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行方不明⑤
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「コーンさんっ、これはどういう事ですかっ」
金切り声を上げる代理の寮母。ダグラスは無視して鍵を拾い上げて駆ける。
地下の反省室に走り、鍵を開けるが、もぬけの殻。朝の食事か、扉付近におかれた食器を蹴り飛ばしたが気にしていられない。
ダグラスは暗い反省室を隅々まで探すが、ウィンティアの姿がない。嫌な予感が倍増しながらかけ戻る。
管理室では、代理の寮母とマクガレルが不貞腐れた様子の二人を詰問している。
「おいっ、ウィンティア・ローザはどこだっ」
声を荒げるダグラス。
「どういう事ですかっ? 彼女は反省室にっ」
代理の寮母は焦るように叫ぶ。
「居なかったんだっ、彼処は中から出られない」
ダグラスは不貞腐れた二人に告げる。
「なら誰かが鍵を開けて出したはずだっ。鍵はお前達がもっていたっ」
きつい視線を向けかれようが、ディミアとコーンと呼ばれた寮管生は口をつぐむ。
いくら聞いても二人に口をつぐむ。
結局。
現在使用されている、本来の反省室に連行されても二人は口を割らない。
ディミアの次兄、ペルク侯爵の首都にある別邸を管理している代理保護者。コーン、メリィーラ・コーンの保護者は母親。その二人が呼ばれた。
その間に代理の寮母からの経緯の全貌が分かり出す。
ユミル学園の寮母として、完璧にこなそうと思っていた代理の寮母。渡された規則本をしっかり隅々まで読んでいた。だが、寮生が問題を起こすこともなかったが、ウィンティア・ローザが外出先から帰って来ないことを、心配していると、あの二人が捲し立てた。
ユミル学園生徒が、無断外泊とは由々しき事態だ。
全生徒の評判、卒業生まで、その煽りを受ける。
無断外泊は処罰対象だ。
ウィンティア・ローザは、裕福な伯爵家の力をちらつかせて、迷惑している生徒が少なからずいる。
自分の非を認めず、傲慢で、担任も手を焼いている。
罰を、正式な罰を受けるのは当然、ユミル学園の寮生なら分かっているはず。
等々。
寮母は外出の用紙を確認。
ウィンティア・ローザは金曜日の夕方から、外出していた。調べたのは土曜日の18時過ぎ、門限を過ぎていた。
ローザ伯爵家に戻るとかかれた用紙を見て、代理の寮母は怒りを覚えた。首都内にある屋敷に帰るだけなのに、無断外泊。何より許せないのは、外泊に変更すると言う連絡がなかった事だ。
代理の寮母は規則本をチェック。
この様な場合、無断外泊の場合。
いかなる理由であろうと、鞭にて百叩きし、地下の反省室に一週間勾留せよ。
ただし、爵位持ちの跡取りの場合は、爵位持ちの当主に判断を委ねる事。それ以外は、いかなる理由があろうと処罰に処すること。
それは100年以上前の規則本だった。
これは昔の過激な罰が当たり前の時代の負の遺産。嫡子は大事にして、爵位持ちの跡取り以外は、それ以外は厳しい社会で生きていくから、来れくらいの罰は当たり前の時代。
この負の遺産である古い規則本は、戒めとして保管されていた。療養していた寮母が渡したのは現行の規則本だった。いつ、入れ替わったのかは後日判明した。ディミアがメリィーラと共謀してやった。
ウィンティアが提出した外出届けを破棄し、日付を変えて書いたものとすり替えた。門番からの伝言を代理の寮母には告げなかった。ウーヴァ公爵家の使いは、門番にウィンティア・ローザが、公爵家でトラブルがあり、門限過ぎに帰るか、もしくはそのまま外泊になる。これはすべてウーヴァ公爵家の非であり、ウィンティア・ローザは関係のないことだと。
