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邪魔⑤

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 また、レオナルド・キーファーから手紙が来た。机の下の引き出しに入れる。
 早いもので、学園はもうすぐ夏休みに入る。
 あの馬車の一件から、私はレオナルド・キーファーとは会ってない。もともと向こうは不規則な生活だし、私には学業があるからね。一度だけ、向こうと私の休みと重なる日があったが、体調が悪いと嘘をついて、寮に籠った。どうせ、ゲームでも赤い本の中でも同じようなことあったし。そしたら、立派なお見舞いのお花が来た。お花には罪はないし、飾ったよ。
 ローザ伯爵家に戻ったのは、マルカさんとの面会の時だけだ。
 ナタリアが凄く心配してくれていた。久しぶりにみつあみにしてもらい、元気になったマルティンを抱っこ。重くなったなあ。
 部屋でヴァレリーと一緒に色々報告を受ける。

 キャサリンだけど、あの後、ずいぶんローザ伯爵家の両親から叱られたが、相も変わらずの被害妄想炸裂していたらしい。
 あの馭者と使用人はこってり絞られたそうだ。
 
「少し変わったのは、キャサリンお嬢様宛のお茶会がなくなったことです」

 と、ナタリアがお茶を淹れてくれる。

「休みの日は、必ずお出かけしていたのですが、最近は全くありません」

「そんなに呼ばれていたんだね」

 そんなこと、生物学上の父親も言ってたなあ、お断りするのも大変だって。
 キャサリンが呼ばれるのは、上位貴族の場合は、期間限定のシャンプーやコンディショナー目的だったはず。今はないんじゃないの?

「いえ、爵位がしたの子爵や男爵からもお茶会のお誘いが来ていましたが、全くないそうです。旦那様に詰めよっているのをヴァレリーが庭から聞いています」

 ナイスヴァレリー。
 私の膝に陣取るマルティンがクッキーモシャモシャ食べてる。私はナタリアのお茶だけ。

「全くないのもおかしいね」

 私が呟きと、ナタリアが肩を竦める。

「他のメイド達が話していた事ですが、どうやらウーヴァの女傑を怒らせたと、言われています」

「女傑って」

「ウーヴァ公爵はルルディ王国内では貴族の頂点になります。当主のセシリア様は時期国王の唯一の従姉妹ですし、もしアンジェリカ様の年齢が一回りしたなら、王太子妃確実だったはずと言われる女性なんですよ」

「ん? 王子様二人いたよね? どっちの?」

「アンジェリカ様が選んだ方が王太子になります」

「そ、そんな存在っ」

 そんな人からドレスのお下がり頂いちゃったよ。

「そんな存在なんですよ、ウーヴァ公爵は。ですから、怒らせたキャサリンお嬢様を忌避するようになったそうです」

「ふーん」

 怒らせた、それって私が関係しているかも。
 気にしない、気にしない、キャサリンの自業自得だろうしね。
 学園に帰る前に、セーレ商会の人が来た。
 そろそろシャンプーやコンディショナーがなくならないかって、持ってきてくれた。
 それから通常より半分程の大きさの石鹸。かわいいラッピングされてる。いっぱいある。

「こちらは期間限定のラベンダーの石鹸です。これはお友達にでも配ってください。紫のリボンはラベンダー、白いリボンは通常のティアラ・シリーズです」

「いいんですか?」

「はい。キャサリンお嬢様がどこにも呼ばれませんからね」

 言うね。
 でも、ありがたく頂こう。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 ナタリアに各一個ずつ渡す。
 準特進のクラスで配ると、あっという間になくなった。

「いいのローザさんっ」

「わあっ、ありがとうっ。私期間限定って初めてっ」

「ラベンダーの香り、素敵っ」

 アンネ達、女子生徒達はキャッキャウフフ。
 ディミア嬢から守ってくれたマークにも渡した、気持ちだからね。
 男子だから、一瞬迷っていたけど、汗臭いより、爽やかな匂いがいいに決まってると言うと、受け取ってくれた。
 皆、喜んでくれたから、よしとしよう。
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