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真実⑥
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キャサリンが何故テヘロン王国へ入国禁止になった理由は分かった。ただ、それをいまでも理解していないのが問題なんだね。それから、いずれセーレ商会を継ぐならこれ致命的じゃないの? だって、主力商品のティアラシリーズの原材料の一つは、テヘロン王国での栽培なのに。生物学上の両親はどう考えているんだろう?
「これは私の勝手な解釈だ。真に受けてはいけないよ」
と、アサーヴ殿下。
「ローザ夫妻は君とキャサリンを共同経営者に、と考えているかもしれない」
「あれと? 嫌です」
「だから、これは私の勝手な解釈だよ。今現在のセーレ商会はローザ夫妻がうまく回しているが、キャサリン・ローザが出来ると思うかい?」
「無理だと思います」
「私もそう思うよ。だから、相応の伴侶を持たせ、経営をキャサリン・ローザの伴侶に。当のキャサリンには宣伝をさせる」
ティアラシリーズの様に、日用品の石鹸等の宣伝は、経営・管理する商会の人間、この場合、女性が行う。セーレ商会に場合、当主夫人のクラーラ、そして娘であるキャサリンとウィンティアね。
「その宣伝にかけてはキャサリン・ローザは才能がある。今の期間限定商品の売り上げは、キャサリン・ローザの功績だからね。ローザ夫人は、あの流産の後、よく体調を崩すらしいから、積極的にお茶会とか参加できないそうだから」
貴族のお茶会は、単なるお茶飲んでお菓子食べてで終わらない。情報合戦だ。そこでうまい具合に渡り歩いたのがキャサリンってわけか。
「でも、テヘロンでやらかしたキャサリンが呼ばれるってのはおかしい気がします」
「君は賢いね。テヘロンでの騒動は、情報操作されて流された。まさか王族が使つ秘密の通路が、他国から来た令嬢に発見された、なんてばれたらこちらも困るからね。双方の確認不足と、それに狼狽したキャサリン・ローザが部屋を抜け出し、我々に許可なく接近した、として流した。キャサリン・ローザの入国禁止は一部の者しか知らないし、あえて流してはない。だから、一部の貴族からしたら、キャサリン・ローザはこの件で、被害者のように見る者がいる。中には、王城で部屋を抜け出すような未熟さを指摘するものももちろんいるが、今までは半々だった」
「今では?」
「ウーヴァの女傑を怒らせたろう? 君が馬車から飛び降りた件だ」
「ご存じでしたか」
「まあね。今では、ウーヴァの女傑が許さない限りは、遠巻きにされるだろうね。あのセシリア・ウーヴァを怒らせたら怖いよ。それでローザ伯爵はキャサリン・ローザだけだと不安で、君との共同経営を考えてもおかしくないかなって。君は年の割りには賢いし、伸び代もある。未熟だが、礼儀をわきまえようとしているしね」
あはは、と笑うアサーヴ殿下。
ちょっと嬉しいが、アサーヴ殿下がセシリア・ウーヴァが怖いって。ど、どうしよう、結構私失礼な態度だったけど、いや、私は悪くない。そう、そう思う。
「さあ、ウィンティア嬢もう遅いから休みなさい」
「はい」
私は着替えていつも使わせてもらっている部屋にら、スティーシュルラ様がお布団かけてくれる。
いいのかなあ? 王女様がお布団かけてくれる。
気にしない、気にしないって。
あ、眠気が、ぐー。
「これは私の勝手な解釈だ。真に受けてはいけないよ」
と、アサーヴ殿下。
「ローザ夫妻は君とキャサリンを共同経営者に、と考えているかもしれない」
「あれと? 嫌です」
「だから、これは私の勝手な解釈だよ。今現在のセーレ商会はローザ夫妻がうまく回しているが、キャサリン・ローザが出来ると思うかい?」
「無理だと思います」
「私もそう思うよ。だから、相応の伴侶を持たせ、経営をキャサリン・ローザの伴侶に。当のキャサリンには宣伝をさせる」
ティアラシリーズの様に、日用品の石鹸等の宣伝は、経営・管理する商会の人間、この場合、女性が行う。セーレ商会に場合、当主夫人のクラーラ、そして娘であるキャサリンとウィンティアね。
「その宣伝にかけてはキャサリン・ローザは才能がある。今の期間限定商品の売り上げは、キャサリン・ローザの功績だからね。ローザ夫人は、あの流産の後、よく体調を崩すらしいから、積極的にお茶会とか参加できないそうだから」
貴族のお茶会は、単なるお茶飲んでお菓子食べてで終わらない。情報合戦だ。そこでうまい具合に渡り歩いたのがキャサリンってわけか。
「でも、テヘロンでやらかしたキャサリンが呼ばれるってのはおかしい気がします」
「君は賢いね。テヘロンでの騒動は、情報操作されて流された。まさか王族が使つ秘密の通路が、他国から来た令嬢に発見された、なんてばれたらこちらも困るからね。双方の確認不足と、それに狼狽したキャサリン・ローザが部屋を抜け出し、我々に許可なく接近した、として流した。キャサリン・ローザの入国禁止は一部の者しか知らないし、あえて流してはない。だから、一部の貴族からしたら、キャサリン・ローザはこの件で、被害者のように見る者がいる。中には、王城で部屋を抜け出すような未熟さを指摘するものももちろんいるが、今までは半々だった」
「今では?」
「ウーヴァの女傑を怒らせたろう? 君が馬車から飛び降りた件だ」
「ご存じでしたか」
「まあね。今では、ウーヴァの女傑が許さない限りは、遠巻きにされるだろうね。あのセシリア・ウーヴァを怒らせたら怖いよ。それでローザ伯爵はキャサリン・ローザだけだと不安で、君との共同経営を考えてもおかしくないかなって。君は年の割りには賢いし、伸び代もある。未熟だが、礼儀をわきまえようとしているしね」
あはは、と笑うアサーヴ殿下。
ちょっと嬉しいが、アサーヴ殿下がセシリア・ウーヴァが怖いって。ど、どうしよう、結構私失礼な態度だったけど、いや、私は悪くない。そう、そう思う。
「さあ、ウィンティア嬢もう遅いから休みなさい」
「はい」
私は着替えていつも使わせてもらっている部屋にら、スティーシュルラ様がお布団かけてくれる。
いいのかなあ? 王女様がお布団かけてくれる。
気にしない、気にしないって。
あ、眠気が、ぐー。
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