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舞台は整う⑦
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アンジェリカ様が経営するアンジーは、レンガの壁に白い屋根の素敵なお店だ。
入り口は広く入りやすい。
客層は女性がやはり多いが、デートで来ているらしいカップルも多い。
店内は明るく、キラキラと輝くアクセサリーや小物が展示販売されている。いくつものブースにわかれ、中にはデザイナーさんや職人さんが直に説明している所もある。
私とナタリア、バトレルさんは入り口付近にいた、店員さんに声をかける。
「すぐに代表をお呼びしますので、店内でお待ちください」
丁寧に会釈して店員さんは奥に。
本当なら、ゆっくり店内を眺めたいが、アデレーナ達がいると思うと気が気じゃない。
ちらっと見ると、やはりナタリアも緊張感のある顔だ。バトレルさんがそっと何か言って、あわてて落ち着こうとしている。
私はゆっくり店内に視線を走らせる。ごったがえしているわけではないが、かなりの人達がいる。
で、あ、いた、奥の方に。後ろ姿が。あのアイドルみたいな髪型はそうだ。
なら、左右いる男女が、女の方は母親で、男はおそらくティーシモン・バズルかな。流れる人影で途切れるし、なにやら熱心にみてるし。こちらに気がつかないなら、それでいいや。ナタリア傷ついたら嫌だもん。
先程の店員さんが戻って来て、私達はゆっくり奥に案内される。一階の奥には、階段があり二階に続いている。
アデレーナ達とは接触しなくて済みそう。私はこれでいい。
案内されて進み、もうすぐ階段の所で、私の恐れいたことが。
「やだっ、お母様っ、キズ女がいるわっ。キズが移ってしまいますっ。私、怖いわっ」
バカじゃない?
風邪じゃないのに、キズが移るわけないじゃん。
しかも、わざとらしく、母親にしがみついている。初めてゾーヤ・グラーフを見たが、確かにアデレーナそっくりの美しく女性だ。ウェーブのかかった金髪に、茶色の目で、しがみついてくるアデレーナを庇うように立つ。男性は多分ティーシモン・バズルは、さらさらの金髪に赤い目。あ、アデレーナの髪と目は、こっち似か。
回りの視線も集まるが、完全に戸惑いの目だ。
何が起きたの? そんな感じ。
「お母様、怖いわっ、キズが、キズが移ってしまいます」
わざとらしく、大きな声。
「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので」
案内してくれた店員さんが前に、バトレルさんもね。私はナタリアとぴったり張り付く。ナタリアの手、すごい汗だ。
アデレーナは怖い、キズが移るとわめき散らす。なんだか子供の癇癪みたいで、中学生がやるとひどくみっともない。
「まあっ、本当だわっ。そのキズ女をすぐに追い出しなさいっ。私のかわいい娘にキズが移ったらどうしてくれるのっ」
この親にしてこの子あり。
私は呆れて、ゾーヤ・グラーフは眉をつり上げて叫ぶを見る。
近くにいた数人の女性は扇で口元を隠しているが、アデレーナとゾーヤの姿に眉を寄せてる。
「私、怖いわっ、あのキズ女、早く追い出してっ」
ぶわわわわっ。
ぞわ、鳥肌がたった。
え、なんで?
思わず、アデレーナを見ると、周囲の様子が変わる。眉を寄せていた夫人達や、呆然とみていた人達が戸惑いの目になってる。
「早くっ、早くっ、追い出してっ。私、怖いわっ」
ぐらっ、と周囲の人達の頭が僅かに揺れた。
え、なんなの?
なんで集団で、ぐらっ、て、おかしくない?
「お客様、他のお客様の迷惑となります。お控え願います」
ぞわ、となった心がすとんと落ち着く。
やや騒然となっていたフロアに、階段から降りてきたアンジェリカ様の声が響いた。
入り口は広く入りやすい。
客層は女性がやはり多いが、デートで来ているらしいカップルも多い。
店内は明るく、キラキラと輝くアクセサリーや小物が展示販売されている。いくつものブースにわかれ、中にはデザイナーさんや職人さんが直に説明している所もある。
私とナタリア、バトレルさんは入り口付近にいた、店員さんに声をかける。
「すぐに代表をお呼びしますので、店内でお待ちください」
丁寧に会釈して店員さんは奥に。
本当なら、ゆっくり店内を眺めたいが、アデレーナ達がいると思うと気が気じゃない。
ちらっと見ると、やはりナタリアも緊張感のある顔だ。バトレルさんがそっと何か言って、あわてて落ち着こうとしている。
私はゆっくり店内に視線を走らせる。ごったがえしているわけではないが、かなりの人達がいる。
で、あ、いた、奥の方に。後ろ姿が。あのアイドルみたいな髪型はそうだ。
なら、左右いる男女が、女の方は母親で、男はおそらくティーシモン・バズルかな。流れる人影で途切れるし、なにやら熱心にみてるし。こちらに気がつかないなら、それでいいや。ナタリア傷ついたら嫌だもん。
先程の店員さんが戻って来て、私達はゆっくり奥に案内される。一階の奥には、階段があり二階に続いている。
アデレーナ達とは接触しなくて済みそう。私はこれでいい。
案内されて進み、もうすぐ階段の所で、私の恐れいたことが。
「やだっ、お母様っ、キズ女がいるわっ。キズが移ってしまいますっ。私、怖いわっ」
バカじゃない?
風邪じゃないのに、キズが移るわけないじゃん。
しかも、わざとらしく、母親にしがみついている。初めてゾーヤ・グラーフを見たが、確かにアデレーナそっくりの美しく女性だ。ウェーブのかかった金髪に、茶色の目で、しがみついてくるアデレーナを庇うように立つ。男性は多分ティーシモン・バズルは、さらさらの金髪に赤い目。あ、アデレーナの髪と目は、こっち似か。
回りの視線も集まるが、完全に戸惑いの目だ。
何が起きたの? そんな感じ。
「お母様、怖いわっ、キズが、キズが移ってしまいます」
わざとらしく、大きな声。
「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので」
案内してくれた店員さんが前に、バトレルさんもね。私はナタリアとぴったり張り付く。ナタリアの手、すごい汗だ。
アデレーナは怖い、キズが移るとわめき散らす。なんだか子供の癇癪みたいで、中学生がやるとひどくみっともない。
「まあっ、本当だわっ。そのキズ女をすぐに追い出しなさいっ。私のかわいい娘にキズが移ったらどうしてくれるのっ」
この親にしてこの子あり。
私は呆れて、ゾーヤ・グラーフは眉をつり上げて叫ぶを見る。
近くにいた数人の女性は扇で口元を隠しているが、アデレーナとゾーヤの姿に眉を寄せてる。
「私、怖いわっ、あのキズ女、早く追い出してっ」
ぶわわわわっ。
ぞわ、鳥肌がたった。
え、なんで?
思わず、アデレーナを見ると、周囲の様子が変わる。眉を寄せていた夫人達や、呆然とみていた人達が戸惑いの目になってる。
「早くっ、早くっ、追い出してっ。私、怖いわっ」
ぐらっ、と周囲の人達の頭が僅かに揺れた。
え、なんなの?
なんで集団で、ぐらっ、て、おかしくない?
「お客様、他のお客様の迷惑となります。お控え願います」
ぞわ、となった心がすとんと落ち着く。
やや騒然となっていたフロアに、階段から降りてきたアンジェリカ様の声が響いた。
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