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夏休み⑧
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『ソードさん。スティーシュルラ様の護衛は?』
『今日は必要ないので』
護衛なのに。
そもそもまだ若い、十六のソードさんが護衛に付くのはほとんど建前だ。たまたまユミル学園の入試を突破できたのがソードさんしかいなかったから。
ユミル学園はルルディ王国の貴族が通うって思われているが、他にも一般人が多く通っている。留学生に関しては、共用語が話せて書けて、それで試験突破と、年齢制限がある。十二~十七だ。
基本的に学園内には明らかに護衛ですよー、って付けないので、ソードさんが学生兼業で付いてる。今日は護衛の本職の人達が付いているって。
『私は学生でもあるので、今日は課題に集中するように、と言われました』
『そうですか』
護衛でいるのに、勉強できません、じゃ学生の意味ないからね。そうなると建前上よろしくはない。
大変だよね、護衛して、勉強なんて。
私はソードさんと課題をこなす。
ちゃんと部屋には侍女さんいますよ。
一息つく。
『そう言えば、例の侍女さんの件どうなったんですか?』
『後は学園の理事長の承諾待ちだそうです』
例の侍女さん。
ユミル学園には高位貴族の子息子女が通っている。なので、寮には専属メイド、もしくは侍女さんをつれている人がいる。だけど、教室までは許されていない。これは少し前に廃止された。学園内は安全だからってね。
でも、今回の私の件で、アサーヴ殿下はそれを復活させたい。学園は安全神話を守りたいで、ごちゃごちゃしていたけど、進んだみたい。テヘロンからの留学生への嫌がらせも、改善策や対応策がやっと納得したみたい。
で、侍女さんの件は、もちろんスティーシュルラ様の為ね。なんでもスティーシュルラ様は『テヘロンの至宝』なんて呼ばれるほど愛されている。綺麗だもんねー。
国民からもそうだけど、もちろん家族、テヘロン王家の皆様に溺愛されているって。
こちらに留学の際に、側つきの侍女さんを申し件だけど却下されたので、数人護衛も出来て学生の条件をクリアしている若者が試験に挑んだが、結果合格できたのはソードさんだけ。
『アサーヴ殿下が、せっかく留学出来たのだから、少し学生を楽しめ、なんて仰ってくださいますが、あまり、楽しめない状況で』
『ソードさんも嫌がらせを?』
『いえ、俺ではなく。俺を通じてスティーシュルラ様にお近づきになりたいという輩が多くて』
ため息をつくソードさん。
まあ、貴族として、友好関係にある国の王女様と仲良くしないといけないんだろうね。
『しかも変な女子生徒に絡まれるし』
『あ、もしかしてアデレーナ・グラーフ?』
ダンスの共同授業の時、回りを陽動していたような気がした。
『そうです。俺はああいう手前の女は嫌いです』
『ハッキリいいますね』
『事実です。変にはぐらかして、向こうが勘違いしたら更に嫌ですから』
て、事はアデレーナ本人にも言ったんだ。
『はい。言いました。そうしたら更にめんどくさい事になって。照れ隠しとか、しまいには、私、そんなに嫌われるようなことをしました? 治しますわ、さあ、おっしゃって、て』
『わあ、めんどくさーい』
そんな風に絡んでくるのはアデレーナだけらしい。
あ、そうだ。
アデレーナに関して、例の件を調べて貰えないかな? アサーヴ殿下、私のアイデアやアドバイスとかで、最近謝礼謝礼って繰り返すし。
ダメ元で、頼んで見ようかな?
『ソードさん、今日アサーヴ殿下はいつお帰りに?』
『夜中になるはずですよ』
『なら、明日か…………』
『どうしました?』
『あ、いえ、アサーヴ殿下がお茶会の時の件で、私に謝礼を払いたいっておっしゃってくださっていて。私としては一つお願いしたいことがあって』
すると、待機していた侍女さんが、なにやら外に向かってサインを送ってた。
なんだろう?
