87 / 338
ガーデンパーティー④
しおりを挟む
靴は問題ないみたい。
「ありがとうございますキーファー様」
「いいえ」
と、保留婚約者は一礼。さすが本職騎乗なだけある、様になってる。
それから私はドレスを脱いで、髪を元に戻す。ナタリアがドレスや靴を預かり、綺麗にしてくれる。
私は掌に乗せた、イヤリングを見る。
これはどうしよう? ここに置いていくと、あのキャサリンが監視の目を掻い潜って盗む可能性がある。このまま寮に持ち帰ろう。
もろもろ済んで、居間に向かうと、談笑していたが、保留婚約者とアンジェリカ嬢のご帰宅となる。
私は改めて、アンジェリカ嬢にお礼を伝える。
「いいのよ、気にしないでちょうだい。ガーデンパーティー楽しんで」
「はい」
「ウィンティア嬢。また、会える日を楽しみにしています」
「お仕事優先にしてください」
忙しいんじゃないの?
かくん、となる保留婚約者。
でも、本当に流れが変わって来ている。
だからといって、油断は出来ないけど。
私との関係は、ティーナ夫人がウィンティアに残したのだろう、何かしらの権利がほしいだけ。
あのディミア嬢とのトラブルだって、セーレ商会の期間限定商品だった。何かしらの権利が、その期間限定商品とは限らないけど、ティアラ・シリーズを始めとした、セーレ商会の商品はルルディ王国内では大人気だ。
それが欲しいための婚約のはず。
だって、ウーヴァ女公爵が言ってた、私にはまだ利用価値があるって。
「なら、せめて手紙を送ります」
何やら必死な様子。
私が悪いみたいな気がしてきた。
「では、そうしてください」
ホッとした顔の保留婚約者。はたして、その手紙が私の元に来るのかね? また、あのキャサリンが横取りしそう。無事に手元に来たら、きちんと返事をしよう。
ただ。
アンジェリカ嬢とはまたお話したい。
ナタリア達を捨てて、お気に入りの次女だけ連れて実家に戻った母親の事を聞きたいのだけど。いきなりは無理よね。公爵令嬢だもん、お忙しいだろうし、どうしたものか。
「ウィンティア嬢」
なんて思っていたら、アンジェリカ嬢からお声がかかる。
「こんど、うちにいらっしゃいな」
「えっ? 公爵家にですか?」
「そうよ。来月、薔薇が見頃になるわ。いらっしゃい」
ちゃ、チャンスかも。
「私がお邪魔しても、いいものなのでしょうか?」
「構わなくってよ。ねえ、ローザ伯爵」
「はい、もちろんです」
その後、大人達の会話が続く。
トントン拍子に話が進み、来月、私はウーヴァ公爵家に伺うことになった。
最後に保留婚約者が私の手をそっと取る。
「会える日を心待ちにしています」
って。
どんだけ、ティーナ夫人の残したのだろう権利が魅力的なんだろう?
ウーヴァ公爵家が後見人にしているのなら、貴族令嬢としてはもっと魅力的な条件がいい人がたくさんいるはずだろうに。
まあ、ウィンティアは誰よりもかわいいけどね。
いまいち、私はこの保留婚約者を信頼できない。始めに比べたら、多少は歩みよりの姿勢だけど。曖昧に笑って見せた。
「ありがとうございますキーファー様」
「いいえ」
と、保留婚約者は一礼。さすが本職騎乗なだけある、様になってる。
それから私はドレスを脱いで、髪を元に戻す。ナタリアがドレスや靴を預かり、綺麗にしてくれる。
私は掌に乗せた、イヤリングを見る。
これはどうしよう? ここに置いていくと、あのキャサリンが監視の目を掻い潜って盗む可能性がある。このまま寮に持ち帰ろう。
もろもろ済んで、居間に向かうと、談笑していたが、保留婚約者とアンジェリカ嬢のご帰宅となる。
私は改めて、アンジェリカ嬢にお礼を伝える。
「いいのよ、気にしないでちょうだい。ガーデンパーティー楽しんで」
「はい」
「ウィンティア嬢。また、会える日を楽しみにしています」
「お仕事優先にしてください」
忙しいんじゃないの?
かくん、となる保留婚約者。
でも、本当に流れが変わって来ている。
だからといって、油断は出来ないけど。
私との関係は、ティーナ夫人がウィンティアに残したのだろう、何かしらの権利がほしいだけ。
あのディミア嬢とのトラブルだって、セーレ商会の期間限定商品だった。何かしらの権利が、その期間限定商品とは限らないけど、ティアラ・シリーズを始めとした、セーレ商会の商品はルルディ王国内では大人気だ。
それが欲しいための婚約のはず。
だって、ウーヴァ女公爵が言ってた、私にはまだ利用価値があるって。
「なら、せめて手紙を送ります」
何やら必死な様子。
私が悪いみたいな気がしてきた。
「では、そうしてください」
ホッとした顔の保留婚約者。はたして、その手紙が私の元に来るのかね? また、あのキャサリンが横取りしそう。無事に手元に来たら、きちんと返事をしよう。
ただ。
アンジェリカ嬢とはまたお話したい。
ナタリア達を捨てて、お気に入りの次女だけ連れて実家に戻った母親の事を聞きたいのだけど。いきなりは無理よね。公爵令嬢だもん、お忙しいだろうし、どうしたものか。
「ウィンティア嬢」
なんて思っていたら、アンジェリカ嬢からお声がかかる。
「こんど、うちにいらっしゃいな」
「えっ? 公爵家にですか?」
「そうよ。来月、薔薇が見頃になるわ。いらっしゃい」
ちゃ、チャンスかも。
「私がお邪魔しても、いいものなのでしょうか?」
「構わなくってよ。ねえ、ローザ伯爵」
「はい、もちろんです」
その後、大人達の会話が続く。
トントン拍子に話が進み、来月、私はウーヴァ公爵家に伺うことになった。
最後に保留婚約者が私の手をそっと取る。
「会える日を心待ちにしています」
って。
どんだけ、ティーナ夫人の残したのだろう権利が魅力的なんだろう?
ウーヴァ公爵家が後見人にしているのなら、貴族令嬢としてはもっと魅力的な条件がいい人がたくさんいるはずだろうに。
まあ、ウィンティアは誰よりもかわいいけどね。
いまいち、私はこの保留婚約者を信頼できない。始めに比べたら、多少は歩みよりの姿勢だけど。曖昧に笑って見せた。
98
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる