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会議と味方⑧
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「マグル王国の学園に通わせるのよ」
「え? ミュンヘナー王国の貴族ですよ」
「来年から法律が変わるのよ。うちみたいに、首都の学園は遠く、逆に隣国と接していてそっちの学園は通わせる方が近いことがままあるじゃない」
「はい、そうですね」
自分も首都の学園に行った。当然寮で、世話役でマギーともう一人のメイド。フットマンが一人着いて来てくれた。モーリスも同級生だが、両親はモーリスにしっかり勉学優先にさせた。もちろん、モーリスの学費、寮代はフォン辺境伯持ち。いずれ自分の側近になる前提だったからだ。
ミュンヘナー王国は3つの国に接している。うちがマグル王国だが、母の血筋が辿ればその祖父が先々代国王だし、実家の侯爵家もかなり力がある。なので、そんな母を迎えたフォン辺境伯は、マグル王国とは友好的にやってる。
母の言うように、隣国の学園が逆に近いことが多い貴族がいるのは確かだ。
「貴族みんなが、うちのように学費を出せないわ。特に遠方の貴族は、生活費も必要。奨学金だってかなり厳しいでしょ。だから、緩和するようになるの。指定された隣国の学園で通い、卒業出来れば、首都の学園を出たと同様に扱うと」
へー。そうなんだ。あ、て、ことは?
「マグル王国の学園って、あそこですか?」
「そうよ。うちから馬車で3時間の距離。土日は帰って来れるの」
「いいですねっ」
首都の学園は片道2週間。いいっ、毎週エミリアの顔を確認できる。
「本当に変わったわね。茸ではないけれど、良かったわ」
母が心底安心している。
セバスとマギーもハンカチで目元を抑えている。
「でも、来年施行の法案も知らないなんて、セバス、家庭教師を追加なさい」
しまったーっ。
「シルビア、エミリア嬢の件は君に任せてもいいかい?」
父がコーヒーを飲みながら聞いている。
「ええ、もちろん。バルドを変えてくれた、かわいいお嫁さんだもの。当座必要な物に、優秀な家庭教師に当てはありますわ」
「あの、母上、エミリアはうちに来たばかりです。お手柔らかにっ」
「わかっていてよ。おそらくベルド伯爵家できちんとした、教育を受けていない可能性が高いから、しばらく私がエミリア嬢の学力を図ります。家庭教師はそれからよ。もちろん、息詰まるような事はしませんから安心なさい。ああ、でもバルド、あなたには少し息詰まる内容でやるわよ」
ヒエッ。
「さあ、午後の部を始めますわよ。バルド、この年、凶作による小麦の高騰すると言っていたけど、凶作は国全体なのかしら?」
「え? ミュンヘナー王国の貴族ですよ」
「来年から法律が変わるのよ。うちみたいに、首都の学園は遠く、逆に隣国と接していてそっちの学園は通わせる方が近いことがままあるじゃない」
「はい、そうですね」
自分も首都の学園に行った。当然寮で、世話役でマギーともう一人のメイド。フットマンが一人着いて来てくれた。モーリスも同級生だが、両親はモーリスにしっかり勉学優先にさせた。もちろん、モーリスの学費、寮代はフォン辺境伯持ち。いずれ自分の側近になる前提だったからだ。
ミュンヘナー王国は3つの国に接している。うちがマグル王国だが、母の血筋が辿ればその祖父が先々代国王だし、実家の侯爵家もかなり力がある。なので、そんな母を迎えたフォン辺境伯は、マグル王国とは友好的にやってる。
母の言うように、隣国の学園が逆に近いことが多い貴族がいるのは確かだ。
「貴族みんなが、うちのように学費を出せないわ。特に遠方の貴族は、生活費も必要。奨学金だってかなり厳しいでしょ。だから、緩和するようになるの。指定された隣国の学園で通い、卒業出来れば、首都の学園を出たと同様に扱うと」
へー。そうなんだ。あ、て、ことは?
「マグル王国の学園って、あそこですか?」
「そうよ。うちから馬車で3時間の距離。土日は帰って来れるの」
「いいですねっ」
首都の学園は片道2週間。いいっ、毎週エミリアの顔を確認できる。
「本当に変わったわね。茸ではないけれど、良かったわ」
母が心底安心している。
セバスとマギーもハンカチで目元を抑えている。
「でも、来年施行の法案も知らないなんて、セバス、家庭教師を追加なさい」
しまったーっ。
「シルビア、エミリア嬢の件は君に任せてもいいかい?」
父がコーヒーを飲みながら聞いている。
「ええ、もちろん。バルドを変えてくれた、かわいいお嫁さんだもの。当座必要な物に、優秀な家庭教師に当てはありますわ」
「あの、母上、エミリアはうちに来たばかりです。お手柔らかにっ」
「わかっていてよ。おそらくベルド伯爵家できちんとした、教育を受けていない可能性が高いから、しばらく私がエミリア嬢の学力を図ります。家庭教師はそれからよ。もちろん、息詰まるような事はしませんから安心なさい。ああ、でもバルド、あなたには少し息詰まる内容でやるわよ」
ヒエッ。
「さあ、午後の部を始めますわよ。バルド、この年、凶作による小麦の高騰すると言っていたけど、凶作は国全体なのかしら?」
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