『今日は必要ないので』
護衛なのに。
そもそもまだ若い、十六のソードさんが護衛に付くのはほとんど建前だ。たまたまユミル学園の入試を突破できたのがソードさんしかいなかったから。
ユミル学園はルルディ王国の貴族が通うって思われているが、他にも一般人が多く通っている。留学生に関しては、共用語が話せて書けて、それで試験突破と、年齢制限がある。十二~十七だ。
基本的に学園内には明らかに護衛ですよー、って付けないので、ソードさんが学生兼業で付いてる。今日は護衛の本職の人達が付いているって。
『私は学生でもあるので、今日は課題に集中するように、と言われました』
『そうですか』
護衛でいるのに、勉強できません、じゃ学生の意味ないからね。そうなると建前上よろしくはない。
大変だよね、護衛して、勉強なんて。
私はソードさんと課題をこなす。
ちゃんと部屋には侍女さんいますよ。
一息つく。
『そう言えば、例の侍女さんの件どうなったんですか?』
『後は学園の理事長の承諾待ちだそうです』
例の侍女さん。
ユミル学園には高位貴族の子息子女が通っている。なので、寮には専属メイド、もしくは侍女さんをつれている人がいる。だけど、教室までは許されていない。これは少し前に廃止された。学園内は安全だからってね。
でも、今回の私の件で、アサーヴ殿下はそれを復活させたい。学園は安全神話を守りたいで、ごちゃごちゃしていたけど、進んだみたい。テヘロンからの留学生への嫌がらせも、改善策や対応策がやっと納得したみたい。
で、侍女さんの件は、もちろんスティーシュルラ様の為ね。なんでもスティーシュルラ様は『テヘロンの至宝』なんて呼ばれるほど愛されている。綺麗だもんねー。
国民からもそうだけど、もちろん家族、テヘロン王家の皆様に溺愛されているって。
こちらに留学の際に、側つきの侍女さんを申し件だけど却下されたので、数人護衛も出来て学生の条件をクリアしている若者が試験に挑んだが、結果合格できたのはソードさんだけ。
『アサーヴ殿下が、せっかく留学出来たのだから、少し学生を楽しめ、なんて仰ってくださいますが、あまり、楽しめない状況で』
『ソードさんも嫌がらせを?』
『いえ、俺ではなく。俺を通じてスティーシュルラ様にお近づきになりたいという輩が多くて』
ため息をつくソードさん。
まあ、貴族として、友好関係にある国の王女様と仲良くしないといけないんだろうね。
『しかも変な女子生徒に絡まれるし』
『あ、もしかしてアデレーナ・グラーフ?』
ダンスの共同授業の時、回りを陽動していたような気がした。
『そうです。俺はああいう手前の女は嫌いです』
『ハッキリいいますね』
『事実です。変にはぐらかして、向こうが勘違いしたら更に嫌ですから』
て、事はアデレーナ本人にも言ったんだ。
『はい。言いました。そうしたら更にめんどくさい事になって。照れ隠しとか、しまいには、私、そんなに嫌われるようなことをしました? 治しますわ、さあ、おっしゃって、て』
『わあ、めんどくさーい』
そんな風に絡んでくるのはアデレーナだけらしい。
あ、そうだ。
アデレーナに関して、例の件を調べて貰えないかな? アサーヴ殿下、私のアイデアやアドバイスとかで、最近謝礼謝礼って繰り返すし。
ダメ元で、頼んで見ようかな?
『ソードさん、今日アサーヴ殿下はいつお帰りに?』
『夜中になるはずですよ』
『なら、明日か…………』
『どうしました?』
『あ、いえ、アサーヴ殿下がお茶会の時の件で、私に謝礼を払いたいっておっしゃってくださっていて。私としては一つお願いしたいことがあって』
すると、待機していた侍女さんが、なにやら外に向かってサインを送ってた。
なんだろう?
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