ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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真実②

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 キャサリンは監視のもと、指定されたサロンに軟禁。窓からは美しい庭園が望める場所だったそうだ。
 へー、テヘロン王国王城の庭園かあ、素敵だろうなあ。
 なんて思っていたら、アサーヴ殿下はため息。

「ウィンティア嬢、もし君なら王族が住まう城で、サロンに案内されて、指定の時間まで待機と言われたらどうする?」

「待機しますよ、もしかしたらお手洗いを借りるかもしれませんが」

「ほとんどがそんな対応するだろうが、キャサリン・ローズは違った」

「何をやらかしたんですか?」

「サロンに入ってすぐ、王子さまに会いたいと」

「バカですね」

 そんな気軽に会えるような方達ではないんだよ。そりゃ、王城に来たら、遠目でちらっと見えたらものすごいラッキーだろうけど。ローズマリー勲章の受賞祭典中で、普段より要人が多くおり、特別警戒されているのに。

「ローズ夫妻は、娘にきつく大人しくするように言ったが、キャサリン・ローズは僅かの隙を見て、サロンから姿を消した」

「バカでしたね」

 アサーヴ殿下はため息。

「部屋の入り口には騎士が二名、そして室内にはそれぞれ、ルルディとテヘロンの外交官の妻、テヘロンのメイドが一人。メイドがお茶の準備、夫人達が挨拶をした瞬間を見計らい、キャサリン・ローザは窓から庭に向かって飛び出した」

 それって、とんでもなくはしたないんじゃない? 誘拐されて逃げ出すとかなら分かるけど、違うよね。だってきてはダメだと言われた王城に、好意でいれてもらっている。しかも、ローズマリー勲章という名誉な勲章をもらう大切な儀式の真っ最中に、あまりにも浅はかな行動過ぎない?
 私は顔がひきつるのを感じた。

「で、慌てて騎士が追いかけたのだが、何故かキャサリン・ローザはいない。騒然となったよ」

 中庭と言っても、迷路のようた背の高い植物はなく、子供の足、すぐに見つかると思われたが、忽然と姿を消した。

「キャサリン・ローザは、非常時に使用される通路を逆走し、王族の居住区域に侵入」

 私、頭を抱える。

「中庭には、その出口があり、そこからキャサリン・ローザは侵入した。本来秘匿されごく一部の者しか知らないはずなのに、な」

 キャサリンは僅かな時間で出口を開けて、蓋を閉めて、隠し通路を逆走。キャサリンを監視していたメンバーは、その場に誰もおらず、その場は騒然となった。

「隠し通路はちょっとした迷路なんだが、キャサリン・ローザは真っ直ぐ来た。居住区の庭にいた私とステラの前に姿を現したんだ」
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