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真実⑤

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「結局、キャサリン・ローザは夢と現実の区別も出来ない、重度の妄想癖だと診断された」

 そうなるのか、な?
 確かに、まさかこちらの人達が、別の世界でゲームの舞台になっていることなんて知るよしもないし。

「ローザ夫人の容態は一時危なくて、動かせる状態ではなくて、城内で治療を受けていた」

 そんなに悪かったんだ。
 今は仕事しているけど。

「それを、何を勘違いしたのか、キャサリン・ローザは言った『お母様だけお城にいれるのはずるい、私はまだ
アサーヴ殿下と蝶のお話をしないといけないのよ。早く連れてって』と」

「バカでしたね」

 これだけの騒ぎになったのに、分からないわけ? 国際問題になりかけているのに。

「ローザ伯爵は、娘を諭した。ローズマリー勲章を得る名誉を逃したのは、誰のせいだ、と」

 言いたくもなるだろう。
 ティーナ夫人は、ウィンティアの祖母、そして生物学上の父親の実母だ。ローズマリー勲章は本来ならティーナ夫人に与えられるものだったが、毒殺されて出来ず。息子が母親の事業を継続してやっと受章のチャンスがやってきた。セーレ商会に対してたけど、せめてローズマリー勲章を母の墓前に供えたい。そんな気持ちがあったのに。
 キャサリンのバカのせいて、水の泡だし、ローザ伯爵の信頼もテヘロンでもルルディでも落ちるはず。
 体裁が大切な貴族ってのは、みずからの行動に注意しなくてはならない。それがすべて家の評判になるのだから。
 商会を抱えているローザ伯爵にしては、致命的になる。

「キャサリン・ローザの答えはこうだ。『さっさと受け取らないお父様のせいでしょ、そんなことより早くお城に連れてってっ、アサーヴ殿下に会わないといけないのっ』と」

 そんなこと。
 ローズマリー勲章って、ものすごく名誉な事なのに。そんなことって。
 それまで、ティーナ夫人や、事業を引き継いだセーレ商会の皆さんの苦労を、踏みにじるような発言だ。

「ローザ伯爵は、キャサリン・ローザをひっぱたいたよ」

 へー。
 ウィンティアには散々してたのに、今でもやらかし感があるキャサリンに甘い対応しているのに。
 流石に腹に据えかたか、パフォーマンスか。叩くふりしたら、テヘロンに対して多少ローザ伯爵が、キャサリンを罰しましたよってイメージつけたかったんじゃないかな?

「そこで、キャサリン・ローザとローザ伯爵への処罰を変えた。ローザ伯爵は首を差し出す覚悟をしたが、生きて生き恥を晒すことを、キャサリン・ローザを再教育を生涯かけて行い、監視すること。後は賠償金、非常時の通路の改修費に当てられた。そして、キャサリン・ローザは永久にテヘロン王国へ入国禁止となった。ローザ夫人は流産して、二度と子供を望めぬ身体になったことを鑑みて、これ以上のことは沙汰が下らなかった」

 そんなことがあったんだ。

「キャサリン・ローザはすぐに強制送還。自白剤を飲んだローザ伯爵と、状態の悪い夫人はそのままテヘロンで療養。ルルディに戻るのが、延期になった」

 そこから、ウィンティアへの虐待が始まったわけか。誰が先導したのか。
 キャサリンがテヘロンから帰って来て、留守を任せていた祖父を唆していたのは、メイド達が話していたのは盗み聞きしたナタリアから聞いてる。
 その祖父、ジェフリー・ローザは、どこかの保養地で監禁生活だって。
 私はそれには疑問に感じている。
 祖父は『魅了』に対してちゃんと訓練を受けていたし、キャサリン自身『魅了封じ』はされていた。やっと迎えいれることが出来たウィンティアに対して、再び虐待するかって。これに関しては分からないままだ。額の傷を受けた時、派手に表沙汰にならなかったのもすごく気になるけど、新聞にも乗らないのを、十二のウィンティアには調べる手段がなかった。
 何か別の理由があるくらいしか分からない。
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