ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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作戦⑦

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「キーファー様、遅れるそうです………」

 消え入るように告げるのは、前回も前々回も、三十分の遅刻を告げたメイドだ。
 また? 懲りないね。

「そう。いらっしゃったら呼んで」

 私は事務的に答えてメイドを返す。
 これで三回目。仏の顔も三度までってね。
 そろそろ蹴ってもいいかな? いや、ウィンティアの足にダメージが来る。

「ナタリア、落ち着きたいからお茶くれる?」

「はい、お嬢様っ」

 ふう。
 本日ヴァレリーは玄関付近の掃き掃除している。よく動いてくれてる。
 お茶を飲みながら、庭先チェック。前回も庭をキャサリンがレオナルドに絡みながら案内してた。節操のないやつだね。
 多分、ウィンティアに見せつける為よね。まあ、イライラするけど、嫉妬はしない、勝手にどうぞって感じ。
 しかし、ローザ伯爵夫妻はなにをしているんだろう?  妹の婚約者といちゃこらするなんて、はしたないんじゃないの? 言った所で響かないだろうけど。
 今、ローザ伯爵家には夫妻はいない。ちょっと離れた地方に行って営業的な事と、新しい石鹸の事で数日間空けている。キャサリンやりたい放題だ。
 私の衣装部屋も荒らされた。ぶーちゃんやうーちゃんがいる古いトランクは、ナタリア達の部屋に避難させてもらっていたからいいけど。図書館から帰ると、メイド達がおろおろしてた。嫌な予感してナタリアと部屋に駆け込む。なんと鍵を壊してまで侵入したみたい。
 ナタリアが綺麗に整頓してくれていた衣装部屋がぐちゃぐちゃ。よそ行きのドレスが数着なくなっていた。あの野郎。私が喚いても響かないだろうが、ローザ伯爵夫妻がいない時の責任者、執事を呼びつけた。その執事も別件で屋敷を離れていたみたいで、帰って来たばかりの所を掴まえた。
 で、壊された鍵、衣装部屋を見て絶句。

「説明必要かしら?」

「いいえ…………」

 執事はすぐに鍵を変え、使用人達の聴取。何人か拘束しているみたい。ローザ伯爵夫妻が帰って来るのは明日。で、紙面上の婚約者との面会は今日。次回はない。私はユミル学園の組分け試験があるからね。
 なんとか学力が着いていける位になった。

 庭先を覗くが、いつまで経っても出てこない。どうしたんだろう? いつもなら庭先に出るのに。もしかしたら室内でいちゃこらしてるのかな? やだぁ、気色悪いー。
 なんて、思っていたら、微妙な角度にいやがったよ。
 えっ、嘘でしょ。
 隣で見たナタリアが息を飲む。

 あの二人が堂々と抱き合っていたのだ。
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