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学園生活スタート⑨
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色とりどりのドレス。
うーん、目移りしちゃう。私だって、女の子ですからね。だけど、サイズが……………どれもこれもナイスバディのアンジェリカ嬢サイズ。くっ。
でも、親しくもないのに、こんなにしてもらっても、いいのかな?
「いいのよ。私に妹がいればいいんだけど。貴女が貰ってくれなければ、これは寄贈する予定だったの」
だって。
いいのかなあ?
だけど、ナタリアも参加して選ぶとなると、きゃっきゃっ言いながら楽しい。
結局選んだのは、鮮やかな青いマーメイドラインのドレス。私がそのまま着たら、ひっかからず、すとん、と落ちるけどねっ。
それから、デビュタント前のドレスってのには、制約がある。
肩は出さない。
胸元は鎖骨下まで。
スカートの裾は、膝下からはっきり足首が見える長さ。
リボン、もしくはレースを飾ること。
そして更に10歳以上になると、装飾品に宝石をあしらったものが身に付けられる。持ってないんですが。まあ、入学祝いのリボンでいいや。
「いい色を選んだわね」
アンジェリカ嬢が嬉しそう。
「レオナルドの瞳の色よ」
へっ?
「あ、あのそんなつもりはなくてですね…………」
ただ、色が素敵で、映画で見た事ある、氷を操る主人公のドレスに、なんとなくデザイン似ていた。それだけの理由だ。
聞いているのか、聞いてないのか、アンジェリカ嬢は指示を出す。
私はあれよあれよと言うまにサイズが測られる。
アンジェリカ嬢は、おそらくリメイク職人の女性と話を進める。
「スカートは、ここに切り込みを入れてレースと布を足せばいいわね」
「裾は、これくらい切って、ギャザーも持たせながら」
「合間にレースを追加してちょうだい」
「はい」
「胸元は、そうね、ジャケットか、ボレロね。スカートと同系色のレース生地で仕立てて」
私はあれよあれよと測られる間に、デザインが決まる。
見せてもらうと、マーメイドラインのドレスの面影が胸元だけになってる。
「きっと、ウィンティアお嬢様にぴったりですよっ」
ふんすっ、とナタリア。かわいいなあ。
いろいろ終わりお茶タイム。
「アンジェリカ様。本日はありがとうございます。せっかくの素敵なドレスを、私の為にリメイクしていただいて」
「ふふっ、年長者の役目よ。所でウィンティアさん、学園はどう? ペルク侯爵とトラブっていると伺ったわ」
情報が早い。
「突っかかってこられた以外はローザ伯爵とペルク侯爵で話はほぼ済んでます」
「そう。原因はさっきの彼女かしら?」
「最初はそうでしょうが、向こうも確認不足がありますからね」
ディミア嬢が、婚約者マルクに、きちんと話を聞けば良かったのに、ね。
ナタリアのお茶を一口。
アンジェリカ嬢は優雅な仕草でカップを戻す。
「現状はペルク侯爵の件以外は問題はない?」
「はい」
語学クラブで教えてくれる高等部の上級生も、係の担当の人も、とても親切だ。クラスメートも悪い関係ではない。
「そう」
アンジェリカ様の様子が気になる。
「あの、もしかしたら、私に関する変な噂があったりしません?」
ふう、とアンジェリカ様。
「実はそうなのよ。私も又聞きになるんだけど、信用出きるところからの話で」
ウーヴァ公爵家には、たくさんの使用人がいる。半分は爵位を継げなかった人だったり、平民採用もある。身元がしっかりしている人ね。ウーヴァ公爵家の教育方針で、その使用人達の子供達が、ユミル学園に通っている。
「今、高等部に四名通っているのよ。この内一人が、あのキャサリンと同級生で」
学科は違うけど、と。ただ、隣のクラスらしい。
「ウィンティアさんの事をいろいろ言っているらしいの。私にしては馬鹿らしい内容だけどね」
「いろいろ、内容は?」
アンジェリカ様は、一旦、息をつく。
「貴女は今まで田舎で好き勝手にやってきて、ローザ伯爵家に無理やり帰って来たとか。自分の部屋を奪ったとか、年下のくせに、ドレスや服をたくさん作るように両親にわがまま言ってるとか、そのせいで、自分は厳しいマナー教室に入れられたとか」
全く身に覚えがない。てか、全部キャサリンのやったことじゃないの?
「しかも、自分と関係良好にある婚約者候補の男性を誑かしているって」
……………………………
「はあ? それって、まさか」
「そう、レオナルドよ。当人は迷惑しているわ」
ため息を吐き出すアンジェリカ様。
「その、すみません」
「あなたが謝る必要はないわ。でも、彼女にはローザ伯爵夫妻もずいぶん困っていらっしゃるわね。まだ、高等部の話で留まっているけど、いずれ、中等部にも流れて来るわ」
めんどくさい事になりそう。
「ウィンティアさん。妙な言い掛かりを付けるようなら、相手の名前を確認して、ローザ伯爵に伝えなさい。場合によれば、ウーヴァ公爵家も介入します」
「えっ、大事にっ」
「当然でしょう、あなたはレオナルドの婚約者なのよ」
「保留です、保留付けてください」
うーん、目移りしちゃう。私だって、女の子ですからね。だけど、サイズが……………どれもこれもナイスバディのアンジェリカ嬢サイズ。くっ。
でも、親しくもないのに、こんなにしてもらっても、いいのかな?