門番は席を外していた代理の寮母の変わりに伝えたのは、寮管生であるメリィーラ・コーンに伝えた、と。
代理の寮母は、ディミアとメリィーラに踊らせて、帰って来たウィンティアに問答無用でムチ打ち。突然の事に驚いたウィンティアは必死の抵抗をしたが、十二の少女が、倍以上の体躯の代理の寮母に勝てるわけない。ウィンティアは何も抵抗するものを持っていなかったし、過去に受けた痛みが刺激して、まともな抵抗も言葉もでなかった。痛みに踞るウィンティアは、寮管生とディミアに手荒に地下の反省室に放り込まれた。建前上、代理の寮母の手伝い。
本来の目的。
「あんたのせいで、マルク様から嫌われたのよっ。少しは反省さなさいっ。伯爵程度のキズ女の癖に偉そうにするからよっ。当然の報いよっ」
ディミアはあの一件で、婚約者であるマルクから距離を置きたい、少し頭を冷やそうと言われた。ディミアはどう解釈したのか、ウィンティアが騒ぎにしたせいだからと逆恨み。
「あんたがいなければ、今も家族一緒に暮らせたのよっ。あんたのせいよっ、疫病神っ」
メリィーラ・コーン。
母親は、かつて、ウィンティアのピアノの家庭教師をしていた。ウィンティアがピアノを始めた頃の若い教師がクビにされた後に雇われた。ピアノ初心者がとてもでは弾けない曲を出して、当然弾けないウィンティアを過激な暴言を放ち、怯える姿に幼いウィンティアをメトロノームで殴ったピアノ教師だ。
母親は当然罪に問われ、父親に離縁された。学園に呼ばれたのは、父親の後妻だ。兄と姉は実の母親を嫌い、後妻を受け入れた。
兄と姉が理解できなかったメリィーラは母親が大好きだった。ずっと家族一緒に暮らしていけると、疑っていなかった。それなのに、ウィンティアのせいで家族がバラバラになったと逆恨みしていた。
金切り声を上げる代理の寮母。ダグラスは無視して鍵を拾い上げて駆ける。
地下の反省室に走り、鍵を開けるが、もぬけの殻。朝の食事か、扉付近におかれた食器を蹴り飛ばしたが気にしていられない。
ダグラスは暗い反省室を隅々まで探すが、ウィンティアの姿がない。嫌な予感が倍増しながらかけ戻る。
管理室では、代理の寮母とマクガレルが不貞腐れた様子の二人を詰問している。
「おいっ、ウィンティア・ローザはどこだっ」
声を荒げるダグラス。
「どういう事ですかっ? 彼女は反省室にっ」
代理の寮母は焦るように叫ぶ。
「居なかったんだっ、彼処は中から出られない」
ダグラスは不貞腐れた二人に告げる。
「なら誰かが鍵を開けて出したはずだっ。鍵はお前達がもっていたっ」
きつい視線を向けかれようが、ディミアとコーンと呼ばれた寮管生は口をつぐむ。
いくら聞いても二人に口をつぐむ。
結局。
現在使用されている、本来の反省室に連行されても二人は口を割らない。
ディミアの次兄、ペルク侯爵の首都にある別邸を管理している代理保護者。コーン、メリィーラ・コーンの保護者は母親。その二人が呼ばれた。
その間に代理の寮母からの経緯の全貌が分かり出す。
ユミル学園の寮母として、完璧にこなそうと思っていた代理の寮母。渡された規則本をしっかり隅々まで読んでいた。だが、寮生が問題を起こすこともなかったが、ウィンティア・ローザが外出先から帰って来ないことを、心配していると、あの二人が捲し立てた。
ユミル学園生徒が、無断外泊とは由々しき事態だ。
全生徒の評判、卒業生まで、その煽りを受ける。
無断外泊は処罰対象だ。
ウィンティア・ローザは、裕福な伯爵家の力をちらつかせて、迷惑している生徒が少なからずいる。
