ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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真実①

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 事の起こりは四年前、いやもう五年まうになった。
 ローザ伯爵が営んでいるセーレ商会に、テヘロン王国からローズマリー勲章を、と言う話しになった。元々これはティーナ夫人個人に授与される予定だったが、毒殺されたこと、ウィンティアに対するネグレクト、感謝祭における暴力が表沙汰になり断念。それからローザ伯爵家は、『魅了』による後遺症に苦しみながら伯爵夫妻は、ティーナ夫人が行っていた事業を引き継ぎ、発展に尽力を尽くした。

「それで再びローズマリー勲章を、個人ではなく、ティーナ夫人の意思を引き継いだ、セーレ商会に、となった


 そうだった。
 あの時、生物学上の両親は、テヘロンに行くのを悩んでいた。そろそろウィンター・ローズ村にも現地調査をしなくてはいけない時期にはなっていた。ただ、受賞となると少し滞在を延期しなくてらない。まだ、私がコクーン修道院から戻って来て間もない時期だったしね。
 悩んだ結果、ローズマリー勲章を、受賞のために夫妻はテヘロンに。今まで頑張ってくれた商会の人達に報いたいし、ティーナ夫人の墓前にローズマリー勲章を供えたい。そんな気持ちがあった。
 いざ、準備をして出発する際に、キャサリンが自分も行くと駄々をこねた。仕事で行くのであり、異国テヘロン在中は夫妻とも過密スケジュールの為に、わがまま娘まで気をかけていられない。しかも、ローズマリー勲章があるから余計に。
 言って聞く訳がない。しまいには当時八歳のウィンティアにまで理不尽な八つ当たりを始めたそうだ。ウィンティアはキャサリンを無視していたし、他の使用人がガードしていたから、事なきを得たが。
 だが、このままキャサリンを残して、ウィンティアに何かやらかすのを恐れて、後日数人の世話役の使用人と共に船にのせた。近くで監視した方がいいだろうと。
 で、いざ、テヘロンに着いたら、毎日キャサリン、つまりルルディ国の人間、特に子供は珍しいので、注目の的。それでキャサリンは気をよくしたようだったが、毎日の様に新しいドレスを欲しがった。
 自分は見られているんだから、同じ服なんて、恥ずかしい、と。すでにこの頃から今の原形が見えてる。
 のらりくらりとかわして、いよいよローズマリー勲章の受賞の日。
 本来ならホテル待機のキャサリンが自分も行くと大騒ぎ。受賞式は王城で行われ、テヘロン王国からも重鎮や高位貴族、他国からの社会的に地位の高い参列者が集まる。なので、受賞対象ではないキャサリンは、王城には入れない。本来ならちゃんと手続きしたら、一番外辺りには庭園とかサロンとか入れるけど、その日は受賞式があるため入れない。
 あまりにもひどく泣きわめくその大騒ぎに、とうとう随行したルルディとテヘロンの外交官が、一番城の外れにあるサロンに、キャサリンをいれることにした。外交官達の妻まで駆り出され、キャサリンの監視、ドアには二名の騎士を配属した。
 ………………………………………
 キャサリンはマナー違反女だと思っていたが、いくらなんでも配慮が足りない。
 王族がいる城で、今日は入れないって言われても入りたいとか、言っていいわけ? ニ、三歳の子供が母親と離れたくないからって泣くのとは訳が違う。当時キャサリンは十一歳、言って分からない年ではないはず。しかも貴族として教育だってやっているはずなのに。
 おそらく騒いだ理由は、生物学上の両親が王城に入れるのに、自分だけ入れないのはずるい、とか思ったんたじゃない?

「まさにそうだったようだ。何故自分だけお城に行けない? お父様やお母様だけずるい、と、それは手がつけられないほど騒いそうだ」

 本当に、キャサリンって、貴族教育されてるわけ?
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