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未来の一つ②
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「第一王子のワディは、子が成せない身体なのです。ゲームでも現実でも。なので、ゲームではいずれはアサーヴが王座に着きます。現実はアサーヴの正室が産んだ第一王子がワディの養子となり王座に着きます」
ふむふむ。
「ゲームでは、キャサリンとレオナルド・キーファーとの結婚式にアサーヴが、レオナルドの友人として参加。そこでキャサリンを見初めたのです」
ゲームだな。
友人の新婦を見初めたなんてね。
「で、新ゲスルート、つまりアサーヴルートでは、回想エピソードがあります。それが、テヘロンでの騒ぎです」
なるほど。
「確かにあの地下通路は老朽化して、出口からでも侵入が難しい状況ではなかった。だから、簡単にキャサリンが入れたわけです。ゲームでは、キャサリンはローズマリー勲章を受賞の際客間で待機していたのですが、庭園に咲き乱れる花を見ようと客間を出たのです。もちろんお着きの夫人達にはすぐ戻ると言って」
「ベタに迷子になって地下通路に入り込んだ? それで出たらアサーヴ殿下がいた?」
「そうです」
そうだろうと思ったよ。
ゲームではキャサリンは、迷子になった不安でいっぱい。見た目可憐なお人形さんだし、ゲームだし、王族の住まう居住区に入り込んだ外国人なんて、即排除対象だけど、そのままアサーヴ殿下と親しくなったわけね。実際はキャサリンはその場で斬殺されていたが、幼いスティーシュルラ様がいたし、どうやって居住区まで入り込めたかの真意を確かめる為に無事だっただけ。
それをどう勘違いしたのか、キャサリンはそれがアサーヴ殿下との幼馴染みになる結果となった。
現実と夢の判断がつかない、重度の妄想癖。
「ゲームのアサーヴはキャサリンを忘れられなかった。そして、レオナルドとの結婚式でキャサリンを見て、幼かった頃の気持ちが曲がりに曲がったの」
現実のアサーヴ殿下ではないだろうなあ。
「しかし、そう簡単にキャサリンは得られません。キャサリンを自身の側室に迎えたくても無理があります。ゲームでは友好国の公爵家の跡取りとなるレオナルドの妻を側室なんてね。まだ、アサーヴ自身正室と婚姻して一年程しか経っていませんでしたから」
まあ、そうだね。
「しかし、転機が訪れます。その正室が一年後出産時亡くなったのです。子供も助からず。王位継承権の高いアサーヴは当然後続を望まれた。テヘロン王国は男系の王族に限り王位継承権がありますから」
ふーん。
「アサーヴはキャサリンを側室に、いえ、正室に入れるために暗躍しました。その時すでにキャサリンはレオナルドとの間に双子の男児を産んでいたのです。テヘロンでも側室の条件は純潔でしたから。しかし、アサーヴはありとあらゆる手段を講じて、キャサリンをレオナルドから奪い取るのです。兄ワディを退け、異を唱える臣下達を黙らせ、ルルディ王国にも手を回し、下手した開戦直前となったのですが、ね。キャサリンがテヘロンとルルディの為と、アサーヴ殿下の元に行きます。子供達を残してね」
ゲス。
「それで、テヘロンではキャサリンはあまりいい待遇ではなかったのですが、アサーヴ殿下の一途な愛で二人の結束は固くなり、それに周囲が絆されていき、最終的には国を挙げての盛大な結婚式。最後にアサーヴとキャサリンが三人の子供に囲まれているスチルで終了」
ゲス。
「なら、キャサリンの狙いはそれ?」
「でしょうね。これまでの様子を見れば。現実的に不可能なのを、キャサリン自身が分かってない。そのうち、キャサリンは自爆するでしょう」
「なら、ほっといてもいいような気がしますが」
「それがそうもいかない事態になっているんです」
ふう、と、神様がため息。
「山岸まどかさん、私が貴女にキャサリンをどうにかしてほしいと願った理由は、ティーナがウィンティアの為にかけた守りの力に答えたのと、更に別の理由があります」
え? 何?
ふむふむ。
「ゲームでは、キャサリンとレオナルド・キーファーとの結婚式にアサーヴが、レオナルドの友人として参加。そこでキャサリンを見初めたのです」
ゲームだな。
友人の新婦を見初めたなんてね。
「で、新ゲスルート、つまりアサーヴルートでは、回想エピソードがあります。それが、テヘロンでの騒ぎです」
なるほど。
「確かにあの地下通路は老朽化して、出口からでも侵入が難しい状況ではなかった。だから、簡単にキャサリンが入れたわけです。ゲームでは、キャサリンはローズマリー勲章を受賞の際客間で待機していたのですが、庭園に咲き乱れる花を見ようと客間を出たのです。もちろんお着きの夫人達にはすぐ戻ると言って」
「ベタに迷子になって地下通路に入り込んだ? それで出たらアサーヴ殿下がいた?」
「そうです」
そうだろうと思ったよ。
ゲームではキャサリンは、迷子になった不安でいっぱい。見た目可憐なお人形さんだし、ゲームだし、王族の住まう居住区に入り込んだ外国人なんて、即排除対象だけど、そのままアサーヴ殿下と親しくなったわけね。実際はキャサリンはその場で斬殺されていたが、幼いスティーシュルラ様がいたし、どうやって居住区まで入り込めたかの真意を確かめる為に無事だっただけ。
それをどう勘違いしたのか、キャサリンはそれがアサーヴ殿下との幼馴染みになる結果となった。
現実と夢の判断がつかない、重度の妄想癖。
「ゲームのアサーヴはキャサリンを忘れられなかった。そして、レオナルドとの結婚式でキャサリンを見て、幼かった頃の気持ちが曲がりに曲がったの」
現実のアサーヴ殿下ではないだろうなあ。
「しかし、そう簡単にキャサリンは得られません。キャサリンを自身の側室に迎えたくても無理があります。ゲームでは友好国の公爵家の跡取りとなるレオナルドの妻を側室なんてね。まだ、アサーヴ自身正室と婚姻して一年程しか経っていませんでしたから」
まあ、そうだね。
「しかし、転機が訪れます。その正室が一年後出産時亡くなったのです。子供も助からず。王位継承権の高いアサーヴは当然後続を望まれた。テヘロン王国は男系の王族に限り王位継承権がありますから」
ふーん。
「アサーヴはキャサリンを側室に、いえ、正室に入れるために暗躍しました。その時すでにキャサリンはレオナルドとの間に双子の男児を産んでいたのです。テヘロンでも側室の条件は純潔でしたから。しかし、アサーヴはありとあらゆる手段を講じて、キャサリンをレオナルドから奪い取るのです。兄ワディを退け、異を唱える臣下達を黙らせ、ルルディ王国にも手を回し、下手した開戦直前となったのですが、ね。キャサリンがテヘロンとルルディの為と、アサーヴ殿下の元に行きます。子供達を残してね」
ゲス。
「それで、テヘロンではキャサリンはあまりいい待遇ではなかったのですが、アサーヴ殿下の一途な愛で二人の結束は固くなり、それに周囲が絆されていき、最終的には国を挙げての盛大な結婚式。最後にアサーヴとキャサリンが三人の子供に囲まれているスチルで終了」
ゲス。
「なら、キャサリンの狙いはそれ?」
「でしょうね。これまでの様子を見れば。現実的に不可能なのを、キャサリン自身が分かってない。そのうち、キャサリンは自爆するでしょう」
「なら、ほっといてもいいような気がしますが」
「それがそうもいかない事態になっているんです」
ふう、と、神様がため息。
「山岸まどかさん、私が貴女にキャサリンをどうにかしてほしいと願った理由は、ティーナがウィンティアの為にかけた守りの力に答えたのと、更に別の理由があります」
え? 何?
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