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騒ぎの後④
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結局、晃太は別室に案内される。薪とか砂糖とかは全て晃太のアイテムボックス内だからね。エマちゃんと、ツヴァイクさんが付いてくれる。
私はそのままモドルさんとお話。
「以前も多額にご寄付頂いたのに、ありがとうございます。子供達にお腹いっぱい食べさせてあげれます」
「良かったです」
全てうちのバトルジャンキー達のおかげなんやけどね。
首都故に人口は多く、比例して孤児院にいる子供達の数は多いし、修道院に保護されている人達も当然多い。下層住民への炊き出しも、マーファの倍の規模だ。薪は元気達の木魔法の訓練で大量に出来たから、活用できたらいいしね。しかもダンジョン内の木なので、薪にしても、そのうちしれっと生えてるしね。
前回来た時も寄付したが、あの時のものはガタが来た家具の買い替えや、危ない窓枠、抜けそうな廊下、そして一部崩落しかけた屋根の修繕に使われた。結構な大改修だったそうだ。子供達が怪我する前で良かった。グーテオークションの寄付金でちょっとずつ改修していたが、私の寄付金で一気に行ったそうだ。残りは食費で飛んだそうだ。孤児院にも、多少の畑はあるが、とても全員のお腹を毎日満たせるわけない。
今回の寄付で、多少の改善になるといいけど。
お茶まで出してもらった。ふー、としているとノックが。以前小児用の抗生剤で接触した悪人ヅラさんだった。顔は怖いが、孤児院の子供達の為に一生懸命なのはわかっている。丁寧にお礼を貰う。
「テイマー様、今日、もう少しお時間を頂けないでしょうか?」
と、悪人ヅラさん、アルジャルフさんね、確認するように聞いてくる。どうしたんやろ?
「実は、シスター・ガルニャよりお伝えしたい事があるそうで、そう長くはならないと思いますが」
「全然大丈夫です」
きっとあの女の子の事や。
知りたかった事やしね。
アルジャルフさんが退室し、ソワソワしながら待つ。晃太達とほぼ同時にシスター・ガルニャがやって来た。
「申し訳ありません、お時間頂いて」
シスター・ガルニャが深くお辞儀をする。
「いえ、私もお話を聞きたいと思っていました」
早速お話をする。シスター・ガルニャがお断りしてから着席される。
「昨日保護した少女の事ですが」
「はい」
隣に座る晃太も、反応する。
「傷の確認後に頂いたポーションで治療しました。傷自体はいいのですが」
言い淀むシスター・ガルニャ。もしかして、精神的なものがいかんのかな?
「その、あれだけ傷を受けて、ガリガリに痩せていたのですが、落ち着いています」
「落ち着いている?」
悪い事?
「はい。なんだか、悟っていると言うか、騒ぐことも怯える事もなく。私どもも少女の精神面のフォローをと、構えていたのですが杞憂に終わりました。ただ、不思議な事も言っていて」
「不思議な事?」
「はい」
シスター・ガルニャはちょっと迷う顔。
「目覚めると言ったんです、お母さんと会ったと」
あ。
「もう、お母さんはいないけど、最後にたくさんお話した、と」
私は、お腹の底から、一気に息が吐き出されるように安心する。始祖神様がきっと夢の中であの女の子とお母さんを会わせてくれたんや。
ありがとうございます、始祖神様。
「混乱しないか心配していたのですが、逆にあんなに落ち着くと思いませんでした」
「きっと神様が、あの女の子とお母さんをあわせてくれたんですよ。それでいいじゃないですか」
私の言葉に、何かに気がついたようなシスター・ガルニャ。そして祈りの姿勢となる。
「そうですね。始祖神様の愛が、あの子に奇跡を起こしたのですね」
シスター・ガルニャは納得したように言う。それもあるけど、何より、あの女の子のお母さんの愛やと思う。
「それで、女の子は今は?」
「眠っています。たまたま目が覚めた時に私が居合わせて」
朝方に目が覚めて、水を飲ませたり、痛みがないか確認したり、体を拭いたりとお世話をしている最中に、聞いたそうだ。
「落ち着いているとはいえ、まずは静養です。詳しい事情と、あの子がこれからどうしたいかの確認出来るようになってからです。あの、もしあの子が望めば、そちらでも受け入れ可能と伺っていますが」
「はい。両親の了解もあります。ただ、うちは色んな意味で賑やかで、どうしても移動生活になります。それに私達は次にシーラに向かいます。そう何ヶ月も首都にはいられません」
「はい。今日の落ち着き様では、早く移動先の希望先が知れるかもしれません。ただ」
シスター・ガルニャの顔に影が差す。
「革新派が再び彼女を狙うなら、修道院の保護がいいやもしれません」
そっか。そういえば、なんで革新派はあの女の子をどうして拉致したんやろ? あ、そういえば、なんか聞いたな、革新派は方法は分からないが、聖女候補の少女を見つけ出す的な。聖女ってのは異世界から召喚された人しか持たない称号で、こちらの世界での聖女的な位置にあるのは神子だ。これは知られていないので、今でもごちゃまぜに理解されている。こちらで聖女認定される大きな要因は、『再生魔法』だ。あの詐称聖女がこれが使えたし、更に高位支援魔法までつかえたから、そう周りに言っても信じてもらえたろうし、疑われなかったのかも。
それから少しシスター・ガルニャとお話。あの女の子がいる治療院には、ばっちり青騎士団が警備している。革新派は、昨日の騒ぎがあった後、首都にある支部まで捜査の手が伸びて、全員支部内で軟禁状態だって。女の子の行き先が決まれば、連絡してくれるって。隔離区間の北区にいるので、警備している人に伝えて、オスヴァルドさんに伝わり、私に行き着くそうだ。
「では、よろしくお願いします」
私はシスター・ガルニャとモドルさんにご挨拶してから、ゲストハウスに戻ることに。
あ、そうや。
「すみませんオスヴァルドさん。もう一度お祈りしてもいいですか?」
「はい。もちろんですよ」
私達は再び礼拝の並び、お祈りをする。
神様、あの女の子とお母さんを会わせてくれて、ありがとうございます。
私はそのままモドルさんとお話。
「以前も多額にご寄付頂いたのに、ありがとうございます。子供達にお腹いっぱい食べさせてあげれます」
「良かったです」
全てうちのバトルジャンキー達のおかげなんやけどね。
首都故に人口は多く、比例して孤児院にいる子供達の数は多いし、修道院に保護されている人達も当然多い。下層住民への炊き出しも、マーファの倍の規模だ。薪は元気達の木魔法の訓練で大量に出来たから、活用できたらいいしね。しかもダンジョン内の木なので、薪にしても、そのうちしれっと生えてるしね。
前回来た時も寄付したが、あの時のものはガタが来た家具の買い替えや、危ない窓枠、抜けそうな廊下、そして一部崩落しかけた屋根の修繕に使われた。結構な大改修だったそうだ。子供達が怪我する前で良かった。グーテオークションの寄付金でちょっとずつ改修していたが、私の寄付金で一気に行ったそうだ。残りは食費で飛んだそうだ。孤児院にも、多少の畑はあるが、とても全員のお腹を毎日満たせるわけない。
今回の寄付で、多少の改善になるといいけど。
お茶まで出してもらった。ふー、としているとノックが。以前小児用の抗生剤で接触した悪人ヅラさんだった。顔は怖いが、孤児院の子供達の為に一生懸命なのはわかっている。丁寧にお礼を貰う。
「テイマー様、今日、もう少しお時間を頂けないでしょうか?」
と、悪人ヅラさん、アルジャルフさんね、確認するように聞いてくる。どうしたんやろ?
「実は、シスター・ガルニャよりお伝えしたい事があるそうで、そう長くはならないと思いますが」
「全然大丈夫です」
きっとあの女の子の事や。
知りたかった事やしね。
アルジャルフさんが退室し、ソワソワしながら待つ。晃太達とほぼ同時にシスター・ガルニャがやって来た。
「申し訳ありません、お時間頂いて」
シスター・ガルニャが深くお辞儀をする。
「いえ、私もお話を聞きたいと思っていました」
早速お話をする。シスター・ガルニャがお断りしてから着席される。
「昨日保護した少女の事ですが」
「はい」
隣に座る晃太も、反応する。
「傷の確認後に頂いたポーションで治療しました。傷自体はいいのですが」
言い淀むシスター・ガルニャ。もしかして、精神的なものがいかんのかな?
「その、あれだけ傷を受けて、ガリガリに痩せていたのですが、落ち着いています」
「落ち着いている?」
悪い事?
「はい。なんだか、悟っていると言うか、騒ぐことも怯える事もなく。私どもも少女の精神面のフォローをと、構えていたのですが杞憂に終わりました。ただ、不思議な事も言っていて」
「不思議な事?」
「はい」
シスター・ガルニャはちょっと迷う顔。
「目覚めると言ったんです、お母さんと会ったと」
あ。
「もう、お母さんはいないけど、最後にたくさんお話した、と」
私は、お腹の底から、一気に息が吐き出されるように安心する。始祖神様がきっと夢の中であの女の子とお母さんを会わせてくれたんや。
ありがとうございます、始祖神様。
「混乱しないか心配していたのですが、逆にあんなに落ち着くと思いませんでした」
「きっと神様が、あの女の子とお母さんをあわせてくれたんですよ。それでいいじゃないですか」
私の言葉に、何かに気がついたようなシスター・ガルニャ。そして祈りの姿勢となる。
「そうですね。始祖神様の愛が、あの子に奇跡を起こしたのですね」
シスター・ガルニャは納得したように言う。それもあるけど、何より、あの女の子のお母さんの愛やと思う。
「それで、女の子は今は?」
「眠っています。たまたま目が覚めた時に私が居合わせて」
朝方に目が覚めて、水を飲ませたり、痛みがないか確認したり、体を拭いたりとお世話をしている最中に、聞いたそうだ。
「落ち着いているとはいえ、まずは静養です。詳しい事情と、あの子がこれからどうしたいかの確認出来るようになってからです。あの、もしあの子が望めば、そちらでも受け入れ可能と伺っていますが」
「はい。両親の了解もあります。ただ、うちは色んな意味で賑やかで、どうしても移動生活になります。それに私達は次にシーラに向かいます。そう何ヶ月も首都にはいられません」
「はい。今日の落ち着き様では、早く移動先の希望先が知れるかもしれません。ただ」
シスター・ガルニャの顔に影が差す。
「革新派が再び彼女を狙うなら、修道院の保護がいいやもしれません」
そっか。そういえば、なんで革新派はあの女の子をどうして拉致したんやろ? あ、そういえば、なんか聞いたな、革新派は方法は分からないが、聖女候補の少女を見つけ出す的な。聖女ってのは異世界から召喚された人しか持たない称号で、こちらの世界での聖女的な位置にあるのは神子だ。これは知られていないので、今でもごちゃまぜに理解されている。こちらで聖女認定される大きな要因は、『再生魔法』だ。あの詐称聖女がこれが使えたし、更に高位支援魔法までつかえたから、そう周りに言っても信じてもらえたろうし、疑われなかったのかも。
それから少しシスター・ガルニャとお話。あの女の子がいる治療院には、ばっちり青騎士団が警備している。革新派は、昨日の騒ぎがあった後、首都にある支部まで捜査の手が伸びて、全員支部内で軟禁状態だって。女の子の行き先が決まれば、連絡してくれるって。隔離区間の北区にいるので、警備している人に伝えて、オスヴァルドさんに伝わり、私に行き着くそうだ。
「では、よろしくお願いします」
私はシスター・ガルニャとモドルさんにご挨拶してから、ゲストハウスに戻ることに。
あ、そうや。
「すみませんオスヴァルドさん。もう一度お祈りしてもいいですか?」
「はい。もちろんですよ」
私達は再び礼拝の並び、お祈りをする。
神様、あの女の子とお母さんを会わせてくれて、ありがとうございます。
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