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テヘロン大使館⑦
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レオナルド・キーファーはそこまでして私との婚約に拘るのは、後見のウーヴァ公爵から脅されているんじゃないかな? だから、あれだけ必死だったのかな?
そう言えば、婚約の経緯、しらないや。
だからと言って知りたくはない。もう、散々な目に合ってるからね。
アサーヴ殿下の学園の捜索状況を聞く。
私が行方不明だと言うのはクラスメートには知られたが、口止めされていること。教職員達が総動員で捜索しているって。わぁ、申し訳ない気持ちが沸き上がる。確かに代理の寮母やあのペルク侯爵令嬢や寮管生二人には腹が立っているけど。探してくれてる教職員達には申し訳ない。
「それで、だ。ウィンティア嬢」
アサーヴ殿下が改まる。
「はい」
「いずれは君がここにいるのは勘づかれるだろう。そうなれば、君はどうしたい?」
「帰ろうと思います。ナタリアも心配しているでしょうし、探してくれている先生達にも申し訳ないので」
まだ、微熱あるけどね。
これくらいなら、寮のベッドでも大丈夫だ。ムチ打ちされた後もいいしね。
「ティアさん、まだ熱があるでしょう? なら、もう少しここにいたら?」
「皆さんのご好意は嬉しいのですが、やはり、迷惑をおかけします。何もお返しできないのが、心苦しいのですが」
やはり、探し回っているナタリアや教職員には申し訳ない。ウーヴァ公爵やローザ伯爵には、なんとも感じないけど。スティーシュルラ様とそんな話をしていると、ふーん、みたいな顔でアサーヴ殿下がみてくる。
な、なんだろ? まるで、探るような視線。
「な、なんでしょうか?」
「いや、失礼。本当にあの女の妹かと思って」
びしっ。
「あれと同列にみないで欲しいです」
他国の王子様、アサーヴ殿下にとても失礼な言い方を。
「す、すみませんっ」
「いや、構わないよ。君の言い分も分かる気がするよ。あの女は酷かったしな」
思い出すように言うアサーヴ殿下。
まるで、見ていたみたい。
まさか。
「あの、アサーヴ殿下。キャサリンが起こした騒動をご覧になったりしてますか?」
おずおずと聞くと、アサーヴ殿下は少し口ごもる。
「君は、どこまで知っている?」
と、確認される。
実はキャサリンが何故テヘロン王国に、永久入国禁止になったトラブルは、詳しく知らない。ローザ伯爵家に昔から支える使用人や、生物学上の両親なら知っているだろうけど、正直長い時間話をするのは拒絶反応が出る。
ただ、永久入国禁止になるような事、よっぽどな事を、マナー違反女キャサリンがやらかしたって事しか分からない。
「それくらいしか知らないんです」
「その認識で間違い。キャサリン・ローザは、我が父と母達の怒りを買ったのだ」
何をやらかしたんだ、あのマナー違反女は?
「ウィンティア・ローザ。まだ君は幼い。あの時の話は、こちらの事情もあるから、もう少し大人になってからにしなさい」
う、子供扱い。
確かに、ウィンティアは子供だけど。
何をやらかしたんだ?
ウィンティアの記憶では、あの八歳の時のローズマリー勲章の話辺り。
「ローザ伯爵がローズマリー勲章の時ですよね」
呟く私に、アサーヴ殿下は首を横にする。
「ウィンティア嬢、話はここまでだ。まだ微熱があるのだ、休みなさい。君の存在に関しては明日話そう」
無理やり話を終わらせようとしている。聞いた方がいいんだろうけど、八歳の頃、ローズマリー勲章の言葉がぐるぐる回る。
「ティアさん? ティアさんどうしたの? ティアさん、ティアさん?」
なんだろ? なんだろ? 息が、苦しくなってきた。
そう言えば、婚約の経緯、しらないや。
だからと言って知りたくはない。もう、散々な目に合ってるからね。
アサーヴ殿下の学園の捜索状況を聞く。
私が行方不明だと言うのはクラスメートには知られたが、口止めされていること。教職員達が総動員で捜索しているって。わぁ、申し訳ない気持ちが沸き上がる。確かに代理の寮母やあのペルク侯爵令嬢や寮管生二人には腹が立っているけど。探してくれてる教職員達には申し訳ない。
「それで、だ。ウィンティア嬢」
アサーヴ殿下が改まる。
「はい」
「いずれは君がここにいるのは勘づかれるだろう。そうなれば、君はどうしたい?」
「帰ろうと思います。ナタリアも心配しているでしょうし、探してくれている先生達にも申し訳ないので」
まだ、微熱あるけどね。
これくらいなら、寮のベッドでも大丈夫だ。ムチ打ちされた後もいいしね。
「ティアさん、まだ熱があるでしょう? なら、もう少しここにいたら?」
「皆さんのご好意は嬉しいのですが、やはり、迷惑をおかけします。何もお返しできないのが、心苦しいのですが」
やはり、探し回っているナタリアや教職員には申し訳ない。ウーヴァ公爵やローザ伯爵には、なんとも感じないけど。スティーシュルラ様とそんな話をしていると、ふーん、みたいな顔でアサーヴ殿下がみてくる。
な、なんだろ? まるで、探るような視線。
「な、なんでしょうか?」
「いや、失礼。本当にあの女の妹かと思って」
びしっ。
「あれと同列にみないで欲しいです」
他国の王子様、アサーヴ殿下にとても失礼な言い方を。
「す、すみませんっ」
「いや、構わないよ。君の言い分も分かる気がするよ。あの女は酷かったしな」
思い出すように言うアサーヴ殿下。
まるで、見ていたみたい。
まさか。
「あの、アサーヴ殿下。キャサリンが起こした騒動をご覧になったりしてますか?」
おずおずと聞くと、アサーヴ殿下は少し口ごもる。
「君は、どこまで知っている?」
と、確認される。
実はキャサリンが何故テヘロン王国に、永久入国禁止になったトラブルは、詳しく知らない。ローザ伯爵家に昔から支える使用人や、生物学上の両親なら知っているだろうけど、正直長い時間話をするのは拒絶反応が出る。
ただ、永久入国禁止になるような事、よっぽどな事を、マナー違反女キャサリンがやらかしたって事しか分からない。
「それくらいしか知らないんです」
「その認識で間違い。キャサリン・ローザは、我が父と母達の怒りを買ったのだ」
何をやらかしたんだ、あのマナー違反女は?
「ウィンティア・ローザ。まだ君は幼い。あの時の話は、こちらの事情もあるから、もう少し大人になってからにしなさい」
う、子供扱い。
確かに、ウィンティアは子供だけど。
何をやらかしたんだ?
ウィンティアの記憶では、あの八歳の時のローズマリー勲章の話辺り。
「ローザ伯爵がローズマリー勲章の時ですよね」
呟く私に、アサーヴ殿下は首を横にする。
「ウィンティア嬢、話はここまでだ。まだ微熱があるのだ、休みなさい。君の存在に関しては明日話そう」
無理やり話を終わらせようとしている。聞いた方がいいんだろうけど、八歳の頃、ローズマリー勲章の言葉がぐるぐる回る。
「ティアさん? ティアさんどうしたの? ティアさん、ティアさん?」
なんだろ? なんだろ? 息が、苦しくなってきた。
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