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舞台は整う④

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「なら、どうしてモニカ妃殿下の好きにさせているんですか?」

 憎んでいるなら、地下にでも監禁すればいいんじゃない?

「泳がせているのよ。モニカ妃殿下のバックには先代シルヴァスタ国王がついていたから。マラーナ夫人とモニカ妃殿下に関してだけは屑男だけど、政治手腕やビジネスマンとしては、私でも敵わないくらいだからね」

 今、ちらっと失礼な言葉が。

「国王陛下はモニカ妃殿下を通じて、コオラ様から色々搾り取ってるの。もちろん他の諸外国への援助もね。特に陛下のお姉さまが嫁いだ、ナスーカ王国への」

 ナスーカ王国ってのルルディ王国の南にある。
 確か、国王陛下のお姉さまは、出産時に亡くなったって聞いた、赤ちゃんも助からなった。だけど、今でも友好的にやってる。さっき、アンジェリカ様から聞いた。

「そのコオラ様から、溺愛するモニカ妃殿下を切り離すのは至難の技よ。やっと現在のシルヴァスタ王家の得たの。切り離すには、過去のコオラ様の醜聞も晒さなくてはならないし。漸く王太后の腹が決まったの。あ、そうそう、お茶会ね。首都のパーティールームを使うのよ」

「パーティールーム?」

「……………ウィンティア嬢、パーティーやお茶会事情は?」

 知るわけないじゃん。

「公爵閣下、ウィンティアにはまだそこまで教えていないのです。修道院から帰って来た後からユミル学園への試験で忙しくて」

 言い訳のように生物学上の母親が。

「そうね。そうだったわね」

 ふいに、セシリア・ウーヴァ女公爵が考える。

「レオナルドとのデートコースに加えましょう」

「あ、お母様、私のお店の懇親会がありますの。ウィンティアさん、レオナルドを引き連れて来なさい」

「え? 逆」

「何を言ってるの? レオナルド自身が、大型犬って言ってるのよ」

 根に持ってるっ。
 でも、なんでデートコースなのよ。
 普通パーティーとかお茶会は自宅でしない?

「小規模、もしくは中規模なら自宅でするでしょうが、地方ならまだしも、首都ならではの問題があるの」

 それは駐車場問題。
 こちらの交通手段は馬車だ。なら、パーティーやお茶会参加中の馬車はどこに? って話になる。特に夜遅くまでやってるパーティーはどうなる? 街灯あっても薄暗い、夜道は危ない。個人的なパーティーなら、招待した側のお宅にお泊まりでもいいけど、規模がでかければそれも難しい。
 その問題解決するのが、パーティールームや駐車場を備えたホテルが使われる。遠望から招待したお客様は泊まれるし、後片付けしなくてもいいし、駐車場の心配もないしね。
 もちろんホテルなしのパーティールームもある。こちらはお昼間に行われるお茶会専用ね。モニカ妃殿下はこちらを使用するって。首都ではホテルなしのパーティールームとしては一番大きいそうだ。お金はもちろんモニカ妃殿下のパパだよ。アンジェリカ様が行う懇親会は、ホテル併設のパーティールームね。経営はウーヴァ公爵だって。

「社会勉強にもなるわ。参加なさい。アンジェリカ、いいわね?」

「お任せくださいお母様。ばっちり、印象つけますわ。そうだわ、私のドレス仕立て直しましょう」

 話についていけない。
 あれよあれよという間に話が進んだ。
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