146 / 338
真実⑩
しおりを挟む
ゾーヤ・グラーフ伯爵令嬢。
グラーフ伯爵は首都から馬車で2日程の距離だ。大きな農園があり、かなり豊かな土地。
ゾーヤ伯爵令嬢はそこではお姫様の扱いだった。容姿もよく、一人娘だったし、いずれ婿入りと伯爵子息と婚約していたが、転機が訪れる。
ユミル学園に入学してすぐに、母親が久しぶりの妊娠。そして、年の離れた弟、グラーフ伯爵家嫡男が生まれた。
で、グラーフ伯爵家に婿入り出来ないのからと、伯爵子息は婚約解消し、あっけなく去っていった。表向きは婿入りできない、で通したが、ゾーヤのわがままなお姫様気質に振り回され、嫌気が差していたのが最大の理由だったそうだ。
で、ゾーヤは元婚約者にも怒ったが、弟を生んだ両親にも激怒。もともとわがまま性格で、見た目も良かったゾーヤは、グラーフ伯爵家から離れた学園の寮にいたため、好き勝手を始めた。ある程度の買い物くらいなら、目を積むっていた両親だったが、異性関係を掻き回すのを喜びを感じるようになり、いくつかの婚約を破綻するように仕向けるのを楽しみにする、さらに歪んだ性格になった。交遊関係も派手で、上手いこと渡り歩いていたが、結局それは学園内だから通じただけ。異性交遊もとっかえひっかえで、相性抜群だったのが、事件の管轄区域の警らの現在のトップ、ティーシモン・バズラ伯爵子息だった。だが、ティーシモンにはすでに決められた婚約者がおり、二人がスリルを味わうように会瀬を重ねた。
だが、それを両家が許すわけない。バズラ伯爵家の婚約事情にヒビを入れかない事態だから。
グラーフ伯爵家の両親は、奔放な娘に手を焼いていたが、結局甘い判断をした。どうしたら、おとなしく相手を選び落ち着いてくれるか、と。私にしてみたら、自己責任なんだから、学園でたら、放り出したらいいのにって思うけど、そうじゃないんだね。
で、ゾーヤは幾つかの条件を出して、両親が探しだしたのが、キリール・ザーデクだった。
真面目なキリール・ザーデクを選んだ理由として、結局まだティーシモンと関係をこっそり続けたかったから。お互い家庭があるのに、背徳関係にあるスリルを味わいたかったからだった。
ゾーヤは学園を卒業後、キリール・ザーデクに嫁ぎすぐにナタリアを妊娠。ここまではよかったが、ゾーヤは隠れてティーシモンと会っていた。そして、キリール・ザーデクが仕事の都合で三ヶ月家を空けた際に、幼いナタリアを置いて出掛けてばかりだった。
その三ヶ月で、ゾーヤはアデレーナを妊娠、当然ティーシモンの子供だ。さすがに不味いと思ったのだろうが、ゾーヤはアデレーナを堕胎せずに出産を選んだ。理由は母性愛もあったろうが、別の男の子供と知らず、その子の為に必死に働くキリール・ザーデクを笑うためだ。最低。
三ヶ月やっと帰って来たキリールとすぐに床を共してからタイミングを見計らいグラーフ伯爵家に帰った。理由は母親の体調不良で、雪に降られる前には帰る、そう書き置きして。
グラーフ伯爵家の領は、冬場は雪のせいで、陸の孤島になる。それを利用して。しばらくして自身も妊娠して移動が怖いからと、このままグラーフ伯爵家で生むと、手紙が来たのは、すでに雪で交通が遮断されたころだった。通信手段が手紙したないため、キリール・ザーデクはゾーヤの状態が分からず、ナタリアと二人で冬を越した。
グラーフ伯爵家はゾーヤはアデレーナが不義の子だとわかっていたが、甘やかすだけ甘やかし、何より自分の娘にそっくりな孫が可愛くてしかたなかった。じゃあ、ナタリア達はどうなのよってね。ナタリアとヴァレリー、マルティンは、見事に全員父親似。グラーフ伯爵夫妻は、ナタリア達も孫だとは思っていたが、あからさまにゾーヤに似ているアデレーナを愛情が生まれた。言われるがまま、出産日を誤魔化した。
ただ、不義の子だとなると、アデレーナの貴族令嬢としての未来はない。ゾーヤに言われるがまま、出産した日を2ヶ月誤魔化して提出。これは地方ではたまに起きるそうだ。交通手段がなく、すぐに届けが出せず、数日ずれるのは大目に見て貰える。助産師に書いて貰った出生証明、日付と助産師のサインがあるだけのもの。メモ程度だが、これがあれば、数日ずれても誤魔化せる。特にアデレーナが生まれたのはまだ雪が残る時期だったから。グラーフ伯爵領内で生まれたのだから、多少の操作が出来た。ただ、この場合、アデレーナの出産日を偽装、キリール・ザーデクが父親だと偽証で、グラーフ伯爵は本来なら懲罰ものだが、今まで無事なのは、誰にも気づかれなかっただけ。明るみになれば、グラーフ伯爵もただではすまない。
グラーフ伯爵は首都から馬車で2日程の距離だ。大きな農園があり、かなり豊かな土地。
ゾーヤ伯爵令嬢はそこではお姫様の扱いだった。容姿もよく、一人娘だったし、いずれ婿入りと伯爵子息と婚約していたが、転機が訪れる。
ユミル学園に入学してすぐに、母親が久しぶりの妊娠。そして、年の離れた弟、グラーフ伯爵家嫡男が生まれた。
で、グラーフ伯爵家に婿入り出来ないのからと、伯爵子息は婚約解消し、あっけなく去っていった。表向きは婿入りできない、で通したが、ゾーヤのわがままなお姫様気質に振り回され、嫌気が差していたのが最大の理由だったそうだ。
