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夏休み③

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「へー、これは食べやすいね」

 次の日のお昼。
 早速ラップサンドをアサーヴ殿下とスティーシュルラ様が食べてる。
 いいの? 王族がラップサンドかぶりついて。
 でも、サンドだから、サンドウィッチになるのかな?
パンは手で食べるし、それと一緒なのかな? うーん、パンの部類なのかな?
 昨日と同じ内容のラップサンドをぱくり。

「ねぇ、ウィンティア嬢、このアイデア、買わせて貰えないかな?」

「か、買わせてって。お世話になっていますし、大したものではないのでお使いください」

 もともと私のアイデアではないし。

「君は無欲だね。だけど、これはけじめだよ。何かお願いはないかな?」

 ぱちん、とウィンクされる。くっ、イケメンさんのオーラが眩しっ。

「今すぐ思い付きませんっ」

 ははは、と笑うアサーヴ殿下に、こら、と諌めてくれるスティーシュルラ様。
 しかし、ラップサンドのアイデアを買取りってどうしたんだろう?

「実はね、次の我がテヘロン大使館主催で大規模なお茶会をするんだ」

 アサーヴ殿下が説明してくれる。
 お昼も兼ねたカジュアルな立食パーティーね。
 そこで、出す料理を毎回苦労しているって。
 
「なかなか、テヘロン料理を受け入れて貰えなくてね」

 そりゃ、そうじゃないかな。
 おそらく情報不足が原因じゃないかな? テヘロンは国交はあっても海の向こうの国。ネットみたいに簡単に情報が入らなければ、何が使われた料理なんだろうって不安になるんじゃないかな? そう思うと、日本は他国の料理には寛大なんだろうけど。私はちょっと料理に関しては、人見知り感がある。よく知らない国の料理となると抵抗感が沸いてしまう。テレビとかネットとか、あるいは知り合いからのある程度の情報がないと、自分から手を出さない。
 じゃあ何でほぼ初見のテヘロン料理を食べたのって聞かれた。

「スティーシュルラ様が食べてますから、安心かなって」

 普通にカレーだあっ、て思って食べてたなんて言えない。
 すると、侍女さんが新鮮なフルーツジュースを出してくれた、わぁ、欄のお花が飾ってある。素敵。
 ちゅー、とストローで飲んでいると、さらにアサーヴ殿下から色々聞かれる。

「どうしたら、テヘロン料理を多くの人に受け入れて貰えると思う?」

「きっかけではないでしょうか?」

「そのきっかけが困っているんだよ」

「うーん。そうですね。ちなみにどんなのが受けが良いですか?」

「今、君が飲んでいるジュースだね。その場で絞って出しているよ」

 あ、なんか分かった。

「それは中身が見えているからですよ、きっと。多分
どんな食材を使って、調理されているとか分からないから、すぐに手にしようって思えないです。食事に対して、内向的になっているんですよ」
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