ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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テヘロン大使館③

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 初老の男性、馭者さんは、私を備え付けの毛布で包んでくれて、馬車に乗せてくれた。お金、持ってないのに。
 で、新聞社に着いて裏に回り、デルダさんを呼んでくれた。当のデルダさん、びっくりしただろうなあ。数日前に名刺を渡した女の子が、よれよれの姿でやって来るなんて、ね。
 私は馬車からこっそり新聞社に運ばれ、偉い人が使う仮眠室に運ばれたんだけど。

「たばこ臭いっ、吐きそうっ」

 もう強烈に臭かった。私はたばこの臭いが大嫌い。
 デルダさんが他の仮眠室もこんなものだからって言うけど臭いのなんの。毛布やソファーや壁やらとにかく臭い。
 雨に濡れていた私の為に、女性記者さんがお世話してくれて、お医者さんまで呼んでくれたが、たばこ臭くてたまらない。
 診察中にとうとう吐いてしまった。
 お医者さんは女性だった。下町で小さな治療院を開業しているからと、私をそこに連れてってくれた。
 仮眠室ではとてもではないが、私の治療に支障を来すし、清掃だって行き届いてない感じだったしね。
 で、また馬車で移動し、治療院に。手当てを受けて、お薬飲んで、綺麗な病衣着替えてベッドに。
 私は丸一日眠った。

 次の日。
 熱の影響でだるくて仕方なかった。
 デルダさんがリンゴを持って来てくれた。治療院の人がすりおろしてくれた。
 あまり長い時間は話してはダメと言われたから、手短にお話。
 私の心配はあの馭者さんに、お金を支払ってないことだ。デルダさんが立て替えてくれたみたい。なら、デルダさんに払わないと、と思ったが、情報提供してくれたらいいって。熱が下がったら、今回の件、どうしてこうなったかを知りたいら話を聞きたいって、記事にしたいみたい。
 ただ、私の社会的な評判とかの問題もあるから慎重にはなるけどって、さ。
 それから、ユミル学園の様子が知りたかったけどドクターストップがかかってしまった。

「また、明日来るよ。お大事に」

 そういって、デルダさんは帰宅。
 私はすりおろしてもらったリンゴを食べて再び眠った。
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