ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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やり直し?⑧

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「大丈夫?」

 あれからどうやって講堂から戻って来たかのか、朧気だ。
 あの美少女生徒会長の名前、リリーナ・エヴァニエス。
 事例七のキャサリン・ローザの被害者の名前に一度は登った人物だ。私がもし、回避したら、彼女が犠牲者になる可能性がある。祝辞最中も色んな生徒の羨望の眼差しを集めていた彼女。在校生なら三年生だ。ルルディ学園は中等部は中学、高等部は高校になる。なら、彼女は中等部の生徒会長なら、今年十五歳。被害者の名前に上がった年齢は二十三、先にはなるけど、その理由が分からない。
 だいたい、ゲスな恋の攻略対象者がには、婚約者なり、恋人がいた。おそらく、リリーナ・エヴァニエスの婚約者もしくは恋人が攻略対象なんだろうけど。
 私はレオナルドしかやってないし、分からない。
 でも、死因が毒杯って。罪に問われたって事よね。
 あんなにしっかりした祝辞を述べた彼女が、そんな事するとは思うないけど。
 悩んでいると、隣から声が。
 あの、にこっ、と笑顔だけでご挨拶した、金髪のそばかす少女。
 私が黙ったまま、下を向いていたのに、気をかけてくれたんだ。

「顔色悪いけど、具合悪いの?」

 中学生一年生に、気を使われてしまった。

「大丈夫、ありがとう」

 慌て笑顔を浮かべる。

「そう? 私、アンネ、よろしくね」

 にこっ、と自己紹介してくれる。
 名字がないから、平民だ。でもすごいなあ、試験を突破して準特進クラスに入るなんて。私はナタリアいなかったら、無理だったはず。

「私、ウィンティア・ローザ。よろしくね」

「えっ、貴族なの?」

 びくっ、とするアンネ。
 ああ、きっと準特進クラスに進んだら、平民はあまり対応よくないって思っていたのかな?

「貴族って言っても最近帰ってきたばかりなの、気にしないで」

「帰って来た? あ、転地療養ね」

 喘息とかのやつね。聞いたことがあるけど。

「近いかな? よく知ってるね、転地療養って」

「私の住んでいた所、そういった人達がいたんだ」

「へー」

 あ、これって、まさか、お友達コースじゃない? 心弾むトークをっ、ウィンティアにお友達をっ。
 なんて思ったら、もう帰宅だってさ。入学人数が多いから順番に帰るそうで。そうだわな、こちらの移動手段は馬車。貴族だけね。半数以上は、王都を巡回している乗り合い馬車で帰るが、大渋滞だし、待ち時間があるから、学園の入り口で交通整備が行われている。一クラスずつ、順番だって。寮生はそのまま寮だけどね。
 その間に何枚かのプリントが渡される。
 ルルディ学園は学園、なのでクラブ活動があるが、ほぼ必修科目になってる。遠方から通っている人も最低週に一回参加のグラウンド活動。そのために金曜日だけ、午後からの授業が一枠空だ。
 それから係と言うか委員会みたいのね。
 私の委員会のイメージは図書委員とかなんだけど、そう言ったものではない。
 ルルディ学園では学生による労働が認められる。労働って言ってもお金が貰える訳ではない、学園内のみで使える金券が貰える。ノートとか鉛筆とか日用品に交換できる。遠方で寮生でおこずかい稼ぎでしたり、社会勉強目的もある。私? もちろんやりますよ、おこずかい稼ぎ。学業に無理のない程度にね。
 しっかりした委員会は生徒会、その繋ぎで各クラス委員長と副委員長を立てる。これは既に決まっている。一学期だけは、成績上位二名となってる。

「このクラスの帰宅順番は後になります。それまでにプリントに目を通し、自分に見合うものを選ぶように。明日、自己紹介の後、クラス別れて学園の案内が行われます。午後より各クラブや係の説明が講堂で行われます」

 本格的な授業は明後日からかぁ。
 マクガレル先生が別の先生に呼ばれたので、少し席を外す。
 途端にざわざわ。

「ねえ、ローザさんはクラブ何にするの?」

 と、早速アンネが声をかけてきた。
 来たっ、お友達コース突入っ。

「えっと、そうね」

 ガラァッ

 と、クラス全員が振り返るような音を立てて、ドアが開いた。

「キャサリン・ローザの妹は誰っ」
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