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伯爵家での生活⑩
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早速図書館まで行ってみた。
当然のように馬車が準備されていたが、歩いて図書館まで行った。たった十分だよ、歩くよ。それにずっとローザ伯爵家にいたので運動不足だったし。
私はマルカさんとナタリア、それから何故かあの執事が付いてきた。なんでかなって思ったら、お財布係みたい。
私も多少のお金はあるが、お小遣い程度だし。勉強するにも参考書が幾らかも分からない。ウィンティアの為だ、ジャンジャンローザ伯爵家のお金使っちゃえ。
ローザ伯爵家は貴族街と呼ばれるエリアにあり、石畳の道が整備されていて、歩きの人はほとんどいない。すれ違うのは使用人みたいな人だけ。
「こんにちは」
と、ご挨拶。
だってご近所さんだしね。
笑顔笑顔。ウィンティアは可愛いから、笑顔だって可愛いからね。他の方にはウィンティアの好印象を植え付けないと。
向こうはびっくり。慌てぺこりしている。
程なくして、図書館到着。
「わぁっ、おっきい」
まるで歴史的建造物の教会みたい。
おのぼりさん満載で、私はマルカさんの案内で中に。入口では案内板あり。
ふむふむ。
ほとんどが一般エリアね、あ、子供向けコーナーあり。すぐ近くに学習スペースあり。そして特別エリアがあるが、ここはある程度の年齢であること、身分があること等。ウィンティアでは入れない。ユミル学園でも高等部に通ってないと入れない。しかも入室制限人数もあるから、予約必要何だって。使うことはないか。で、この特別エリアと一般エリアとの間にも学習スペースがあり、こっちが静か。
次に行ったのは売店兼本屋だ。
売店は文具やノートが並ぶ。こちらはシャーペンやボールペンはない。鉛筆や万年筆だ。消しゴムもあるが、綺麗に消えない、ちょっと筋が残る感じ。色鉛筆もある。うん、ちょっと高いなあ。でも赤の色鉛筆ほしいなあ。あ、この、万年筆、シンプルだけどいい………………たかっ。八万もするっ、とてもじゃないけど持参金じゃ買えない。鉛筆、鉛筆。
本屋も覗く。うん、多種多様にある。子供用から難しいそうな専門書まで。
「ウィンティアさん、自己学習するのでしたら、こちらをオススメします」
マルカさんが、参考書コーナーを示す。
過去の試験問題集みたいだ。色々ある。各学科のものまとめたもの、解説付きなど。マルカさんが示したのは、その中でも解説付きを示す。
「試験まであと半年を切っています。かなり詰め込みでしなければなりませんよ。こちらの出版社は解説が丁寧で好評です」
「はい」
値段。
結構するなあ。
「ウィンティアお嬢様、旦那様より必要な物は購入するようにと申し付けられております。なんなりと」
「なんなりとって」
そんな簡単に言っていいわけ? でも、よし、ローザ伯爵家のお財布にダメージ与えてやれっ。
解説付きの各学科の過去の試験問題集を手にする。地理、社会、自然、文学。自然は理科、文学は国語ね。算数はばっちり。問題は地理と社会だ。去年分の試験問題集を手にする。結構な額。うん、満足。ローザ伯爵家のお財布にダメージ与えたぞ。満足。
すると何故か執事は一昨年分の試験問題集と白地図を籠に。
「もう一年前の物を」
「そうでございますね」
マルカさんと色々選んでいる。
いやいや、私が選ぶんじゃないの?
