76 / 338
学園生活スタート③
しおりを挟む
外出の手続きをしてローザ伯爵家に戻ったのか、あれから三日後。
クラスメートとも少しずつ仲良くなっていった。やっぱり右眉の上のキズには、色々聞かれたけど、隠しても仕方ないからね。あの頃は記憶が曖昧だけど、分かる範囲で答えたら、誰も何も言わなくなった。
ピアノ初心者がとてもじゃないが弾けない曲を、弾けなかったら、メトロノームで殴られた、と。
授業は日本の中学とは全く違っていて新鮮。だけど真面目に聞かないとね、せっかく準特進にはいれたんだからね。
寮母さんに、外出の紙を出して学園を出る。
すでにローザ伯爵家の馬車が来ていた。ナタリアが待ってくれていた。
「お帰りなさいませ、ウィンティアお嬢様」
なんだか、嬉しいな。
「ただいま」
馬車で移動の際に、ローザ伯爵家の様子を聞く。例のペルク侯爵家との話し合いがどうなったかだ。
ナタリアは詳しくは分からないが、ややこしい感じみたいだ。あのディミアって子の勘違いもあるだろうけど、どんな勘違いであそこまで怒ったんだろう。
でもって、ほぼ元凶のキャサリンは、相変わらずの知らぬ存ぜぬだそうで。
私宛のペルク侯爵家からのお詫びの菓子折りを、勝手に開けて、勝手にお茶の準備の指示を出してたって。相変わらずだ。
「まだ持ってきたペルク侯爵家の皆様が、ローザ伯爵家内にいらっしゃって」
お菓子を受け取り、別室で一旦保管。私が寮生だし、近々帰って来るから、そのときにってね。
それを、あのキャサリンが勝手に開けてしまった。止めるメイドを無視して。
「これは私へのお見舞いでしょう? 私、怖かったんですのよ、ディミア様のお話を聞いて。だから、お詫びにペルク侯爵から頂いたのでしょう?」
はあ?
と、その場にいた全員が、そんな顔をしたそうだ。
実際に被害に遭ったのは、私なんだけど。しかも、ディミアって子を勘違いさせたのは、あんたじゃん。
キャサリンの言い訳は、私が突っ掛かれた話を、自分が被害者だとすり替えた感じかな。
頭を抱えたローザ伯爵家当主は、菓子折りを取り上げて、キャサリンの軟禁を指示したって。
ペルク侯爵家の人達も、変な生き物みる目だったそうだ。
綺麗な包装紙を破られた菓子折りは、結局、ペルク侯爵家が改めて持ってきますって。菓子折りについては、ローザ伯爵家からも丁寧にお詫びしたそうだ。
話をややこしくして。
「しっかり記録していますっ」
どやっ、とナタリア。
かわいいなあ。
クラスメートとも少しずつ仲良くなっていった。やっぱり右眉の上のキズには、色々聞かれたけど、隠しても仕方ないからね。あの頃は記憶が曖昧だけど、分かる範囲で答えたら、誰も何も言わなくなった。
ピアノ初心者がとてもじゃないが弾けない曲を、弾けなかったら、メトロノームで殴られた、と。
授業は日本の中学とは全く違っていて新鮮。だけど真面目に聞かないとね、せっかく準特進にはいれたんだからね。
寮母さんに、外出の紙を出して学園を出る。
すでにローザ伯爵家の馬車が来ていた。ナタリアが待ってくれていた。
「お帰りなさいませ、ウィンティアお嬢様」
なんだか、嬉しいな。
「ただいま」
馬車で移動の際に、ローザ伯爵家の様子を聞く。例のペルク侯爵家との話し合いがどうなったかだ。
ナタリアは詳しくは分からないが、ややこしい感じみたいだ。あのディミアって子の勘違いもあるだろうけど、どんな勘違いであそこまで怒ったんだろう。
でもって、ほぼ元凶のキャサリンは、相変わらずの知らぬ存ぜぬだそうで。
私宛のペルク侯爵家からのお詫びの菓子折りを、勝手に開けて、勝手にお茶の準備の指示を出してたって。相変わらずだ。
「まだ持ってきたペルク侯爵家の皆様が、ローザ伯爵家内にいらっしゃって」
お菓子を受け取り、別室で一旦保管。私が寮生だし、近々帰って来るから、そのときにってね。
それを、あのキャサリンが勝手に開けてしまった。止めるメイドを無視して。
「これは私へのお見舞いでしょう? 私、怖かったんですのよ、ディミア様のお話を聞いて。だから、お詫びにペルク侯爵から頂いたのでしょう?」
はあ?
と、その場にいた全員が、そんな顔をしたそうだ。
実際に被害に遭ったのは、私なんだけど。しかも、ディミアって子を勘違いさせたのは、あんたじゃん。
キャサリンの言い訳は、私が突っ掛かれた話を、自分が被害者だとすり替えた感じかな。
頭を抱えたローザ伯爵家当主は、菓子折りを取り上げて、キャサリンの軟禁を指示したって。
ペルク侯爵家の人達も、変な生き物みる目だったそうだ。
綺麗な包装紙を破られた菓子折りは、結局、ペルク侯爵家が改めて持ってきますって。菓子折りについては、ローザ伯爵家からも丁寧にお詫びしたそうだ。
話をややこしくして。
「しっかり記録していますっ」
どやっ、とナタリア。
かわいいなあ。
89
お気に入りに追加
551
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた
東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」
その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。
「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」
リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。
宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。
「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」
まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。
その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。
まただ……。
リシェンヌは絶望の中で思う。
彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。
※全八話 一週間ほどで完結します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる