上 下
84 / 338

ガーデンパーティー①

しおりを挟む
「とってもお綺麗ですっ」

 何故か感涙を流しそうなナタリア。
 うん、リメイクされた青いドレス。膝下までのスカートには、裾に長いからと着られた裾部分が、ギャザーのように飾られ、重なった隙間にレースがちらり。極めの細かいレース生地で出来たボレロを着たら、肩も隠せる。おそらく、胸元、ずいぶん詰めたはず。くっ。
 髪は応急処置で軽く上げ、耳には、先ほどのイヤリング。
 ウィンティアがもともとかわいいから、似合ってる。

「ありがとうナタリア」

「早速、キーファー様に見て貰いましょうっ」

「えっ、アンジェリカ様じゃなくて?」

「一番見たがってますよ」

 お待たせするわけにもいけないね。
 ナタリアが、然り気無く手を出してくれるから、されるがままだ。
 応接室に向かうと、生物学上の両親が息を飲んでいる。保留婚約者も、ぼわっとした顔だ。えっ? 変かな? ウィンティア、かわいいよ。

「ふふっ、やっぱり思っていた通りね。さ、ウィンティアさん、こちらに」

 何故か満足そうなアンジェリカ様。
 サイズの微調整ね。
 リメイク職人さんが、私の周りを囲む。おとなしくしとこう。

「ウーヴァ様、お直しは必要ないかと」

「そう。ウィンティア嬢、くるっと回って」

「私、バク転なんて出来ません」

「違うわよ。こう、時計回りに」

「あ、はい」

 くるっと、な。
 そして何故か泣き出しそうな生物学上の母親。
 生物学上の父親が執事に合図を送ると、何やら箱を出してきた。

「ウィンティア。これは靴だ。パーティー用の白い靴と、普段用のものだ」

 あやしいっ。
 私はナタリアに目配せ。
 ナタリアチェークッ。

「はいっ、大丈夫ですっ」

 どやっ。
 箱の中はまずは白い靴。ちょっとヒールのあるパンプス。それから、柔らかそうな茶色の革の靴。
 とりあえず、白い靴を履く。ぴったりだ。

「ぴったりでも、しばらく歩いて慣れた方が宜しくてよ。せっかくだし、お庭を歩いてらっしゃい。レオナルド、エスコートなさい」

 ちょっと、アンジェリカ様っ。

「いいわよね」

 ひっ、圧が半端ないっ。
 結局、保留婚約者の初めてエスコートされる羽目に。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【短編】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
 もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。  誕生を祝いに、領地から父の辺境伯が訪ねてくるのを心待ちにしているアリシア。 でも、夫と赤髪メイドのメリッサが口づけを交わしているのを見てしまう。 「なぜ、メリッサもお腹に赤ちゃんがいるの!?」  アリシアは夫の愛を疑う。 小説家になろう様にも投稿しています。

酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです

柚木ゆず
恋愛
 ――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。  子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。  ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。  それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。

処理中です...