132 / 338
夏休み⑥
しおりを挟む
『涼しいですね』
夏なのに、そこそこ締め切っているはずの室内がひんやり。
私は大きな広間に案内された。
例のお茶会の会場だ。
クーラーでも入っているんじゃないかと思うくらいひんやりしている。
会場は飾り付けが着々と進んでいる。私、お邪魔だね。良くしてくれる侍女さんが色々説明してくれる。
ひんやりの原因は地下水だそうだ。
この広間の壁に上から汲み上げた地下水を流し、大きな扇風機みたいなので空気を循環させてるって。今は人が少ないけど、お茶会には大勢くるから、室温は当然上がる。そうなれば、ひんやりではなく、過ごしやすい温度になるって。
『ウィンティア様、明後日のお茶会には様々な方がいらっしゃいます。ご不自由をお掛けしますが、お部屋でお過ごしください』
『はい』
お世話になってますから、従いますよ。
私の拙い記憶でアドバイスしたテヘロン料理は、更に色鮮やかになっている。家庭料理であるライスコロッケみたいなのは、出さないって言ってたけど、私なら手を出すって言ったら急遽メニューに加わった。それから普通にじゃがいものコロッケも提案したら、本当にコロッケが出来上がった。小判の形で懐かしい感じに作ってくれた。メンチカツもね。美味しい。熱心にシェフ達が来るので、必死に記憶を引っ張りだしながら、あーだ、こーだ、と一緒に考えた。
100%テヘロン料理は、おそらくルルディの人には香辛料がきつすぎるんだと思う。薬膳カレーみたいだから、慣れない料理で、きつすぎる香辛料で手が出しにくいんじゃないかな? オーソドックスにブイヨンを使用したチキンカレー、それからえびの殻から取ったスープのカレーは私的には絶品なんだけど。味見的に、れんげっぽいスプーンで出してはどうかなって意見だしたら、採用された。だ、大丈夫かな? あちこちに私の意見が採用されたけど。
『ウィンティア様、シェフが味見のお願いを、と』
別の侍女さんが呼びに来た。
現在、ベジタリアン用のカレーと、ココナッツを使用したデザート、ナンを使用した春巻きもどきの試作中。
『はい、行きます』
私は顔見知りになったシェフ達に歓迎されて、ずらっとならんでいる試作品をパクパクしていった。
うーん、どれも美味しい。ナタリア達に食べさせたいなあ。
夏なのに、そこそこ締め切っているはずの室内がひんやり。
私は大きな広間に案内された。
例のお茶会の会場だ。
クーラーでも入っているんじゃないかと思うくらいひんやりしている。
会場は飾り付けが着々と進んでいる。私、お邪魔だね。良くしてくれる侍女さんが色々説明してくれる。
ひんやりの原因は地下水だそうだ。
この広間の壁に上から汲み上げた地下水を流し、大きな扇風機みたいなので空気を循環させてるって。今は人が少ないけど、お茶会には大勢くるから、室温は当然上がる。そうなれば、ひんやりではなく、過ごしやすい温度になるって。
『ウィンティア様、明後日のお茶会には様々な方がいらっしゃいます。ご不自由をお掛けしますが、お部屋でお過ごしください』
『はい』
お世話になってますから、従いますよ。
私の拙い記憶でアドバイスしたテヘロン料理は、更に色鮮やかになっている。家庭料理であるライスコロッケみたいなのは、出さないって言ってたけど、私なら手を出すって言ったら急遽メニューに加わった。それから普通にじゃがいものコロッケも提案したら、本当にコロッケが出来上がった。小判の形で懐かしい感じに作ってくれた。メンチカツもね。美味しい。熱心にシェフ達が来るので、必死に記憶を引っ張りだしながら、あーだ、こーだ、と一緒に考えた。
100%テヘロン料理は、おそらくルルディの人には香辛料がきつすぎるんだと思う。薬膳カレーみたいだから、慣れない料理で、きつすぎる香辛料で手が出しにくいんじゃないかな? オーソドックスにブイヨンを使用したチキンカレー、それからえびの殻から取ったスープのカレーは私的には絶品なんだけど。味見的に、れんげっぽいスプーンで出してはどうかなって意見だしたら、採用された。だ、大丈夫かな? あちこちに私の意見が採用されたけど。
『ウィンティア様、シェフが味見のお願いを、と』
別の侍女さんが呼びに来た。
現在、ベジタリアン用のカレーと、ココナッツを使用したデザート、ナンを使用した春巻きもどきの試作中。
『はい、行きます』
私は顔見知りになったシェフ達に歓迎されて、ずらっとならんでいる試作品をパクパクしていった。
うーん、どれも美味しい。ナタリア達に食べさせたいなあ。
98
お気に入りに追加
546
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。
水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。
王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。
しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。
ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。
今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。
ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。
焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。
それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。
※小説になろうでも投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる