27 / 51
会議と味方①
しおりを挟む
両親が待つ部屋にマギーを伴い向かう。
すでに両親が待っていた。
「座りなさい」
「はい、父上」
促されて着席。
メイド長マギーと執事長セバスをお茶の準備を始める。
「バルドよ」
「はい」
「昨日、一体どんな茸を食べたんだ? 必要なら栽培を試みないといかん。もしかしたら、ヒ素茸よりも猛毒の可能性がある。駆除せねばならん」
「ですから、茸は食べていません」
「なら、その心境の変化はなんだ? お前異常だぞ」
実の父から、異常と言われてしまうのは、いままでがそうだった。寄ってくる女は辺境伯の妻の立場が欲しいか、親の言う事に抵抗できない気の毒な娘。中には、渡したジュースに媚薬を入れられたが、猛毒のヒ素茸が効かないのだ、媚薬程度でどうにかなるわけない。
分かった上でジュースを飲んで、はっきり断った。回りくどいのは嫌だったし。だけど、決死の覚悟の令嬢にしたら、絶望したろう。媚薬盛っても靡かない女だと、烙印を押されたのだから。我ながら失礼だよな、ジュースを飲まずに断った法が、まだ相手を配慮できたかも。
「事情がありますが、今は、エミリアを大切にしたいと思っていることに偽りはありません」
さて、どうするか? 今、この場にいるのは、両親、セバス、マギー、ワゴンを押して入ってきたメイドが二名。ワゴンにはおそらく両親の朝食がならぶ。
父も大食漢だが、自分はその上を行く。実はエミリアが自分の皿に盛られた料理の量にびっくりしていた。あんまり盛ると溢れんばかりの山盛りになるため、いつも二回に分けていたのだが、今日はエミリアのペースに合わせたので、腹が半分だ。しかし、本当にエミリアはあの量で足りたのか? 小鳥の餌じゃないか。
分かっていたのか、自分の前にもサンドイッチの皿が。
「その事情を知りたいのよ。あなた、今までの他人には無関心だったじゃない。釣書だって、適当に引き抜いて。エミリア嬢に決まって、いいのか? と、聞いても、『別にいいです』だったじゃない」
母が優雅な動作で紅茶を傾ける。
確かに、そうだった。
前回は何をやっても、聞いても、叱られても、喜ばれても、関心がなかった。心が動かされなかった。しまいには物欲もないし、性欲もない。あるのは食欲だけ。自分でも何故か分からない。なんであんなに無関心だったんだ? 何故、エミリアときちんと家族になりないと思ったのだろう?
サンドイッチをパクパク。
「えーっとですね」
なんて、説明しようか?
実は未来の記憶があります、何て言って信じてくれるか?
食事を運んだメイド達が下がり、モーリスが散髪道具を持ちやって来た。
「ご主人様っ、さ、エミリア様に愛想着かれないようにかっこよく今風にしましょうっ」
シャランッ、と何本ものハサミとカミソリ掲げている。
「バルド、一体どんな茸を食べたのです?」
母が呆れた顔で振り返った。
すでに両親が待っていた。
「座りなさい」
「はい、父上」
促されて着席。
メイド長マギーと執事長セバスをお茶の準備を始める。
「バルドよ」
「はい」
「昨日、一体どんな茸を食べたんだ? 必要なら栽培を試みないといかん。もしかしたら、ヒ素茸よりも猛毒の可能性がある。駆除せねばならん」
「ですから、茸は食べていません」
「なら、その心境の変化はなんだ? お前異常だぞ」
実の父から、異常と言われてしまうのは、いままでがそうだった。寄ってくる女は辺境伯の妻の立場が欲しいか、親の言う事に抵抗できない気の毒な娘。中には、渡したジュースに媚薬を入れられたが、猛毒のヒ素茸が効かないのだ、媚薬程度でどうにかなるわけない。
分かった上でジュースを飲んで、はっきり断った。回りくどいのは嫌だったし。だけど、決死の覚悟の令嬢にしたら、絶望したろう。媚薬盛っても靡かない女だと、烙印を押されたのだから。我ながら失礼だよな、ジュースを飲まずに断った法が、まだ相手を配慮できたかも。
「事情がありますが、今は、エミリアを大切にしたいと思っていることに偽りはありません」
さて、どうするか? 今、この場にいるのは、両親、セバス、マギー、ワゴンを押して入ってきたメイドが二名。ワゴンにはおそらく両親の朝食がならぶ。
父も大食漢だが、自分はその上を行く。実はエミリアが自分の皿に盛られた料理の量にびっくりしていた。あんまり盛ると溢れんばかりの山盛りになるため、いつも二回に分けていたのだが、今日はエミリアのペースに合わせたので、腹が半分だ。しかし、本当にエミリアはあの量で足りたのか? 小鳥の餌じゃないか。
分かっていたのか、自分の前にもサンドイッチの皿が。
「その事情を知りたいのよ。あなた、今までの他人には無関心だったじゃない。釣書だって、適当に引き抜いて。エミリア嬢に決まって、いいのか? と、聞いても、『別にいいです』だったじゃない」
母が優雅な動作で紅茶を傾ける。
確かに、そうだった。
前回は何をやっても、聞いても、叱られても、喜ばれても、関心がなかった。心が動かされなかった。しまいには物欲もないし、性欲もない。あるのは食欲だけ。自分でも何故か分からない。なんであんなに無関心だったんだ? 何故、エミリアときちんと家族になりないと思ったのだろう?
サンドイッチをパクパク。
「えーっとですね」
なんて、説明しようか?
実は未来の記憶があります、何て言って信じてくれるか?
食事を運んだメイド達が下がり、モーリスが散髪道具を持ちやって来た。
「ご主人様っ、さ、エミリア様に愛想着かれないようにかっこよく今風にしましょうっ」
シャランッ、と何本ものハサミとカミソリ掲げている。
「バルド、一体どんな茸を食べたのです?」
母が呆れた顔で振り返った。
204
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。

10年前の婚約破棄を取り消すことはできますか?
岡暁舟
恋愛
「フラン。私はあれから大人になった。あの時はまだ若かったから……君のことを一番に考えていなかった。もう一度やり直さないか?」
10年前、婚約破棄を突きつけて辺境送りにさせた張本人が訪ねてきました。私の答えは……そんなの初めから決まっていますね。

醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。
木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。
その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。
ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。
彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。
その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。
流石に、エルーナもその態度は頭にきた。
今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。
※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる