ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
118 / 338

テヘロン大使館③

しおりを挟む
 初老の男性、馭者さんは、私を備え付けの毛布で包んでくれて、馬車に乗せてくれた。お金、持ってないのに。
 で、新聞社に着いて裏に回り、デルダさんを呼んでくれた。当のデルダさん、びっくりしただろうなあ。数日前に名刺を渡した女の子が、よれよれの姿でやって来るなんて、ね。
 私は馬車からこっそり新聞社に運ばれ、偉い人が使う仮眠室に運ばれたんだけど。

「たばこ臭いっ、吐きそうっ」

 もう強烈に臭かった。私はたばこの臭いが大嫌い。
 デルダさんが他の仮眠室もこんなものだからって言うけど臭いのなんの。毛布やソファーや壁やらとにかく臭い。
 雨に濡れていた私の為に、女性記者さんがお世話してくれて、お医者さんまで呼んでくれたが、たばこ臭くてたまらない。
 診察中にとうとう吐いてしまった。
 お医者さんは女性だった。下町で小さな治療院を開業しているからと、私をそこに連れてってくれた。
 仮眠室ではとてもではないが、私の治療に支障を来すし、清掃だって行き届いてない感じだったしね。
 で、また馬車で移動し、治療院に。手当てを受けて、お薬飲んで、綺麗な病衣着替えてベッドに。
 私は丸一日眠った。

 次の日。
 熱の影響でだるくて仕方なかった。
 デルダさんがリンゴを持って来てくれた。治療院の人がすりおろしてくれた。
 あまり長い時間は話してはダメと言われたから、手短にお話。
 私の心配はあの馭者さんに、お金を支払ってないことだ。デルダさんが立て替えてくれたみたい。なら、デルダさんに払わないと、と思ったが、情報提供してくれたらいいって。熱が下がったら、今回の件、どうしてこうなったかを知りたいら話を聞きたいって、記事にしたいみたい。
 ただ、私の社会的な評判とかの問題もあるから慎重にはなるけどって、さ。
 それから、ユミル学園の様子が知りたかったけどドクターストップがかかってしまった。

「また、明日来るよ。お大事に」

 そういって、デルダさんは帰宅。
 私はすりおろしてもらったリンゴを食べて再び眠った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

伯爵令嬢が婚約破棄され、兄の騎士団長が激怒した。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?

西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。 連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。 ★★ 恋愛小説コンテストに出す予定です。 タイトル含め、修正する可能性があります。 ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。 ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

側妃のお仕事は終了です。

火野村志紀
恋愛
侯爵令嬢アニュエラは、王太子サディアスの正妃となった……はずだった。 だが、サディアスはミリアという令嬢を正妃にすると言い出し、アニュエラは側妃の地位を押し付けられた。 それでも構わないと思っていたのだ。サディアスが「側妃は所詮お飾りだ」と言い出すまでは。

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...