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舞台は整う⑥

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 次の日。

「ナタリア、辛いなら、ここにいてもいいんだよ」

「いいえ、お嬢様、私、母とアデレーナと戦う覚悟はあります」

 ふんす、とナタリア。
 大丈夫かな? かわいいけど。
 もちろんナタリアだけではない、護衛としてバトレルさんが同行。ちなみにこの人、とっても強いらしい。ウーヴァ公爵に勤めるなら、最低限の護身術を得なければならないんだって。
 本日はフットマンスタイルだ。庭師の格好より、こっちが断然似合う。伊達眼鏡は変わらず。
 マルティンを抱えたヴァレリーが心配そうに見送ってくれた。
 ちなみにキャサリンは既に出掛けている。モニカ妃殿下のお茶会に履く靴を見に行くって。だから何よ、朝からうるさいのなんの。さっさと行ってよ、と頭で念じた。生物学上の母親がずいぶん釘を刺していた。既に年間予算オーバーしているし、既に新しい靴をなんで足も新調し履いてないのもあるし、それに必ず不必要な買い物するからね。ま、聞く耳あるわけないけど。
 私は本日髪を編み込んでもらい、白のブラウスと、青のスカートだ。
 アンジェリカ様のお店、アンジーは、いわゆる最高級ブランドを扱う店ではない。なので、一等地と二等地の間にお店がある。もちろん治安がいい場所ね。
 アンジーはお店のスペースを貸し出して、色んなデザイナーが、アクセサリーや雑貨を販売している。もちろんアンジェリカ様がオッケー出したデザイナーだけね。一階は大半が新人デザイナーや、自分の販売店を持てない、ぼそぼそとやってる人達が出店している。しかも、定期的に入れ替わるので、常に新しい品々があるし、価格も幅広くお手軽なものもある。アンジーに出店するのは、若いデザイナーの登竜門みたいなものね。
 二階は本格的な宝飾品やドレス、装飾品の受注販売している。首都だけではなく、国内の色んな工房とお客様との橋渡ししている。二階に行くには予約必須。
 レオナルド・キーファーからプレゼントされた、青いガラスのイヤリングも、アンジーに出店されているガラス工房の品だ。
 アデレーナの件がなけれざ、わくわくなんだけど、私はとにかく心配だった。
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