自分の非を認めず、傲慢で、担任も手を焼いている。
罰を、正式な罰を受けるのは当然、ユミル学園の寮生なら分かっているはず。
等々。
寮母は外出の用紙を確認。
ウィンティア・ローザは金曜日の夕方から、外出していた。調べたのは土曜日の18時過ぎ、門限を過ぎていた。
ローザ伯爵家に戻るとかかれた用紙を見て、代理の寮母は怒りを覚えた。首都内にある屋敷に帰るだけなのに、無断外泊。何より許せないのは、外泊に変更すると言う連絡がなかった事だ。
代理の寮母は規則本をチェック。
この様な場合、無断外泊の場合。
いかなる理由であろうと、鞭にて百叩きし、地下の反省室に一週間勾留せよ。
ただし、爵位持ちの跡取りの場合は、爵位持ちの当主に判断を委ねる事。それ以外は、いかなる理由があろうと処罰に処すること。
それは100年以上前の規則本だった。
これは昔の過激な罰が当たり前の時代の負の遺産。嫡子は大事にして、爵位持ちの跡取り以外は、それ以外は厳しい社会で生きていくから、来れくらいの罰は当たり前の時代。
この負の遺産である古い規則本は、戒めとして保管されていた。療養していた寮母が渡したのは現行の規則本だった。いつ、入れ替わったのかは後日判明した。ディミアがメリィーラと共謀してやった。
ウィンティアが提出した外出届けを破棄し、日付を変えて書いたものとすり替えた。門番からの伝言を代理の寮母には告げなかった。ウーヴァ公爵家の使いは、門番にウィンティア・ローザが、公爵家でトラブルがあり、門限過ぎに帰るか、もしくはそのまま外泊になる。これはすべてウーヴァ公爵家の非であり、ウィンティア・ローザは関係のないことだと。
門番は席を外していた代理の寮母の変わりに伝えたのは、寮管生であるメリィーラ・コーンに伝えた、と。
代理の寮母は、ディミアとメリィーラに踊らせて、帰って来たウィンティアに問答無用でムチ打ち。突然の事に驚いたウィンティアは必死の抵抗をしたが、十二の少女が、倍以上の体躯の代理の寮母に勝てるわけない。ウィンティアは何も抵抗するものを持っていなかったし、過去に受けた痛みが刺激して、まともな抵抗も言葉もでなかった。痛みに踞るウィンティアは、寮管生とディミアに手荒に地下の反省室に放り込まれた。建前上、代理の寮母の手伝い。
本来の目的。
「あんたのせいで、マルク様から嫌われたのよっ。少しは反省さなさいっ。伯爵程度のキズ女の癖に偉そうにするからよっ。当然の報いよっ」
ディミアはあの一件で、婚約者であるマルクから距離を置きたい、少し頭を冷やそうと言われた。ディミアはどう解釈したのか、ウィンティアが騒ぎにしたせいだからと逆恨み。
「あんたがいなければ、今も家族一緒に暮らせたのよっ。あんたのせいよっ、疫病神っ」
メリィーラ・コーン。
母親は、かつて、ウィンティアのピアノの家庭教師をしていた。ウィンティアがピアノを始めた頃の若い教師がクビにされた後に雇われた。ピアノ初心者がとてもでは弾けない曲を出して、当然弾けないウィンティアを過激な暴言を放ち、怯える姿に幼いウィンティアをメトロノームで殴ったピアノ教師だ。
母親は当然罪に問われ、父親に離縁された。学園に呼ばれたのは、父親の後妻だ。兄と姉は実の母親を嫌い、後妻を受け入れた。
兄と姉が理解できなかったメリィーラは母親が大好きだった。ずっと家族一緒に暮らしていけると、疑っていなかった。それなのに、ウィンティアのせいで家族がバラバラになったと逆恨みしていた。
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