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未来の一つ⑥
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本日のデートコースは、西公園を散策後、予約が必要なカフェ『ラフォーレ』でランチ。その後、アンジェリカ様お勧めの雑貨屋に向かう。この雑貨屋さんはアンジー二号店だって。ただ、こちらは日用品が多いそうだ。
「さあ、ウィンティア嬢」
「あ、はい」
機嫌が非常によいレオナルド・キーファーにエスコートされて、私は馬車を降りる。う、日差しが暑い。アンジェリカ様から頂いた日傘を差す。日本みたいな湿度がないからいいけど。
夏休み期間の為に家族連れが多い。芝生に大きな噴水に、花が咲き乱れる美しい花壇。木々が日差しを遮り、風が吹くと涼しい。
初めて来たので、思わずキョロキョロ。
「どうされました?」
「あ、いえ、こういった所は初めてで」
「そうですか。あちらのマリーゴールドの花壇が見頃だそうです。参りましょう」
「はい」
おとなしく着いていく。
意気揚々と進む大型犬に着いていく、子犬の図。
綺麗に手入れされた花壇はどれも素晴らしい。色んな人達がゆったり眺めている。
花を見ていると、こちらを眩しそうに見ているレオナルド・キーファー。
「あの、何か?」
「いえ、やっと婚約者らしい事が出来て嬉しいだけです。それに今日のウィンティア嬢は一段と美しい」
………………………………………
「誰かにそう言うように言われました?」
「…………………本心ですよ」
何、その間?
まあ、ウィンティアはかわいいし。今日はナタリアが気合い入れて仕上げてくれたし。
なんだか、しゃくとしない間だったなあ。
「えっ、ローザさんっ」
振り返るとなんと準特進クラスのクラスメートが。名前はターシャ、下の名前忘れた。期間限定のラベンダーの石鹸をいたく気に入ってくれたターシャ嬢だ。
ターシャ嬢は私の元に駆け寄ってきた。
「し、心配したのよっ、わ、私、し、心配っ」
わなわなっ、と泣きそうになり、私は慌てて側による。
「ごめんなさい、心配かけて」
そっと肩をさする。
「あのキーファー様、少しよろしいですか?」
一応、デートの最中だしね。
「ええ、構いませんよ」
「ありがとうございます」
私は日傘にターシャ嬢を入れてベンチを探す。あ、あった。あら、もう一人こっちに来た。
あっ、語学クラブでお世話になった高等部の先輩だっ。
「アスティリア先輩っ」
「ローザさんっ、心配したのよっ」
わなわなっ、第二弾がっ。
合計三人になったが無事にベンチに座る。
手短にお話しないと、この二人もご家族で遊びに来てるからね。
なんとこの二人、従姉妹なんだって。お母様同士が姉妹なんだって。
私は例のテヘロン大使館まで保護された経緯を説明。
「たくさん叩かれたんでしょう? もう痛くないの?」
と、ターシャ嬢が心配してくれる。
「実際は数回しか叩かれたないんです。ただ、運悪く熱が出て、テヘロン大使館で保護された後もぶり返したりで、すぐに名乗れなくて皆さんにご迷惑をおかけしました」
特に休みなく捜索してくれた教師の皆さんにはね。
「でも無事で本当に良かったわ。また、新学期、来るんでしょう?」
「はい、アスティリア先輩。また語学クラブではお世話になります」
「私に心配かけたんだから、びしばしやるわよ」
「あら、怖い」
冗談交じりに言うアスティリア先輩に、私も演技かかって答える。なんだか、楽しい。
「所で、ローザさん、あちらの方は? お兄様、ではないわよね」
と、ターシャ嬢が聞いてくる。レオナルド・キーファーだね。えっと、ここは、こう答えるんだっけ。
「私の年齢上、まだ公表を控えている方です」
「「………………………まあっ」」
なにその間?
そして、何を嬉しそうなの?
「ごめんなさい、私達、お邪魔虫でしたわねっ」
「ふふっ、ローザさん、クラブで待ってるわっ」
「何を嬉しそうなんですか?」
「「ふふふっ」」
ターシャ嬢とアスティリア先輩は、ふふふっ、と言って去っていった。
なんだったんだろ?
「さあ、ウィンティア嬢」
「あ、はい」
機嫌が非常によいレオナルド・キーファーにエスコートされて、私は馬車を降りる。う、日差しが暑い。アンジェリカ様から頂いた日傘を差す。日本みたいな湿度がないからいいけど。
夏休み期間の為に家族連れが多い。芝生に大きな噴水に、花が咲き乱れる美しい花壇。木々が日差しを遮り、風が吹くと涼しい。
初めて来たので、思わずキョロキョロ。
「どうされました?」
「あ、いえ、こういった所は初めてで」
「そうですか。あちらのマリーゴールドの花壇が見頃だそうです。参りましょう」
「はい」
おとなしく着いていく。
意気揚々と進む大型犬に着いていく、子犬の図。
綺麗に手入れされた花壇はどれも素晴らしい。色んな人達がゆったり眺めている。
花を見ていると、こちらを眩しそうに見ているレオナルド・キーファー。
「あの、何か?」
「いえ、やっと婚約者らしい事が出来て嬉しいだけです。それに今日のウィンティア嬢は一段と美しい」
………………………………………
「誰かにそう言うように言われました?」
「…………………本心ですよ」
何、その間?
まあ、ウィンティアはかわいいし。今日はナタリアが気合い入れて仕上げてくれたし。
なんだか、しゃくとしない間だったなあ。
「えっ、ローザさんっ」
振り返るとなんと準特進クラスのクラスメートが。名前はターシャ、下の名前忘れた。期間限定のラベンダーの石鹸をいたく気に入ってくれたターシャ嬢だ。
ターシャ嬢は私の元に駆け寄ってきた。
「し、心配したのよっ、わ、私、し、心配っ」
わなわなっ、と泣きそうになり、私は慌てて側による。
「ごめんなさい、心配かけて」
そっと肩をさする。
「あのキーファー様、少しよろしいですか?」
一応、デートの最中だしね。
「ええ、構いませんよ」
「ありがとうございます」
私は日傘にターシャ嬢を入れてベンチを探す。あ、あった。あら、もう一人こっちに来た。
あっ、語学クラブでお世話になった高等部の先輩だっ。
「アスティリア先輩っ」
「ローザさんっ、心配したのよっ」
わなわなっ、第二弾がっ。
合計三人になったが無事にベンチに座る。
手短にお話しないと、この二人もご家族で遊びに来てるからね。
なんとこの二人、従姉妹なんだって。お母様同士が姉妹なんだって。
私は例のテヘロン大使館まで保護された経緯を説明。
「たくさん叩かれたんでしょう? もう痛くないの?」
と、ターシャ嬢が心配してくれる。
「実際は数回しか叩かれたないんです。ただ、運悪く熱が出て、テヘロン大使館で保護された後もぶり返したりで、すぐに名乗れなくて皆さんにご迷惑をおかけしました」
特に休みなく捜索してくれた教師の皆さんにはね。
「でも無事で本当に良かったわ。また、新学期、来るんでしょう?」
「はい、アスティリア先輩。また語学クラブではお世話になります」
「私に心配かけたんだから、びしばしやるわよ」
「あら、怖い」
冗談交じりに言うアスティリア先輩に、私も演技かかって答える。なんだか、楽しい。
「所で、ローザさん、あちらの方は? お兄様、ではないわよね」
と、ターシャ嬢が聞いてくる。レオナルド・キーファーだね。えっと、ここは、こう答えるんだっけ。
「私の年齢上、まだ公表を控えている方です」
「「………………………まあっ」」
なにその間?
そして、何を嬉しそうなの?
「ごめんなさい、私達、お邪魔虫でしたわねっ」
「ふふっ、ローザさん、クラブで待ってるわっ」
「何を嬉しそうなんですか?」
「「ふふふっ」」
ターシャ嬢とアスティリア先輩は、ふふふっ、と言って去っていった。
なんだったんだろ?
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