籠にずっしり。
いや、ちょっと待って、あれだけ勉強しなきゃならないのっ。無理だよっ、私、あんまり頭よくないっ。
ど、どうしよう。
「お嬢様」
黙っていたナタリアが、静かに声をかけてきた。
は、止めてくれるっ。
「頑張りましょうっ、このナタリア、微力ながらお手伝いしますっ」
………………………可愛いなあ、ナタリア。むんっ、みたいに言ってきたよ。
仕方ない、頑張るか。ウィンティアが頭に悪いなんて、思われたくない。
それから鉛筆を箱買い。万年筆は悩んだけどやめた。使い方まだ分からないし、インクとか溢したら、大変だしね。色鉛筆は赤と青、二色も選んでしまった。ノートも数冊。よし、ローザ伯爵家お財布大ダメージだっ。
荷物は執事が発送の手続きをして、館内のレストランで食事をした。
気後れする。
ちゃんとしたレストランだ。下町の定食屋ではない、ちゃんとしたレストランだ。ウェイターさんやウエイレスさんもきちっ、としている。
案内されて、私とマルカさんがテーブルに付き、執事とナタリアが控えている。
「え? ナタリアのご飯は?」
「お屋敷で準備がしてあります」
と、答えるのは執事。本当に?
「ウィンティアさん、これは今後こちらに通うための予行と思ってください」
「はあ」
ウェイターさんがメニューを差し出すので、開けて見る。
…………………たかっ。
こちらの貨幣価値は、一ルル=一円。文具やマルカさんと回った出店みたけど、だいたい物価は日本と一緒。
で、ランチね。ランチ、一番安いので千八百ルルもするっ。職員食堂のランチに慣れしたんだ私には高すぎる。五百円もあれば、カツカレーでお腹一杯になった。
「本日の鮮魚は鯛のポワレ、本日のお肉はチキンのポルチーニ茸ブラウンソースでございます」
レストラーン。
「ウィンティアさん、どうされます?」
「こ、このパスタにします…………」
一番安いのにした。
ちゃんとしたレストランの雰囲気に気後れして、結構、私はビビりなんだと思った。
よくよく考えたら、一番高いやつにして、オプション付けまくれば良かった。デザート、ドリンク、特選オードブルなんかあったみたい。デザート、ああ、デザート。あの女性達がお上品に食べてる、あの輝くフルーツが飾られてるプリン、ああ、食べたかったー。
当然のように馬車が準備されていたが、歩いて図書館まで行った。たった十分だよ、歩くよ。それにずっとローザ伯爵家にいたので運動不足だったし。
私はマルカさんとナタリア、それから何故かあの執事が付いてきた。なんでかなって思ったら、お財布係みたい。
私も多少のお金はあるが、お小遣い程度だし。勉強するにも参考書が幾らかも分からない。ウィンティアの為だ、ジャンジャンローザ伯爵家のお金使っちゃえ。
ローザ伯爵家は貴族街と呼ばれるエリアにあり、石畳の道が整備されていて、歩きの人はほとんどいない。すれ違うのは使用人みたいな人だけ。
「こんにちは」
と、ご挨拶。
だってご近所さんだしね。
笑顔笑顔。ウィンティアは可愛いから、笑顔だって可愛いからね。他の方にはウィンティアの好印象を植え付けないと。
向こうはびっくり。慌てぺこりしている。
程なくして、図書館到着。
「わぁっ、おっきい」
まるで歴史的建造物の教会みたい。
おのぼりさん満載で、私はマルカさんの案内で中に。入口では案内板あり。
ふむふむ。
ほとんどが一般エリアね、あ、子供向けコーナーあり。すぐ近くに学習スペースあり。そして特別エリアがあるが、ここはある程度の年齢であること、身分があること等。ウィンティアでは入れない。ユミル学園でも高等部に通ってないと入れない。しかも入室制限人数もあるから、予約必要何だって。使うことはないか。で、この特別エリアと一般エリアとの間にも学習スペースがあり、こっちが静か。
次に行ったのは売店兼本屋だ。
売店は文具やノートが並ぶ。こちらはシャーペンやボールペンはない。鉛筆や万年筆だ。消しゴムもあるが、綺麗に消えない、ちょっと筋が残る感じ。色鉛筆もある。うん、ちょっと高いなあ。でも赤の色鉛筆ほしいなあ。あ、この、万年筆、シンプルだけどいい………………たかっ。八万もするっ、とてもじゃないけど持参金じゃ買えない。鉛筆、鉛筆。
本屋も覗く。うん、多種多様にある。子供用から難しいそうな専門書まで。
「ウィンティアさん、自己学習するのでしたら、こちらをオススメします」
マルカさんが、参考書コーナーを示す。
過去の試験問題集みたいだ。色々ある。各学科のものまとめたもの、解説付きなど。マルカさんが示したのは、その中でも解説付きを示す。
「試験まであと半年を切っています。かなり詰め込みでしなければなりませんよ。こちらの出版社は解説が丁寧で好評です」
「はい」
値段。
結構するなあ。
「ウィンティアお嬢様、旦那様より必要な物は購入するようにと申し付けられております。なんなりと」
「なんなりとって」
そんな簡単に言っていいわけ? でも、よし、ローザ伯爵家のお財布にダメージ与えてやれっ。
解説付きの各学科の過去の試験問題集を手にする。地理、社会、自然、文学。自然は理科、文学は国語ね。算数はばっちり。問題は地理と社会だ。去年分の試験問題集を手にする。結構な額。うん、満足。ローザ伯爵家のお財布にダメージ与えたぞ。満足。
すると何故か執事は一昨年分の試験問題集と白地図を籠に。
「もう一年前の物を」
「そうでございますね」
マルカさんと色々選んでいる。
いやいや、私が選ぶんじゃないの?
籠にずっしり。
いや、ちょっと待って、あれだけ勉強しなきゃならないのっ。無理だよっ、私、あんまり頭よくないっ。
ど、どうしよう。
「お嬢様」
黙っていたナタリアが、静かに声をかけてきた。
は、止めてくれるっ。
「頑張りましょうっ、このナタリア、微力ながらお手伝いしますっ」
………………………可愛いなあ、ナタリア。むんっ、みたいに言ってきたよ。
仕方ない、頑張るか。ウィンティアが頭に悪いなんて、思われたくない。
それから鉛筆を箱買い。万年筆は悩んだけどやめた。使い方まだ分からないし、インクとか溢したら、大変だしね。色鉛筆は赤と青、二色も選んでしまった。ノートも数冊。よし、ローザ伯爵家お財布大ダメージだっ。
荷物は執事が発送の手続きをして、館内のレストランで食事をした。
気後れする。
ちゃんとしたレストランだ。下町の定食屋ではない、ちゃんとしたレストランだ。ウェイターさんやウエイレスさんもきちっ、としている。
案内されて、私とマルカさんがテーブルに付き、執事とナタリアが控えている。
「え? ナタリアのご飯は?」
「お屋敷で準備がしてあります」
と、答えるのは執事。本当に?
「ウィンティアさん、これは今後こちらに通うための予行と思ってください」
「はあ」
ウェイターさんがメニューを差し出すので、開けて見る。
…………………たかっ。
こちらの貨幣価値は、一ルル=一円。文具やマルカさんと回った出店みたけど、だいたい物価は日本と一緒。
で、ランチね。ランチ、一番安いので千八百ルルもするっ。職員食堂のランチに慣れしたんだ私には高すぎる。五百円もあれば、カツカレーでお腹一杯になった。
「本日の鮮魚は鯛のポワレ、本日のお肉はチキンのポルチーニ茸ブラウンソースでございます」
レストラーン。
「ウィンティアさん、どうされます?」
「こ、このパスタにします…………」
一番安いのにした。
ちゃんとしたレストランの雰囲気に気後れして、結構、私はビビりなんだと思った。
よくよく考えたら、一番高いやつにして、オプション付けまくれば良かった。デザート、ドリンク、特選オードブルなんかあったみたい。デザート、ああ、デザート。あの女性達がお上品に食べてる、あの輝くフルーツが飾られてるプリン、ああ、食べたかったー。
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