ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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邪魔②

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 それから大騒ぎになったのは言うまでもない。
 私は腕を擦りむき、あちこち打撲したけど、骨折はなし。良かった。
 飛び出した私は、石畳を転がった。慌てた通行人が駆け寄ってくれて、私は痛む身体を庇って訴えた。

「助けて、ください」

 ってね。
 はい、大騒ぎ。
 近いの警らから人が大挙してきて、馭者と使用人を問答無用に拘束。私は警らの詰所に保護された。直ぐに医者が呼ばれ、手当てを受けた。うっ、消毒染みる。
 手当てが終わった頃に警らの女性の方が来た。

「他に痛む所はない? ひどい目にあったわね。でも、ここは安全よ、心配しないで」

 優しく気遣ってくれた。
 水分が取れるか確認して、ハーブティーを出してくれる。

「ごめんなさいね、怖い目に合ったと思うけど身元確認させてもらってもいいかしら?」

「ウィンティア・ローザです」

 女性はメモし、指示を出す。

「少しも話いいかしら? あ、辛かったら言ってね」

「はい」

 幾つかの質疑応答。
 馭者と使用人は全く知らないが、ローザ伯爵家の紋章があるメイド服を着ていた事。
 本来は今日、私の保留婚約者のお宅に伺う予定で、馬車が出ているはずであること。
 学園を出てから、3時間もたどり着かなかった事等々。

「それで、馬車から飛び降りたの?」

「はい。このままでは私がどうされるか恐くなって」

 そう、と女性は気遣いの視線。

「あの私はこれからどうなります?」

「ローザ伯爵に連絡したから迎えが来るわ。だけど、心配だから、私達警らが同行するから安心して」

「あ、ありがとうございます」

 迎えに来るのか。そのまま学園に帰ろう。
 あーあ、アンジェリカ様に、きちんと報告したかったなあ。
 マルティンの様子も気になるし、ナタリアやヴァレリーとも話をしたかった。
 なんて、考えていると、どうやら生物学上の両親が来たみたい。
 えーっと、なにか投げるものは、と。

「ウィンティアッ」

 駆け込んでくる生物学上の両親。血相変えてるけど、いまいち信用できないんだよね。
 私は医者から処方された軟膏の容器を手にする。
 駆け寄ろうとした生物学上の両親の足元に投げつける。
 流石に警らの女性もびっくりしてる。

「これ以上、私に近付くのやめて頂けます?」

 ぐ、と詰まる生物学上の両親。

「ウィンティア、キズは、キズはどうなんだ?」

 心配そうに聞く生物学上の父親。
 私は鼻で嗤う。

「ローザ伯爵家で受けた痛みに比べれば、かわいいものです」

 その言葉に、その場が凍りつく。
 警らの女性がなにやら察したのか、さっきまで私を優しく見ていた目に、軽蔑の色を浮かべて、生物学上の両親を一瞥。
 そこに、あわただしくやって来たのは保留婚約者のレオナルド・キーファーだ。

「ウィンティア嬢っ」

 必死の形相だけど。
 心配しているのか、演技しているのか。

 後者、と判断するのが、いいのかな。
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