で、ゾーヤは元婚約者にも怒ったが、弟を生んだ両親にも激怒。もともとわがまま性格で、見た目も良かったゾーヤは、グラーフ伯爵家から離れた学園の寮にいたため、好き勝手を始めた。ある程度の買い物くらいなら、目を積むっていた両親だったが、異性関係を掻き回すのを喜びを感じるようになり、いくつかの婚約を破綻するように仕向けるのを楽しみにする、さらに歪んだ性格になった。交遊関係も派手で、上手いこと渡り歩いていたが、結局それは学園内だから通じただけ。異性交遊もとっかえひっかえで、相性抜群だったのが、事件の管轄区域の警らの現在のトップ、ティーシモン・バズラ伯爵子息だった。だが、ティーシモンにはすでに決められた婚約者がおり、二人がスリルを味わうように会瀬を重ねた。
だが、それを両家が許すわけない。バズラ伯爵家の婚約事情にヒビを入れかない事態だから。
グラーフ伯爵家の両親は、奔放な娘に手を焼いていたが、結局甘い判断をした。どうしたら、おとなしく相手を選び落ち着いてくれるか、と。私にしてみたら、自己責任なんだから、学園でたら、放り出したらいいのにって思うけど、そうじゃないんだね。
で、ゾーヤは幾つかの条件を出して、両親が探しだしたのが、キリール・ザーデクだった。
真面目なキリール・ザーデクを選んだ理由として、結局まだティーシモンと関係をこっそり続けたかったから。お互い家庭があるのに、背徳関係にあるスリルを味わいたかったからだった。
ゾーヤは学園を卒業後、キリール・ザーデクに嫁ぎすぐにナタリアを妊娠。ここまではよかったが、ゾーヤは隠れてティーシモンと会っていた。そして、キリール・ザーデクが仕事の都合で三ヶ月家を空けた際に、幼いナタリアを置いて出掛けてばかりだった。
その三ヶ月で、ゾーヤはアデレーナを妊娠、当然ティーシモンの子供だ。さすがに不味いと思ったのだろうが、ゾーヤはアデレーナを堕胎せずに出産を選んだ。理由は母性愛もあったろうが、別の男の子供と知らず、その子の為に必死に働くキリール・ザーデクを笑うためだ。最低。
三ヶ月やっと帰って来たキリールとすぐに床を共してからタイミングを見計らいグラーフ伯爵家に帰った。理由は母親の体調不良で、雪に降られる前には帰る、そう書き置きして。
グラーフ伯爵家の領は、冬場は雪のせいで、陸の孤島になる。それを利用して。しばらくして自身も妊娠して移動が怖いからと、このままグラーフ伯爵家で生むと、手紙が来たのは、すでに雪で交通が遮断されたころだった。通信手段が手紙したないため、キリール・ザーデクはゾーヤの状態が分からず、ナタリアと二人で冬を越した。
グラーフ伯爵家はゾーヤはアデレーナが不義の子だとわかっていたが、甘やかすだけ甘やかし、何より自分の娘にそっくりな孫が可愛くてしかたなかった。じゃあ、ナタリア達はどうなのよってね。ナタリアとヴァレリー、マルティンは、見事に全員父親似。グラーフ伯爵夫妻は、ナタリア達も孫だとは思っていたが、あからさまにゾーヤに似ているアデレーナを愛情が生まれた。言われるがまま、出産日を誤魔化した。
ただ、不義の子だとなると、アデレーナの貴族令嬢としての未来はない。ゾーヤに言われるがまま、出産した日を2ヶ月誤魔化して提出。これは地方ではたまに起きるそうだ。交通手段がなく、すぐに届けが出せず、数日ずれるのは大目に見て貰える。助産師に書いて貰った出生証明、日付と助産師のサインがあるだけのもの。メモ程度だが、これがあれば、数日ずれても誤魔化せる。特にアデレーナが生まれたのはまだ雪が残る時期だったから。グラーフ伯爵領内で生まれたのだから、多少の操作が出来た。ただ、この場合、アデレーナの出産日を偽装、キリール・ザーデクが父親だと偽証で、グラーフ伯爵は本来なら懲罰ものだが、今まで無事なのは、誰にも気づかれなかっただけ。明るみになれば、グラーフ伯爵もただではすまない。
78
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。
クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」
パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。
夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる……
誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。
天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される
雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。
スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。
※誤字報告、感想などありがとうございます!
書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました!
電子書籍も出ました。
文庫版が2024年7月5日に発売されました!
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる