191 / 338
舞台は整う②
しおりを挟む
キャサリンをローザ伯爵家から、表舞台から消すためには、相当な事をしなくてはならない。
簡単には借金漬けにすることだ。
年間予算をオーバーしたら、それはローザ伯爵にいずれ返金しなくてはならない。分割か一括か知らないが、キャサリンの物欲は凄まじいからね。それから未だにレオナルド・キーファーに対しても、シルヴァスタに行く前に不必要な接触もするだろうし、私にもそうするだろう。そして私的なお茶会で、私を悪く言うはず。内容はかわいい姉妹喧嘩で許されるかは、まだ判断つかないそうだけど。いずれ、ウーヴァ公爵家に籍を戻すレオナルド・キーファーに対する失礼な数々で慰謝料や迷惑料をキャサリンから絞る取る方が早いって。
借金まみれの貴族令嬢が行けるところなんてたかが知れてる。しかも当人がやらかしたものだし、これが病気の家族のためにとかなら、上位貴族が嗜みとして救い出す事もないが、ウーヴァ女公爵を敵に回してまでキャサリンを保護するとは思えない。
「ウィンティア嬢、キャサリンに墓穴を掘らせるためにレオナルドとデートなさい」
ぶはっ。
アンジェリカ様が、美味しいわよと勧めてくれたマカロンを噴き出す。少しね。
これ、貴族令嬢としてはしたないやつ。
「もちろん一目がある場所よ。イチャイチャしなさい」
「無理ですっ」
男性免疫ないんだって。
セシリア・ウーヴァ女公爵は首をかしげる。
イチャイチャとかいきなりハードル高くない?
「何に驚いているの? 貴女はレオナルドの婚約者よ。デートして当然でしょう」
「保留っ」
「私のかわいい甥を犬扱いしたのよ、腹をくくりなさい」
「そんなっ」
イチャイチャ無理ですっ。
「私はキャサリンみたいにはしたない事できませんっ」
婚約者でもない男性にベタベタして、あのディミア嬢を狂わせたんだから。
「何を言ってるの? 貴女の年齢を考えなさい。それにあんな事をするキャサリンが異常なのよ。淑女としてあり得ないわ。レオナルドにエスコートされて、そうね西の国立公園の散策、近くに予約制のカフェがあったわね。そこでランチ、帰りには何かプレゼントを買ってもらいなさい」
具体的。
セシリア・ウーヴァ女公爵が目配せすると、いぶし銀の執事さんがさっと手配する。はやっ。日程まで組まれたよ。
「キャサリンが邪魔しそうですが」
「それが狙いよ。貴女には不快な思いをさせるけど、もうレオナルドは、キャサリンに対して甘い顔はしないでしょう」
あ、最初は私の姉だからと、当たらず触らず穏やかにやり過ごしていたけど。やっぱりあの馬車から飛び降りた件で、キャサリンを拒絶しているって。
「それと、もし、他の人に見られたら」
「隠す必要はないでしょう? 堂々と婚約者だと言えばいいのよ」
「それは、ちょっと恥ずかしい……………」
「なら、貴女の年齢を使いなさい」
ルルディ王国の婚約事情。
ほとんどが十五のデビュタントの後に正式発表する事が多い。特に幼い頃に結ばれたものであれば、成長と共に性格の不一致とかで白紙になる場合があるからね。なので、なんとなく察しても静かに見守るんだって。ただ、親しい友人や親戚から漏れることもあるけど、そこをひどくつつくような事はしない。これこそ、恥知らずな行為なんだって。
「まだ自分がデビュタントを終えておらず、正式発表は控えています、とね。それでも食い下がるようなら相手の名前を確認さない」
あ、ウーヴァ女公爵が怖い顔してるっ。
簡単には借金漬けにすることだ。
年間予算をオーバーしたら、それはローザ伯爵にいずれ返金しなくてはならない。分割か一括か知らないが、キャサリンの物欲は凄まじいからね。それから未だにレオナルド・キーファーに対しても、シルヴァスタに行く前に不必要な接触もするだろうし、私にもそうするだろう。そして私的なお茶会で、私を悪く言うはず。内容はかわいい姉妹喧嘩で許されるかは、まだ判断つかないそうだけど。いずれ、ウーヴァ公爵家に籍を戻すレオナルド・キーファーに対する失礼な数々で慰謝料や迷惑料をキャサリンから絞る取る方が早いって。
借金まみれの貴族令嬢が行けるところなんてたかが知れてる。しかも当人がやらかしたものだし、これが病気の家族のためにとかなら、上位貴族が嗜みとして救い出す事もないが、ウーヴァ女公爵を敵に回してまでキャサリンを保護するとは思えない。
「ウィンティア嬢、キャサリンに墓穴を掘らせるためにレオナルドとデートなさい」
ぶはっ。
アンジェリカ様が、美味しいわよと勧めてくれたマカロンを噴き出す。少しね。
これ、貴族令嬢としてはしたないやつ。
「もちろん一目がある場所よ。イチャイチャしなさい」
「無理ですっ」
男性免疫ないんだって。
セシリア・ウーヴァ女公爵は首をかしげる。
イチャイチャとかいきなりハードル高くない?
「何に驚いているの? 貴女はレオナルドの婚約者よ。デートして当然でしょう」
「保留っ」
「私のかわいい甥を犬扱いしたのよ、腹をくくりなさい」
「そんなっ」
イチャイチャ無理ですっ。
「私はキャサリンみたいにはしたない事できませんっ」
婚約者でもない男性にベタベタして、あのディミア嬢を狂わせたんだから。
「何を言ってるの? 貴女の年齢を考えなさい。それにあんな事をするキャサリンが異常なのよ。淑女としてあり得ないわ。レオナルドにエスコートされて、そうね西の国立公園の散策、近くに予約制のカフェがあったわね。そこでランチ、帰りには何かプレゼントを買ってもらいなさい」
具体的。
セシリア・ウーヴァ女公爵が目配せすると、いぶし銀の執事さんがさっと手配する。はやっ。日程まで組まれたよ。
「キャサリンが邪魔しそうですが」
「それが狙いよ。貴女には不快な思いをさせるけど、もうレオナルドは、キャサリンに対して甘い顔はしないでしょう」
あ、最初は私の姉だからと、当たらず触らず穏やかにやり過ごしていたけど。やっぱりあの馬車から飛び降りた件で、キャサリンを拒絶しているって。
「それと、もし、他の人に見られたら」
「隠す必要はないでしょう? 堂々と婚約者だと言えばいいのよ」
「それは、ちょっと恥ずかしい……………」
「なら、貴女の年齢を使いなさい」
ルルディ王国の婚約事情。
ほとんどが十五のデビュタントの後に正式発表する事が多い。特に幼い頃に結ばれたものであれば、成長と共に性格の不一致とかで白紙になる場合があるからね。なので、なんとなく察しても静かに見守るんだって。ただ、親しい友人や親戚から漏れることもあるけど、そこをひどくつつくような事はしない。これこそ、恥知らずな行為なんだって。
「まだ自分がデビュタントを終えておらず、正式発表は控えています、とね。それでも食い下がるようなら相手の名前を確認さない」
あ、ウーヴァ女公爵が怖い顔してるっ。
90
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。
水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。
王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。
しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。
ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。
今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。
ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。
焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。
それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。
※小説になろうでも投稿しています。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる