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学園生活スタート③

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 外出の手続きをしてローザ伯爵家に戻ったのか、あれから三日後。
 クラスメートとも少しずつ仲良くなっていった。やっぱり右眉の上のキズには、色々聞かれたけど、隠しても仕方ないからね。あの頃は記憶が曖昧だけど、分かる範囲で答えたら、誰も何も言わなくなった。

 ピアノ初心者がとてもじゃないが弾けない曲を、弾けなかったら、メトロノームで殴られた、と。

 授業は日本の中学とは全く違っていて新鮮。だけど真面目に聞かないとね、せっかく準特進にはいれたんだからね。
 寮母さんに、外出の紙を出して学園を出る。
 すでにローザ伯爵家の馬車が来ていた。ナタリアが待ってくれていた。

「お帰りなさいませ、ウィンティアお嬢様」 

 なんだか、嬉しいな。

「ただいま」

 馬車で移動の際に、ローザ伯爵家の様子を聞く。例のペルク侯爵家との話し合いがどうなったかだ。
 ナタリアは詳しくは分からないが、ややこしい感じみたいだ。あのディミアって子の勘違いもあるだろうけど、どんな勘違いであそこまで怒ったんだろう。
 でもって、ほぼ元凶のキャサリンは、相変わらずの知らぬ存ぜぬだそうで。
 私宛のペルク侯爵家からのお詫びの菓子折りを、勝手に開けて、勝手にお茶の準備の指示を出してたって。相変わらずだ。

「まだ持ってきたペルク侯爵家の皆様が、ローザ伯爵家内にいらっしゃって」

 お菓子を受け取り、別室で一旦保管。私が寮生だし、近々帰って来るから、そのときにってね。
 それを、あのキャサリンが勝手に開けてしまった。止めるメイドを無視して。

「これは私へのお見舞いでしょう? 私、怖かったんですのよ、ディミア様のお話を聞いて。だから、お詫びにペルク侯爵から頂いたのでしょう?」

 はあ?
 と、その場にいた全員が、そんな顔をしたそうだ。
 実際に被害に遭ったのは、私なんだけど。しかも、ディミアって子を勘違いさせたのは、あんたじゃん。
 キャサリンの言い訳は、私が突っ掛かれた話を、自分が被害者だとすり替えた感じかな。
 頭を抱えたローザ伯爵家当主は、菓子折りを取り上げて、キャサリンの軟禁を指示したって。
 ペルク侯爵家の人達も、変な生き物みる目だったそうだ。
 綺麗な包装紙を破られた菓子折りは、結局、ペルク侯爵家が改めて持ってきますって。菓子折りについては、ローザ伯爵家からも丁寧にお詫びしたそうだ。
 話をややこしくして。

「しっかり記録していますっ」

 どやっ、とナタリア。
 かわいいなあ。
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