのっ。浅はかな子供ねっ」
この言葉、いつかそっくりそのまま返そう。
そう決意した時、キスティ夫人が奥から出てきた。
「ようこそウィンティア嬢、時間ピッタリね」
ニコニコと笑うキスティ夫人。
「本日はお招きありがとうござ」
と、改めてご挨拶しようしたが、またもキャサリンがぶったぎって来た。
「申し訳ありませんグレン伯爵夫人っ。妹は今までこちらに伺うのを拒んでいましたのっ。それに、みすぼらしいこの子には荷も重いだろうと、両親が私に代わりに行くようにと」
わあっ、キスティ夫人の目、こわっ。
気が付かず、つらちら嘘を並べるキャサリン。
「さあ、ウィンティア嬢、こちらにいらして」
キャサリンはガン無視の姿勢で、私に優しく微笑んでくれる。私は何度目かのご挨拶して、キスティ夫人の元に。
「招かれざるお嬢さん。警らを呼ばれたくなければ、お帰りなさい」
感情の入っていない言葉に、キャサリンがきょとんとする。
「えっ? 私が来ているのに?」
ああ、もしかしたら、これゲームのイベントの一つだったのかな? キャサリンには『七色のお姫様 ゲスな恋をあなたと』の知識が中途半端にある。キャサリンの攻略対象のイベントが、もしかしたらこのお茶会だったりして。いや、別もありゆる。だって、ウーヴァ公爵を怒らせてキャサリンはこういったお茶会等に一切呼ばれていない。華やかなものが好きなキャサリンが、それに不満で、たまたまウィンティアに来たグレン伯爵家へのご招待を横取りして、回る口先で手柄を立てようとしたのかも。それを足掛かりにお茶会に復帰したかったのかね?
「キャサリンお嬢様、帰りましょう」
キャサリンのメイドが腕をとる。
「どうして? 私が来ているのに、なんでお茶会に行けないの? あの子が行けるのに、なんで私が?」
「帰りましょうお嬢様っ」
「きゃっ、何をするのっ、痛いわっ」
「このままでは警らを呼ばれますっ、ローザ伯爵家に泥を塗りますっ」
「それはあの子よっ。私があの子の代わりに来てあげたのにっ」
キャサリンのメイドは、必死にキャサリンを腕を掴み、自分達が乗ってきた馬車に引き上げる。最後の最後まで騒がしキャサリンだった。
ドアが開き、グレン伯爵家の使用人が手を差し出してくれるので、この場合は介助されて降りる。なので、手を借りて降りる。中年のフットマンだ。ちょっぴりてっぺんが寂しい感じね。
降りるとまず目に入って来たのは、ふりふりの白いドレス、スカート部分にはたくさんの色とりどりのお花が飾ってある。ふわふわの髪は同じようなリボンで飾っている。手にもそんな感じのかわいいバック。見た目がいいだけ、よく似合うけどね。ただ、今回は私的なお茶会。なのであまりめかしこんで行くのはあまりよろしくない。キャサリンの格好は大がかりの上級貴族のお茶会のものだ。
同行している専属メイドは疲れた顔していた。一度ナタリアに私の部屋の鍵を渡すように言ったメイドね。
玄関には少しお年の男性がキャサリンの対応をしていた。多分執事の方かな。
ちら、とこちらを確認されて、控えていた別のメイドさんに合図を送ると、メイドさんはすっと奥に。
「まあっ、あなた何をしているのっ、あんなにぐずぐず行きたくないって言ってた癖にっ。それでわざわざ私が代わりに来てあげたのよっ。しかも遅刻してきてよくも平気でいられるわねっ」
こいつの頭、中身どうなっているんだろう?
最近、こいつと会話なんてしていないのに。
「お待ちしていましたウィンティア・ローザ様。私、グレン伯爵家に支えますバルバトと申します」
と、胸に手を当てご挨拶してきてくれたのは執事さん。キャサリン、完全無視だ。
「本日はお招きありがとうござ」
「申し訳ありませんっ。妹は移り気な性格で、朝まで格式高いグレン伯爵家のお茶会は気後れするとぐずってましたのっ。せっかくのご招待ですので、穴を開けると我がローザ伯爵家の面子が立たないからと両親から言われて跡取り娘私が代わりに参った次第ですのっ」
私のご挨拶をぶったぎり、キャサリンがバルバトさんの前にしゃしゃり出る。
次から次へと嘘が飛び出す。
そしてくるっとこちらに向く。
「あなた一体どういう神経しているのっ。あれだけ、嫌だ嫌だと言ってお父様を困らせてっ。私が代わりに行くのが気にくわなかったでしょっ。なんてひねくれているんでしょうっ。気まぐれに遅刻してきて恥ずかしくなうのっ」
「そっくりそのまま返すわ」
私は呆れを通り越し、無表情で返す。
「まあっ、なんて子なのっ。自分の事を棚に上げてっ」
「そっくりそのまま返すわ。お騒がせしまして、申し訳ありません」
私はバルバトさんに頭を下げる。ナタリアとバトレルさんも習い、キャサリンのメイドも頭を下げる。
「まあっ、謝ればなんとかなると思っているのっ。浅はかな子供ねっ」
この言葉、いつかそっくりそのまま返そう。
そう決意した時、キスティ夫人が奥から出てきた。
「ようこそウィンティア嬢、時間ピッタリね」
ニコニコと笑うキスティ夫人。
「本日はお招きありがとうござ」
と、改めてご挨拶しようしたが、またもキャサリンがぶったぎって来た。
「申し訳ありませんグレン伯爵夫人っ。妹は今までこちらに伺うのを拒んでいましたのっ。それに、みすぼらしいこの子には荷も重いだろうと、両親が私に代わりに行くようにと」
わあっ、キスティ夫人の目、こわっ。
気が付かず、つらちら嘘を並べるキャサリン。
「さあ、ウィンティア嬢、こちらにいらして」
キャサリンはガン無視の姿勢で、私に優しく微笑んでくれる。私は何度目かのご挨拶して、キスティ夫人の元に。
「招かれざるお嬢さん。警らを呼ばれたくなければ、お帰りなさい」
感情の入っていない言葉に、キャサリンがきょとんとする。
「えっ? 私が来ているのに?」
ああ、もしかしたら、これゲームのイベントの一つだったのかな? キャサリンには『七色のお姫様 ゲスな恋をあなたと』の知識が中途半端にある。キャサリンの攻略対象のイベントが、もしかしたらこのお茶会だったりして。いや、別もありゆる。だって、ウーヴァ公爵を怒らせてキャサリンはこういったお茶会等に一切呼ばれていない。華やかなものが好きなキャサリンが、それに不満で、たまたまウィンティアに来たグレン伯爵家へのご招待を横取りして、回る口先で手柄を立てようとしたのかも。それを足掛かりにお茶会に復帰したかったのかね?
「キャサリンお嬢様、帰りましょう」
キャサリンのメイドが腕をとる。
「どうして? 私が来ているのに、なんでお茶会に行けないの? あの子が行けるのに、なんで私が?」
「帰りましょうお嬢様っ」
「きゃっ、何をするのっ、痛いわっ」
「このままでは警らを呼ばれますっ、ローザ伯爵家に泥を塗りますっ」
「それはあの子よっ。私があの子の代わりに来てあげたのにっ」
キャサリンのメイドは、必死にキャサリンを腕を掴み、自分達が乗ってきた馬車に引き上げる。最後の最後まで騒がしキャサリンだった。
89
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。


(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる