ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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未来の一つ⑦

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 ターシャ嬢達と別れて散策再開。
 しかし、見事な公園だなあ。
 帽子被った人達がせっせとお世話している。
 家族連れも多いが、やはりカップルの方が割合的にはいるかな。
 ゆっくり散策して、そのままカフェ『ラフォーレ』に到着。
 とても品のよい店で、カフェと言うより老舗の洋食店みたいだ。
 客層も上品な方々ばかり。
 私は騒ぐといけない雰囲気におされ、おとなしくレオナルド・キーファーにエスコートされる。

「ここは、叔母と姉がよくデートに使っていたそうです」

 うん、普通に予約困難なカフェだね。
 天下のウーヴァ公爵家の皆さんがデートに使うって。

「そうなんですか。とても落ち着いたお店ですね」

「ウィンティア嬢にお気に召していただけたら幸いです」

「つれてきて貰えるだけでも貴重な経験です」

 素直な感想。
 ここ一見さんお断りじゃないの?
 おそらく今日だってセシリア・ウーヴァ女公爵の鶴の一声で予約したんだろうし。本来なら気軽に来れない気がするよ。
 ただ、ずっとレオナルド・キーファーは嬉しそうだ。そして、耳と尻尾の幻覚が続く。
 公園の花壇が見える個室に案内されて、着席する。
 ランチと言ってもコースだった。
 あまり、テーブルマナーに自信はないのだけど。前日までナタリアに教えて貰ったマナーで、なんとかこなす。
 私の食べるペースに合わせてくれるので、ゆっくり食事が進んだ。
 見た目も綺麗だけど、味も素材の味が生かされて絶品。特に白身魚のソテーが美味しかった。
 食べながら、初めてゆっくりとレオナルド・キーファーと話をする。チョコレートケーキのお店では、久しぶりのチョコレートケーキに興奮していたからね。
 流石にレオナルド・キーファーの仕事内容は聞けないけど、近況報告の様な話をする。
 比較的に穏やかに時間が過ぎていく。あまり、話を長く続ける話術がないので、ありがたい。
 デザートはキラキラ輝くフルーツと、レアチーズケーキだった。
 ふう、堪能。
 ゆったりとしたランチを終えて、再びレオナルド・キーファーにエスコートされる。機嫌がいい大型犬に着いていく子犬の図だ。
 カフェの外に出ると、タイミングよく馬車が来た。
 多分カフェの人が呼んだんだろう、サービスが凄い。
 
「キーファーじゃないか、珍しい所であうな」

 ふいに声を掛けられる。

「グ、グレン伯爵」

 機嫌が良かったレオナルド・キーファーがたじろぐ。
 声を掛けて来たのは五十過ぎたくらいの男性、わあ、ごつい。太ってるとかでない、鍛えられた感じのごつさ。
 どちら様だろう?
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