「いいのよ。私に妹がいればいいんだけど。貴女が貰ってくれなければ、これは寄贈する予定だったの」
だって。
いいのかなあ?
だけど、ナタリアも参加して選ぶとなると、きゃっきゃっ言いながら楽しい。
結局選んだのは、鮮やかな青いマーメイドラインのドレス。私がそのまま着たら、ひっかからず、すとん、と落ちるけどねっ。
それから、デビュタント前のドレスってのには、制約がある。
肩は出さない。
胸元は鎖骨下まで。
スカートの裾は、膝下からはっきり足首が見える長さ。
リボン、もしくはレースを飾ること。
そして更に10歳以上になると、装飾品に宝石をあしらったものが身に付けられる。持ってないんですが。まあ、入学祝いのリボンでいいや。
「いい色を選んだわね」
アンジェリカ嬢が嬉しそう。
「レオナルドの瞳の色よ」
へっ?
「あ、あのそんなつもりはなくてですね…………」
ただ、色が素敵で、映画で見た事ある、氷を操る主人公のドレスに、なんとなくデザイン似ていた。それだけの理由だ。
聞いているのか、聞いてないのか、アンジェリカ嬢は指示を出す。
私はあれよあれよと言うまにサイズが測られる。
アンジェリカ嬢は、おそらくリメイク職人の女性と話を進める。
「スカートは、ここに切り込みを入れてレースと布を足せばいいわね」
「裾は、これくらい切って、ギャザーも持たせながら」
「合間にレースを追加してちょうだい」
「はい」
「胸元は、そうね、ジャケットか、ボレロね。スカートと同系色のレース生地で仕立てて」
私はあれよあれよと測られる間に、デザインが決まる。
見せてもらうと、マーメイドラインのドレスの面影が胸元だけになってる。
「きっと、ウィンティアお嬢様にぴったりですよっ」
ふんすっ、とナタリア。かわいいなあ。
いろいろ終わりお茶タイム。
「アンジェリカ様。本日はありがとうございます。せっかくの素敵なドレスを、私の為にリメイクしていただいて」
「ふふっ、年長者の役目よ。所でウィンティアさん、学園はどう? ペルク侯爵とトラブっていると伺ったわ」
情報が早い。
「突っかかってこられた以外はローザ伯爵とペルク侯爵で話はほぼ済んでます」
「そう。原因はさっきの彼女かしら?」
「最初はそうでしょうが、向こうも確認不足がありますからね」
ディミア嬢が、婚約者マルクに、きちんと話を聞けば良かったのに、ね。
ナタリアのお茶を一口。
アンジェリカ嬢は優雅な仕草でカップを戻す。
「現状はペルク侯爵の件以外は問題はない?」
「はい」
語学クラブで教えてくれる高等部の上級生も、係の担当の人も、とても親切だ。クラスメートも悪い関係ではない。
「そう」
アンジェリカ様の様子が気になる。
「あの、もしかしたら、私に関する変な噂があったりしません?」
ふう、とアンジェリカ様。
「実はそうなのよ。私も又聞きになるんだけど、信用出きるところからの話で」
ウーヴァ公爵家には、たくさんの使用人がいる。半分は爵位を継げなかった人だったり、平民採用もある。身元がしっかりしている人ね。ウーヴァ公爵家の教育方針で、その使用人達の子供達が、ユミル学園に通っている。
「今、高等部に四名通っているのよ。この内一人が、あのキャサリンと同級生で」
学科は違うけど、と。ただ、隣のクラスらしい。
「ウィンティアさんの事をいろいろ言っているらしいの。私にしては馬鹿らしい内容だけどね」
「いろいろ、内容は?」
アンジェリカ様は、一旦、息をつく。
「貴女は今まで田舎で好き勝手にやってきて、ローザ伯爵家に無理やり帰って来たとか。自分の部屋を奪ったとか、年下のくせに、ドレスや服をたくさん作るように両親にわがまま言ってるとか、そのせいで、自分は厳しいマナー教室に入れられたとか」
全く身に覚えがない。てか、全部キャサリンのやったことじゃないの?
「しかも、自分と関係良好にある婚約者候補の男性を誑かしているって」
……………………………
「はあ? それって、まさか」
「そう、レオナルドよ。当人は迷惑しているわ」
ため息を吐き出すアンジェリカ様。
「その、すみません」
「あなたが謝る必要はないわ。でも、彼女にはローザ伯爵夫妻もずいぶん困っていらっしゃるわね。まだ、高等部の話で留まっているけど、いずれ、中等部にも流れて来るわ」
めんどくさい事になりそう。
「ウィンティアさん。妙な言い掛かりを付けるようなら、相手の名前を確認して、ローザ伯爵に伝えなさい。場合によれば、ウーヴァ公爵家も介入します」
「えっ、大事にっ」
「当然でしょう、あなたはレオナルドの婚約者なのよ」
「保留です、保留付けてください」
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