67 / 338
やり直し?⑤
しおりを挟む
チョコレートはガトーショコラみたいなケーキだった。添えられた果物やクリームとも良くあってる。
とっても美味しい、パクパク。
食べながらちょっとお話。
きちんとお話するの初めてだよね。
私、物凄く態度悪かったはず。
なのに、こんな素敵な喫茶店に連れてきてもらって、ご馳走になってしまった。
ティーナ夫人の共同特許が目的だろうけど、精神年齢二十歳の私は、お礼を言わないと。
「あの保留婚約者様」
「せめて名前で」
「あー、では、キーファー様」
ぐー、と落ち込んでいる。
「こんな素敵なカフェに連れてきて頂きありがとうございます。それもこんなに高価なケーキまでご馳走になって。私は、あなたには失礼な態度しか取っていなかったはずです」
「それはこちらの落ち度です。ウィンティア嬢が気になさす必要はないのですよ。すべての経緯を知るアンジェリカ嬢より言われました。三十分でも会ってくれるのに、感謝なさい、と」
最初から、あれだったしね。
ウーヴァ公爵夫人は突き放すし、キャサリンの妨害を見せつけられるし、多感な時期の娘さんなら、この保留婚約者を毛嫌いするわな。
「ウィンティア嬢、改めて、私と友人としてお付き合い願えないでしょうか?」
「友達……………」
同年代、同性がいいんだけど。
この捨てられたような子犬の目、やめて。
こ、断りにくいなあ。
「と、友達なら、あ、でも、キーファー様がいいなって人ができたら言ってください、即解消しましょうっ」
何故に、撃沈しているのよ。
いやいや、お城に勤めていたら、出会いありそうじゃない?
「では、友人はいいのですね」
「はあ、まあ」
「では、せめて名前でお呼びください」
「年上の方を親しくもないのに、名前呼びは出来ません」
撃沈。忙しい人ね。
「では、いつ、呼んで頂けますか…………」
絞り出すようにして言ってきた。
「そうですね……………」
こっちの基準がわからないけど、いきなり名前呼びは抵抗が。それになんで名前呼びに拘るんだろう。
でも、あって数回年上の男性を、名前呼びは抵抗が。名字呼びがいいんだけど。向こうが希望されている。こんなおしゃれなカフェにつれてきてもらったし。でも、きっと義理で連れてきてくれているはずだし、うーん、うーん。赤い本の中とは流れになってきているし、連れてきてもらった、義理の素敵なカフェ、うーん、葛藤。
悩んだ末に。
「一年とか?」
一年、この人があのキャサリンに靡かなければね。ローザ伯爵家には、ナタリアとヴァレリーという協力者がいるから、逐一様子分かるし。本当に「誠実に」対応してくれたなら、穏やかに婚約解消して、ウィンティアのお友達にね。
いい、ウィンティア、一年、この人様子見るよ。嫌だと思ったら、言ってね。
………………………「うん」と返事あり。
「一年経てば、呼んでくれますか?」
この人、何をこんなにこだわるの?
