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舞台は整う②
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キャサリンをローザ伯爵家から、表舞台から消すためには、相当な事をしなくてはならない。
簡単には借金漬けにすることだ。
年間予算をオーバーしたら、それはローザ伯爵にいずれ返金しなくてはならない。分割か一括か知らないが、キャサリンの物欲は凄まじいからね。それから未だにレオナルド・キーファーに対しても、シルヴァスタに行く前に不必要な接触もするだろうし、私にもそうするだろう。そして私的なお茶会で、私を悪く言うはず。内容はかわいい姉妹喧嘩で許されるかは、まだ判断つかないそうだけど。いずれ、ウーヴァ公爵家に籍を戻すレオナルド・キーファーに対する失礼な数々で慰謝料や迷惑料をキャサリンから絞る取る方が早いって。
借金まみれの貴族令嬢が行けるところなんてたかが知れてる。しかも当人がやらかしたものだし、これが病気の家族のためにとかなら、上位貴族が嗜みとして救い出す事もないが、ウーヴァ女公爵を敵に回してまでキャサリンを保護するとは思えない。
「ウィンティア嬢、キャサリンに墓穴を掘らせるためにレオナルドとデートなさい」
ぶはっ。
アンジェリカ様が、美味しいわよと勧めてくれたマカロンを噴き出す。少しね。
これ、貴族令嬢としてはしたないやつ。
「もちろん一目がある場所よ。イチャイチャしなさい」
「無理ですっ」
男性免疫ないんだって。
セシリア・ウーヴァ女公爵は首をかしげる。
イチャイチャとかいきなりハードル高くない?
「何に驚いているの? 貴女はレオナルドの婚約者よ。デートして当然でしょう」
「保留っ」
「私のかわいい甥を犬扱いしたのよ、腹をくくりなさい」
「そんなっ」
イチャイチャ無理ですっ。
「私はキャサリンみたいにはしたない事できませんっ」
婚約者でもない男性にベタベタして、あのディミア嬢を狂わせたんだから。
「何を言ってるの? 貴女の年齢を考えなさい。それにあんな事をするキャサリンが異常なのよ。淑女としてあり得ないわ。レオナルドにエスコートされて、そうね西の国立公園の散策、近くに予約制のカフェがあったわね。そこでランチ、帰りには何かプレゼントを買ってもらいなさい」
具体的。
セシリア・ウーヴァ女公爵が目配せすると、いぶし銀の執事さんがさっと手配する。はやっ。日程まで組まれたよ。
「キャサリンが邪魔しそうですが」
「それが狙いよ。貴女には不快な思いをさせるけど、もうレオナルドは、キャサリンに対して甘い顔はしないでしょう」
あ、最初は私の姉だからと、当たらず触らず穏やかにやり過ごしていたけど。やっぱりあの馬車から飛び降りた件で、キャサリンを拒絶しているって。
「それと、もし、他の人に見られたら」
「隠す必要はないでしょう? 堂々と婚約者だと言えばいいのよ」
「それは、ちょっと恥ずかしい……………」
「なら、貴女の年齢を使いなさい」
ルルディ王国の婚約事情。
ほとんどが十五のデビュタントの後に正式発表する事が多い。特に幼い頃に結ばれたものであれば、成長と共に性格の不一致とかで白紙になる場合があるからね。なので、なんとなく察しても静かに見守るんだって。ただ、親しい友人や親戚から漏れることもあるけど、そこをひどくつつくような事はしない。これこそ、恥知らずな行為なんだって。
「まだ自分がデビュタントを終えておらず、正式発表は控えています、とね。それでも食い下がるようなら相手の名前を確認さない」
あ、ウーヴァ女公爵が怖い顔してるっ。
簡単には借金漬けにすることだ。
年間予算をオーバーしたら、それはローザ伯爵にいずれ返金しなくてはならない。分割か一括か知らないが、キャサリンの物欲は凄まじいからね。それから未だにレオナルド・キーファーに対しても、シルヴァスタに行く前に不必要な接触もするだろうし、私にもそうするだろう。そして私的なお茶会で、私を悪く言うはず。内容はかわいい姉妹喧嘩で許されるかは、まだ判断つかないそうだけど。いずれ、ウーヴァ公爵家に籍を戻すレオナルド・キーファーに対する失礼な数々で慰謝料や迷惑料をキャサリンから絞る取る方が早いって。
借金まみれの貴族令嬢が行けるところなんてたかが知れてる。しかも当人がやらかしたものだし、これが病気の家族のためにとかなら、上位貴族が嗜みとして救い出す事もないが、ウーヴァ女公爵を敵に回してまでキャサリンを保護するとは思えない。
「ウィンティア嬢、キャサリンに墓穴を掘らせるためにレオナルドとデートなさい」
ぶはっ。
アンジェリカ様が、美味しいわよと勧めてくれたマカロンを噴き出す。少しね。
これ、貴族令嬢としてはしたないやつ。
「もちろん一目がある場所よ。イチャイチャしなさい」
「無理ですっ」
男性免疫ないんだって。
セシリア・ウーヴァ女公爵は首をかしげる。
イチャイチャとかいきなりハードル高くない?
「何に驚いているの? 貴女はレオナルドの婚約者よ。デートして当然でしょう」
「保留っ」
「私のかわいい甥を犬扱いしたのよ、腹をくくりなさい」
「そんなっ」
イチャイチャ無理ですっ。
「私はキャサリンみたいにはしたない事できませんっ」
婚約者でもない男性にベタベタして、あのディミア嬢を狂わせたんだから。
「何を言ってるの? 貴女の年齢を考えなさい。それにあんな事をするキャサリンが異常なのよ。淑女としてあり得ないわ。レオナルドにエスコートされて、そうね西の国立公園の散策、近くに予約制のカフェがあったわね。そこでランチ、帰りには何かプレゼントを買ってもらいなさい」
具体的。
セシリア・ウーヴァ女公爵が目配せすると、いぶし銀の執事さんがさっと手配する。はやっ。日程まで組まれたよ。
「キャサリンが邪魔しそうですが」
「それが狙いよ。貴女には不快な思いをさせるけど、もうレオナルドは、キャサリンに対して甘い顔はしないでしょう」
あ、最初は私の姉だからと、当たらず触らず穏やかにやり過ごしていたけど。やっぱりあの馬車から飛び降りた件で、キャサリンを拒絶しているって。
「それと、もし、他の人に見られたら」
「隠す必要はないでしょう? 堂々と婚約者だと言えばいいのよ」
「それは、ちょっと恥ずかしい……………」
「なら、貴女の年齢を使いなさい」
ルルディ王国の婚約事情。
ほとんどが十五のデビュタントの後に正式発表する事が多い。特に幼い頃に結ばれたものであれば、成長と共に性格の不一致とかで白紙になる場合があるからね。なので、なんとなく察しても静かに見守るんだって。ただ、親しい友人や親戚から漏れることもあるけど、そこをひどくつつくような事はしない。これこそ、恥知らずな行為なんだって。
「まだ自分がデビュタントを終えておらず、正式発表は控えています、とね。それでも食い下がるようなら相手の名前を確認さない」
あ、ウーヴァ女公爵が怖い顔してるっ。
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