ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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夏休み⑥

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『涼しいですね』

 夏なのに、そこそこ締め切っているはずの室内がひんやり。
 私は大きな広間に案内された。
 例のお茶会の会場だ。
 クーラーでも入っているんじゃないかと思うくらいひんやりしている。
 会場は飾り付けが着々と進んでいる。私、お邪魔だね。良くしてくれる侍女さんが色々説明してくれる。
 ひんやりの原因は地下水だそうだ。
 この広間の壁に上から汲み上げた地下水を流し、大きな扇風機みたいなので空気を循環させてるって。今は人が少ないけど、お茶会には大勢くるから、室温は当然上がる。そうなれば、ひんやりではなく、過ごしやすい温度になるって。

『ウィンティア様、明後日のお茶会には様々な方がいらっしゃいます。ご不自由をお掛けしますが、お部屋でお過ごしください』

『はい』

 お世話になってますから、従いますよ。
 私の拙い記憶でアドバイスしたテヘロン料理は、更に色鮮やかになっている。家庭料理であるライスコロッケみたいなのは、出さないって言ってたけど、私なら手を出すって言ったら急遽メニューに加わった。それから普通にじゃがいものコロッケも提案したら、本当にコロッケが出来上がった。小判の形で懐かしい感じに作ってくれた。メンチカツもね。美味しい。熱心にシェフ達が来るので、必死に記憶を引っ張りだしながら、あーだ、こーだ、と一緒に考えた。
 100%テヘロン料理は、おそらくルルディの人には香辛料がきつすぎるんだと思う。薬膳カレーみたいだから、慣れない料理で、きつすぎる香辛料で手が出しにくいんじゃないかな? オーソドックスにブイヨンを使用したチキンカレー、それからえびの殻から取ったスープのカレーは私的には絶品なんだけど。味見的に、れんげっぽいスプーンで出してはどうかなって意見だしたら、採用された。だ、大丈夫かな? あちこちに私の意見が採用されたけど。

『ウィンティア様、シェフが味見のお願いを、と』

 別の侍女さんが呼びに来た。
 現在、ベジタリアン用のカレーと、ココナッツを使用したデザート、ナンを使用した春巻きもどきの試作中。

『はい、行きます』

 私は顔見知りになったシェフ達に歓迎されて、ずらっとならんでいる試作品をパクパクしていった。
 うーん、どれも美味しい。ナタリア達に食べさせたいなあ。
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