「一年経って、友人だと思えたら、そしてキーファー様に別の縁談がなければ」
「縁談はないですから。では、一年後に、ここでお答え頂けますか?」
「はい」
なら、この素敵なカフェは、一年後かあ。
寂しい。
私の寂しいが出たのかな。
「ウィンティア嬢、こちらはお気に召していただけましたか?」
「えっ、はい。とても素敵なお店で」
「では。都合があれば、また来ましょう」
義理で気遣ってくれたんだろうが、嬉しいかな。
「はい」
満足そうな顔をする、保留婚約者、いや、キーファー様。
次回からは私の学業とキーファー様のお仕事都合があるから、毎月の面会は厳しいかもしれない。
仕方ない、お仕事優先だからね。
よく、私と仕事どっちなのっ、てあるらしいが、私はお仕事優先。しかも王子様の護衛騎士なんだからね。
素敵なカフェで話をしたあと、私はローザ伯爵家に送ってもらい、学園に戻った。
とっても美味しい、パクパク。
食べながらちょっとお話。
きちんとお話するの初めてだよね。
私、物凄く態度悪かったはず。
なのに、こんな素敵な喫茶店に連れてきてもらって、ご馳走になってしまった。
ティーナ夫人の共同特許が目的だろうけど、精神年齢二十歳の私は、お礼を言わないと。
「あの保留婚約者様」
「せめて名前で」
「あー、では、キーファー様」
ぐー、と落ち込んでいる。
「こんな素敵なカフェに連れてきて頂きありがとうございます。それもこんなに高価なケーキまでご馳走になって。私は、あなたには失礼な態度しか取っていなかったはずです」
「それはこちらの落ち度です。ウィンティア嬢が気になさす必要はないのですよ。すべての経緯を知るアンジェリカ嬢より言われました。三十分でも会ってくれるのに、感謝なさい、と」
最初から、あれだったしね。
ウーヴァ公爵夫人は突き放すし、キャサリンの妨害を見せつけられるし、多感な時期の娘さんなら、この保留婚約者を毛嫌いするわな。
「ウィンティア嬢、改めて、私と友人としてお付き合い願えないでしょうか?」
「友達……………」
同年代、同性がいいんだけど。
この捨てられたような子犬の目、やめて。
こ、断りにくいなあ。
「と、友達なら、あ、でも、キーファー様がいいなって人ができたら言ってください、即解消しましょうっ」
何故に、撃沈しているのよ。
いやいや、お城に勤めていたら、出会いありそうじゃない?
「では、友人はいいのですね」
「はあ、まあ」
「では、せめて名前でお呼びください」
「年上の方を親しくもないのに、名前呼びは出来ません」
撃沈。忙しい人ね。
「では、いつ、呼んで頂けますか…………」
絞り出すようにして言ってきた。
「そうですね……………」
こっちの基準がわからないけど、いきなり名前呼びは抵抗が。それになんで名前呼びに拘るんだろう。
でも、あって数回年上の男性を、名前呼びは抵抗が。名字呼びがいいんだけど。向こうが希望されている。こんなおしゃれなカフェにつれてきてもらったし。でも、きっと義理で連れてきてくれているはずだし、うーん、うーん。赤い本の中とは流れになってきているし、連れてきてもらった、義理の素敵なカフェ、うーん、葛藤。
悩んだ末に。
「一年とか?」
一年、この人があのキャサリンに靡かなければね。ローザ伯爵家には、ナタリアとヴァレリーという協力者がいるから、逐一様子分かるし。本当に「誠実に」対応してくれたなら、穏やかに婚約解消して、ウィンティアのお友達にね。
いい、ウィンティア、一年、この人様子見るよ。嫌だと思ったら、言ってね。
………………………「うん」と返事あり。
「一年経てば、呼んでくれますか?」
この人、何をこんなにこだわるの?
「一年経って、友人だと思えたら、そしてキーファー様に別の縁談がなければ」
「縁談はないですから。では、一年後に、ここでお答え頂けますか?」
「はい」
なら、この素敵なカフェは、一年後かあ。
寂しい。
私の寂しいが出たのかな。
「ウィンティア嬢、こちらはお気に召していただけましたか?」
「えっ、はい。とても素敵なお店で」
「では。都合があれば、また来ましょう」
義理で気遣ってくれたんだろうが、嬉しいかな。
「はい」
満足そうな顔をする、保留婚約者、いや、キーファー様。
次回からは私の学業とキーファー様のお仕事都合があるから、毎月の面会は厳しいかもしれない。
仕方ない、お仕事優先だからね。
よく、私と仕事どっちなのっ、てあるらしいが、私はお仕事優先。しかも王子様の護衛騎士なんだからね。
素敵なカフェで話をしたあと、私はローザ伯爵家に送ってもらい、学園に戻った。
107
お気に入りに追加
547
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
側妃のお仕事は終了です。
火野村志紀
恋愛
侯爵令嬢アニュエラは、王太子サディアスの正妃となった……はずだった。
だが、サディアスはミリアという令嬢を正妃にすると言い出し、アニュエラは側妃の地位を押し付けられた。
それでも構わないと思っていたのだ。サディアスが「側妃は所詮お飾りだ」と言い出すまでは。

「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。
そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。
それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。
ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる